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HOMERepair RoomRepair "TASCAM 202MKIII"

"TASCAM 202MKIII Double Auto Reverse Cassette Deck" のベルト交換

ネットオークションにて落札、購入しましたダブルカセットデッキです。都合3台購入しています。
2023年に購入しました2台目のデッキが故障していましたので、その修理の状況を記しておきます。最終的には、ベルト交換で動作するようになりました。

"TASCAM 202MKIII Double Auto Reverse Cassette Deck"

ネットオークションで「動作品」ということで落札して、2023.4.3 に届けられました。落札価格は、6,980円(税込み)で、送料が、1,435円かかりました。ただし、デッキが届いた時点で「動作せず」の状態であり、出品者と話し合った結果、「輸送中の事故」扱いにして、運送会社からの見舞金という形で返金してもらいました。
オークションで出品、掲載されていたときの写真をアップしておきます。

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また出品されていた時の情報として、出品者より以下のコメントがありました。
「動作確認といたしまして左右両方からのテープが聴ける事を確認いたしました。その他動作未確認となります。」
また、以下に(冗長ですが)商品が届いて、動作確認したときの状況を記しておきます。

【受け取り動作確認】
"Cassette 1" 側のみ、ヘッドホンでの確認です。

○ まず最初に結果から報告しますと、再生確認することができませんでした。
1. モーター回転して、リールが回りだすのですが、すぐに停止してしまいます。
2. 早回ししても、すぐにリールが回転停止してしまいます。
3. この状態で、再生確認することができました。再生音を聴くことができました。
4. 一旦、再生停止して巻き戻すと、やっぱり、1. の状態となり、再生できませんでした。
5. 次に再度少し早回ししても、今度は、再生することができなくなりました。
6. この状態で、早回し、巻き戻し、しようとしてもカタカタと音がするだけで、停止したままとなってしまいました。
7. この状態では、イジェクトできずにカセットテープを取り出すことができなくなっていました。
8. やむなく、電源OFF→ONしてみましたが、今度は、カタカタと音がしてから、再生速度で リールが回転して、どのボタンを押しても停止させることができなくなりました(ヘッドホンからは、音がしていません)。
9. 再度、電源OFF→ONしても、カタカタと音がしてから、再生速度でリールが回転してしまいます。
10. 当然、電源OFF状態の時であってもカセットテープを取り出すことができませんでした。また、電源ONしたままカセットテープが全て巻き取られ、リールが自動停止した状態になっても、イジェクト操作できずにカセットテープを取り出すことができませんでした。
11. 次に電源OFF→ONしても、カタカタと音がしてから停止したまま、どのボタンを押しても応答せず、カセットテープを取り出すこともできませんでした。
以上の状態で、電源OFFのまま(カセットテープが入ったまま)にしています。

仕様

TASCAM に日本語の仕様書が見当たらなかったため、参考に OEM 先の仕様書を示しておきます。

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上部カバー開後、目視確認

デッキのカバーは、バックパネル側上部のビス1本、両サイドのビス4本✕2を外すことにより、取り外すことができます。

DSCN0589カバーを取り外すと、2台のカセット駆動ブロック(メカブロック)と基板類(エレキ部)が見て取れます。
メカブロックはかなりコンパクトにまとまっており、この中にリール駆動、キャプスタン駆動、ヘッド正・反転機構が詰め込まれています。
また、駆動源は、モーター1個で賄っています。

まずは、目視確認。
基板上に不審な素子が無いかどうか、目視確認しましたが、特に問題となるような状態は確認できませんでした。トランジスター、IC の端子のマイグレーションも無く、また気になる電解コンデンサの膨らみ等もありませんでした。

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次にメカブロック部の目視確認です。
すると、後ろキャビ側から見て右側("Cassette 1" 側)の2本のベルトの内、(黒いプーリーに掛かるはずのベルト)1本が千切れていることが分かりました。
キャプスタンベルトは、大丈夫なように見えました。

DSCN0629不具合箇所が判明しましたので、メカブロック部をシャーシから取り出し、分解します。
メカブロック部は4隅にあるビス4本を外すだけで、取り出すことができました。
取り出したメカブロック部を更に分解して、ギアの欠け、割れ等不具合が無いか目視確認です。結果、目視確認した限り、大丈夫なようです。

取り出せずにいたカセットテープは、ヘッド部が上に上がっていて、ピンチローラーもキャプスタン軸に接していて、固定されていたためにイジェクトされずにいたようです。
ヘッド部のブロックを手動で、(やや強引に)下に下げてカセットテープを取り出しておきます。
実は、メカブロック部を取り外す前にカセットテープは、取り出していたりします。というか、カセットテープを取り出しておかないと、メカブロック部を取り外すことができませんでした。

ゴムベルトの不良が判明しましたので、これの交換を行います。また念のため、キャプスタンベルトも(該当するゴムベルトが購入できれば)交換することにします。

ゴムベルト交換

DSCN0641ゴムベルトの不良が判明しましたので、交換用ゴムベルトを購入してきました。リール駆動用ベルトとキャプスタンベルトの2種類、2セットを電気街を彷徨って(探して)購入してきました。

1. リール駆動用ベルト: □ 1mm、折長 70mm → φ 45 ✕ 1.2T (or 0.95T)
2. キャプスタンベルト: 平 4mm(厚 0.5mm)、折長 100mm → 平 φ 65 ✕ 0.5 ✕ 5

実測したベルトの仕様となるべく近いベルトを選定して購入してきました。リール用駆動ベルトは、1.2T と 0.95T の2種類を購入しています。丈夫そうな(?)1.2T が使えるようであれば、そちらを使用するつもりです。

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フライホイールと一体化したキャプスタン軸を取り出し、アルコールで清掃した後、キャプスタン軸を磨いておきます。このとき、軸受が外れて無くさないように注意して作業します(外してからの方が作業が楽かもしれませんが)。

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写真に示しますようにゴムベルト2本を掛けます。キャプスタン用ベルトは、写真にあるように仮掛けしておくと、組み立て後にプーリーに掛け直すのが楽になります。
ベルトを掛け終わったら、手動でプーリーを回して、ベルトが問題なく掛かっているのかを確認しておきます。

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メカブロック部のヘッド部分とピンチローラーを専用のクリーナーと綿棒で(アルコール)清掃して、更にヘッドイレーサーで消磁しておきます。

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同様の作業(ゴムベルト交換作業)を後ろキャビ側から見て左側("Cassette 2" 側)も実施するのですが、メカブロック部にマイク入力部が付いていることに注意が必要です。ゴムベルト交換には、先にこのマイク入力部を取り外しておくことになります。

以上の作業により、組み立て直した後、動作確認でカセット両側とも再生確認(出音確認)できました。

"TASCAM 202MKIII Double Auto Reverse Cassette Deck" (2)

ネットオークションで落札して、2023.4.22 に届けられました。落札価格は、5,250円(税込み)でしたが送料が、2,500円もかかってしまいました。出品者のコメントには、「テープ動作・音出る確認のみ、他の動作確認しておりません。」ということでした。
オークションで出品、掲載されていたときの写真をアップしておきます。

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一応は、製品が届いた直後にカセットテープの走行確認をしたのですが、そのときは、"Cassette 1"、"Cassette 2" とも正・反転走行できたのですが。
これまで、2台の "TASCAM 202MKIII" を所有しており、2台共に動作しておりましたので、その補修用部品取りのために動態保存する目的で購入しました。
ただ、出品者によるコメントの中に、「一部のパーツ、ネジ、ケーブルなどが欠落しています。」との記述がありましたので、その確認と状態確認、メンテナンスのためにカバーを開けて中身を確認してみました。

上部カバー開後、目視確認(2)

DSCN0679まずは、全体の目視確認です。特に基板上の電子部品を中心に目視確認を行います。

基板上に不審な素子が無いかどうか目視確認しましたが、結果、特に問題となるような状態は確認できませんでした。トランジスター、IC の端子のマイグレーションも無く、また気になる電解コンデンサの膨らみ等もありませんでした。
半田面の状態も確認するのがベターなのでしょうが、一応の動作確認はとれていますので、今回は、そこまでしなくて大丈夫かと判断しました。

次にメカブロックですが、何と、両カセット駆動ブロックともゴムベルトが切れていることが分かりました。

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"Cassette 1"
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"Cassette 2"
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"Cassette 1"、"Cassette 2"共に黒いプーリーに掛かっていたはずのゴムベルトが、キャプスタン用ベルトに巻き込まれて引きちぎられていました。
想像ですが、製品が到着して直後の動作確認で、劣化していたゴムベルトがキャプスタン用ベルトと接触して、巻き込まれ、引き千切られてしまったものかと。
いずれにしてもベルト交換しなければなりませんね。

ゴムベルト交換(2)

"Cassette 1" 側からベルト交換します。

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DSCN0696千切れていたゴムベルトを取り除きました。ゴムベルトは劣化して弾力がなく、べとついていました。一方で、キャプスタン用ベルトは大丈夫そうでしたが、念のため交換しておきました。
また、ギア等のメカパーツはギア欠けも無く、黄変も最小で、不具合は見受けられませんでした。

ゴムベルトを交換し、メカブロックを元通りに組み立てておきます。また、キャプスタン軸、キャプスタンローラ、ヘッド部を専用クリーナーでクリーニングした後、ヘッドイレーサーで消磁しておきます。

次に、"Cassette 2" 側のベルト交換です。

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DSCN0704"Cassette 1" と同様の処置を行います。
また、ゴムベルトおよびメカパーツの状態も "Cassette 1" と同様の状態でした。

"Cassette 1" と同様にゴムベルトを交換し、メカブロックを元通りに組み立てておきます。また同じく、キャプスタン軸、キャプスタンローラ、ヘッド部を専用クリーナーでクリーニングした後、ヘッドイレーサーで消磁しておきます。

この状態(上カバーを開けた状態)で、電源投入し、カセットテープの走行確認、再生確認を行い、異常が無いことを確認しておきます。

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上カバーを組み付けて、カセットテープ再生確認をしました。"Cassette 1"、"Cassette 2" にカセットテープをセットして、自動反転で連続再生で、再生動作確認しました。

当初は、このカセットデッキを動態保存しておこうかと考えていましたが、このデッキの程度が一番良いように感じましたので、このデッキをメインにこれから使用していこうかな、と考えています。

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