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HOMERepair RoomTools and Equipments for Reel-to-Reel Deck

測定器とツール(オープンリールデッキの修理のために)

オープンリールデッキの修理をきっかけに集めた測定器やツールの紹介(覚書き)。
※ ただし、主にオープンリールデッキ(オーディオ機器)の修理・整備のために使用する測定器や自作のツールや治具、ソフトウェア(フリーソフト)の紹介です。

測定器

kikusui_rc_oscillator_model_418b_overallkikusui_rc_oscillator_model_418b_frontkikusui_rc_oscillator_model_418b_front_up"KIKUSUI MODEL 418B RC OSCILLATOR"

菊水製の低周波発振器(RC 発振器)ですね。
・発振周波数: 10Hz ~ 1MHz 5レンジ
・確度: ±(3% + 1Hz)
・出力減衰器: 0dB, -20dB, -40dB 3レンジ
何せ、古い機器ですので、初期特性は維持していないもの、と思われます。
まぁ、オーディオ用と割り切れば、10Hz ~ 40kHz まで発振してくれれば良いかな、と。

trio_audio_ssvm_model_vt_106_overalltrio_audio_ssvm_model_vt_106_fronttrio_audio_ssvm_model_vt_106_up"TRIO AUDIO SSVM MODEL VT-106"

オーディオ用の「AC ミリボルトメーター(ミリバル)」です。
正弦波の小さな電圧を測定するための交流電圧計ですね。
メーターにもしっかりと "VOLT DECIBELS 0dBm = 1mW 600Ω" と表記されています。
dB / dBm を直読できるのが特徴ですね(オーディオ用として便利です)。

yokogawa_7555_digital_multimeter_1yokogawa_7555_digital_multimeter"YOKOGAWA 7555 DIGITAL MULTIMETER"

デジタルマルチメーターです。ミリバルが AC ミリボルトをアナログメーターで測定するのに対して、デジタルで様々な測定ができるのが特徴です。
中古で2013年に販売終了となった機種ですが、けっこうな値段でした。とても便利ですけど・・・。

iwatsu_sc_7201_universal_counter_1iwatsu_sc_7201_universal_counter"IWATSU SC-7201 UNIVERSAL COUNTER"

ユニバーサルカウンターです。
これもまた古い製品です。SC-720x シリーズの初代機ですね。
オーディオにおいては、基本的にはサイン波しか測定しませんが、その周波数を正確に測るには必須の測定器ですね。
永らく購入を狙っていたのですが、意外にも(?)高価な測定器で、なかなか購入することができませんでした。
つい最近になって運良くネットオークションで落札することができました。
取扱説明書もなく、操作に戸惑うことも多く、まだまだ使いこなすことはできていませんが、サイン波の測定は何とかできるようになりました。

yokogawa_dl1540_digital_oscilloscope_overallyokogawa_dl1540_digital_oscilloscope_backyokogawa_dl1540_digital_oscilloscope_upyokogawa_dl1540_digital_oscilloscope_printer

"YOKOGAWA DL1540 Digital Oscilloscope"

4ch 150MHz のオシロスコープです。他にも何台かオシロスコープはあるのですが、もっぱらこの機種を使用しています。
オーディオの信号波形を観測するには、十分すぎる性能を持っています。
また、観測波形を計測し、記録に残せるのも便利です。
デスクの上に置いてもかさばることのない、そのコンパクトサイズも気に入っています。

自作ツール

Oscillator_millivolt_meter_select_1

signal_selecter_frontsignal_selecter_backsignal_selecter_inside_circuitオーディオ用低周波発振器とACミリボルトメーターが、それぞれ 1ch ですので、上図のようなセレクターを作成してみました。
SW1 でオーディオの L / R を切り替えて、SW2 では、発振器側ではミリバルに直結すると同時にオーディオ出力端子に繋がります。またミリバル側では、オーディオ入力端子とミリバルが繋がるようにします。
また本当は、シールド線で作成したかったのですが、配線が困難で、やむなく通常のリード線で作成しています。図面では、シールド線で作成した(作成しようとした)名残が見られます(汗)。

DSCN0403DSCN0394※ 2020.10.18 "Oscillator" と "Millivolt Meter" との接続用端子を RCA ジャックから BNC ジャックに変更しました。
それに伴い、GND ラインとシグナルラインを配線し直しました。
図面も配線に合わせて修正しています。

reel_to_reel_deck_for_teac_x_10top_view_of_reel_to_reel_deck_for_teac_x_10front_view_of_reel_to_reel_deck_for_teac_x_10DSCN0341

ツールと言うより、治具の類いでしょうか、上図に示すようなデッキ水平置台を作成しました。いわゆるツゥーバイフォー材を適当に組み合わせて作成しています。"TEAC X-10" シリーズ専用台です。
このシリーズのデッキは、録再コントロール基板が底辺に配置され、調整するために底側からアクセスする必要があります。ところが、このような治具がなければ、外装を外して、デッキを水平に保つことができないのです。
ネットで拝見しますと、皆さん、このような治具を手作りして運用されているようです。

周波数特性測定用測定器+自作ツール

DSCN0453結局は、ソフトウェアツールの使用を(一旦)中断して、測定器を組み合わせて、オーディオの周波数特性測定用に、これまで紹介してきました測定器と自作ツールを接続して、構成してみました。写真は、発振器の出力を測定している様子です。
発振器の発振周波数を周波数カウンターを見ながら 400Hz に、出力を 0dBm になるようにミリバルを見ながら調整しています。
またその時の波形をデジタルオシロスコープで、出力電圧をデジタルマルチメーターで測定してみました。
概ね、全ての数値が一致しているようです。元が全てジャンク品ですので、信頼できる基準となるものがあれば、校正できるはずなのですが、まぁ実用上問題ないかな、ということでこのままとしています(汗)。

002また、デジタルオシロスコープでの測定結果を見てみると、これも概ね他の測定器とのデータと一致しているのが見て取れます(※)。

・ ミリバル: 0dBm
・ 周波数カウンター: 400.8309 Hz
・ デジタルマルチメーター: 1,612.95 mV(※)
・ デジタルオシロスコープ:
P - P: 2.260 V、Max: 1.140 V、Min: -1.120 V
Rms: 789.0 mV(※)、Avg: 5.200 mV、Freq: 401.6 Hz

※ デジタルマルチメーターの値とデジタルオシロスコープで測定した Rms の値に2倍以上の開きがあります。デジタルオシロスコープの値の方が正しいと思うのですが、検証の必要あり、ですね。


泥縄ですが、検証のためちょっと計算。

"VOLT DECIBELS 0dBm = 1mW 600Ω" ですので、0dBm のときの Vrms を求めてみますと
W = I・V、オームの法則により、I = V / R を代入して
● Vrms = SQRT(0.001 × 600)= 0.7745966・・・ [Vrms]
となります。

以上より、やはりデジタルマルチメーターの値のみがおかしい値となっているようです。

DSCN0462001

そこで、デジタルマルチメーターの入力先を、ミリバルの出力から、直接オシレータの出力へと変更して測定し直してみると、そこそこ妥当な値を得ることができました。
どうやらミリバルの出力は、入力の何倍かに増幅しているようでした。
そこで、改めて測定し直してみますと、以下の値となりました。

・ ミリバル: 0dBm
・ 周波数カウンター: 400.1110 Hz
・ デジタルマルチメーター: 773.26 mV
・ デジタルオシロスコープ: P - P: 2.180 V、Max: 1.120 V、Min: -1.060 V、Rms: 762.8 mV

ソフトウェアツール

wavegene_start_up_panelwavespectra_start_up_panel

"WaveGene" と "WaveSpectra" というのが定番ツールのようです。ともに efu さんのサイトからダウンロードできます。

● efu's page: https://efu.jp.net/index.html

1. WaveGene: CD-DA やオーディオのチェック用 テスト信号発生ソフト (ASIO、WASAPI対応)
2. WaveSpectra: 録音も出来る 高速リアルタイム スペクトラムアナライザ (ASIO、WASAPI対応)

「"WaveGene" でオーディオ信号を発生させて、"WaveSpectra" でスペクトル解析して、対象機器の周波数特性を測定する」ことを目的にただ今勉強中です。
PCオーディオ用として、オーディオインターフェース "digidesign M-BOX2" を使用していますので、これをオーディオ信号出力、録音に使用しようかな、と考えています。

課題点
1. "digidesign M-Box2" の AD / DA コンバーターが、24bit / 48kHz までであり、周波数帯域が 20kHz 強に制限されてしまう。 → オーディオインターフェースを 24bit / 96kHz(192kHz)仕様のものに交換するか。
2. "WaveGene" の出力が、"dB" 単位であり、実際の出力電圧が不明。外部でモニターする必要あり。 → 私の理解不足かも知れません。勉強・調査が必要ですね。
3. オープンリールデッキの場合、録音 → 再生しながら、その出力を測定して周波数特性を得る、という手順が必要。 → 3ヘッドなので、録音しながら再生できるので、手順を省けるのか要調査。


※ 2021.2.3 オーディオインターフェース "digidesign M-BOX2" を "Roland EDIROL UA-25" に変更して、発振周波数を 40kHz まですることができました。

roland_ua_25_audio_interface● UA-25 USB Audio/MIDI Interface "AUDIO CAPTURE": https://www.roland.com/jp/products/ua-25/features/

■ 高音質化技術を結集したUSBバス電源駆動のUSBオーディオ/MIDIインターフェース

UA-25は、USBバス電源駆動ながらも、ロー・ノイズ/ワイド・レンジ電源の採用で、高音質かつプロ仕様のバランス入出力を実現したコンパクトな24ビット/96kHz対応のUSBオーディオ/MIDIインターフェースです。アナログ・リミッター回路を内蔵し、ファンタム電源の供給も可能。屋外でのマイク録音にも活躍します。

■ USB接続でプロ仕様のレコーディング環境を実現

UA-25は、USBケーブルを接続するだけですぐに使用できるUSBバス電源駆動を採用した、24ビット/96kHz対応の最新鋭USBオーディオ/MIDIインターフェースです。
USBバス電源駆動の採用により、飛躍的な機動力を実現。ノート・パソコンと組み合わせれば、屋外などAC電源がない場所での高音質レコーディングに対応することができ、まさに究極のモバイル・レコーディング・システムを構築することができます。

wavegene_start_up_panel_40kオーディオインターフェースを "Roland EDIROL UA-25" に変更してから "WaveGene" を起動させて、40kHz を発振出力させた様子です。
アラームが出ることなく、40kHz のサイン波が出力されていることが確認できます。

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