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HOMERepair RoomRepair "Tektronix 2432"

"Tektronix 2432 DIGITAL OSCILLOSCOPE" の修理

ネットオークションにて落札、購入しましたデジタルオシロスコープでしたが、"SELF CHECK" で "FAIL" となる項目があり、修理を試みました。
メモ書きとなりますが、その修理の様子を記しておきます。

"Tektronix 2432 DIGITAL OSCILLOSCOPE"

2019.8.8 にネットオークションで落札して、2019.8.10 に届けられました。落札価格は、9,800円でした。
オークションで掲載されていたときの写真をアップしておきます。

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「ジャンク Tektronix 2432 デジタルオシロスコープ」
商品説明】
○ 友人からの代理出品です。
○ 古い倉庫からの片づけで出てきた物です。(中古・長期保管品)
○ 動作確認、清掃等一切しておりません。不具合等ある可能性もあります。
○ 当方商品に関して無知の為、詳細は何も分かりません。
○ 修理、部品取りで使えたらラッキーぐらいで、ご了承下さる方のみ入札願います。
○ 故障や欠品、正常な動作のお約束ができませんので、ジャンク品として出品しております。
背面のビスが2本ありません(※)。
○ べたつき、ホコリ有り。
○ 中古品(ジャンク品)ですので傷、汚れ、擦れ、ほこり、べたつき等ございます。
○ また、光の都合上、写真に写りきらない細かい傷、汚れ、擦れ、ほこり等ございます。
○ 落札後の動作保証はありません。
○ 長期保管してあった物ですので、保管劣化、経年劣化等あると思います。
○ 入手時期等の詳細は分かりかねます。
○ 保証のない「現状品」という事で出品させていただいております。
○ 写真画像に写っている物がすべてになります。

状態確認

届いたオシロスコープの状態を確認します。
外観は、オークションにて表示されている状態に間違いはありませんでしたが、全体に埃まみれであり、無水アルコールでまずは軽く清掃しておきました。
また、カバーに塗装ハゲはありましたが、サビは(ねじにも)ありませんでした。また、商品情報にもありましたように背面のパネルを止めているビスが2本しか無く、2本足りませんでした(※)。

※ 後で本体を開腹して分かったことですが、かつてカバーを外して、AC電源基板を修理したようです。多分、ネジはその時にでも紛失したのでしょう。

DSCN9983DSCN9984

DSCN9985そして、電源投入です。電源コードがついていませんでしたの、手持ちの電源コードをつないでの確認です。
まずは、背面パネルから、100V仕様になっていることを確認してから、正面パネルの電源スイッチを投入します。
すると・・・。
ファンが回転し始めて、"POWER ON SELF CHECK" が無事に起動。
そして、いくつかの "FAIL" 表示が・・・。
さらに内部から「プチッ」と異音がして、何やら香ばしい香りが・・・。
慌てて電源OFFして、一旦カバーを外して、焼損箇所があるかどうかを調べてみましたが、このときは(目視する限り)問題発見できず。詳細に調べるためには、もっと分解して各基板を目視できるようにしなければならず、またカバーを装着。
そこで、エラー箇所を特定すべく、再度電源投入して、ダイアグメッセージを確認。写真に撮ってから電源OFFしておきました。

"FAIL" 表示は、以下の2箇所
・ 7000 "CCD" → 7200 "GAIN"
・ 8000 "PA" → 8100 "OFFSET"、8200 "POS-GAIN"、8400 "GAIN"、8500 "INV-GAIN"、8600 "VAR-MAX"

うーん、分からない・・・。

分解、基板目視チェック

ダイアグから、"CCD"、"PA" で "FAIL" になっているのは分かりましたが、その "FAIL" の原因は残念ながら推測することすらできませんでした。
ただ、一番最初の電源投入で、異音(プチッ)と素子が焼ける匂いがしたことから、どこかで素子が焼損している可能性大ですので、オシロスコープのカバーを開けて、基板を目視チェックしていきます。

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カバーを開けて基板を目視できるようにします。コントロール基板関係では、素子の焼損が見られず、更に内部にある電源基板を目視できるように、コントロール基板(2階建てになっていました)をオープンにします。
すると、ありました。
AC電源入力部に焼損した抵抗と割れてしまったコンデンサーを発見しました。匂いもしっかりと残っていました。

DSCN9973DSCN9974

電源基板を取り出して、焼損部位を改めて確認です。

DSCN0057DSCN9979

あらかじめダウンロードしておいたサービスマニュアルから、回路図、パーツリストから焼損パーツを特定して、取り出します。

DSCN0060AC入力部のノイズフィルタでしょうか。抵抗がオープンになっていたようで、他の回路には波及していないようです。
交換パーツの仕様の確認には、(実際には)左図にある基板レイアウト図から、焼損パーツの "parts no." を特定して、パーツリストからそのパーツの仕様を実物と確認しながら決定しました。
Tektronix のサービスマニュアルが充実しているおかげで、パターンを追ったり、取り出したパーツから仕様を特定することがなくて、助かりました。
ちなみにこの電源基板の名称は、"Power Supply board" というらしいです。

DSCN0018また、念のため2次側の電解コンデンサを全て交換しておきました。膨らみや破損、液漏れなどがあったのではなく、あくまでも念のためです。
すると、電解コンデンサを取り出して仕様を調べているときに気がついたのですが、一部ですが容量の違う(全て大きくなっていました)、さらにまた明らかに交換された跡のある電解コンデンサがありました。
多分、前の持ち主が、電解コンデンサの一部を交換していたようです(なぜ交換していたのかは不明です)。
今回は、2次側の電解コンデンサ全てを交換しました。

電源投入、再確認

DSCN0054DSCN0055

一応の修理が完了しましたので、組み立てて、再度電源投入。"RUNNING SELF TEST" の表示の後、チェック項目が全て "PASS" になりました。
電源基板の、しかもAC入力側のノイズフィルタ部を修理しただけで、なぜコントロール基板側のエラーが解消されたのは不明ですが、なんとかこれで、オシロスコープが復活したようです。
"POWER ON SELF CHECK" 後、10分くらいウォームアップをして、再度 "EXTENDED FUNCTION" から "SELF TEST" を選び、全項目チェックを走らせて、"PASS" することを確認しておきます。

DSCN0053これは、オシロスコープの入力端子(CH1, CH2)に外部発振器("MULTIFUNCTION SYNTHESIZER")の出力を接続して、その波形を観測した様子です。
・ CH1: 1.0kHz、0.4V、サイン波
・ CH2: 1.0kHz、0.4V、矩形波
まぁまぁの精度は出てるのかな。

後は万全を期すのであれば、別途キャリブレーションが必要なようです。
これには、カバーを外して、特定のショートピンの位置を変えて、外部から信号を入力させることが必要なようです。
正確な手順は、マニュアルを読み込まないと分かりませんし、もし失敗してしまうと、精度が無茶苦茶になりそうで、ちょっと二の足を踏んでいます。
今のところ困っていませんので、マニュアルをもうちょっと読み込んで理解してから、必要に迫られたときにでもトライするようにしましょうか。

バッテリー交換

30年以上前の製品ですので、バッテリーバックアップメモリ用のバッテリーを交換しておきました。

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"Processor Board" 上のバッテリーを新しいものと交換します。
○ BT800: +3.5V, 1.6AH, Lithium → +3.6V, 2.6AH
オーバースペックですが、相当品として最も値の近いものを選びました。
基板に元々あったバッテリーを外したときの開放電圧が、+3.7048V、交換したバッテリーを基板に取り付けて、そのときの電圧が、+3.6871V となりました。これで後30年は、大丈夫かな(?)。

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