書斎 - Books 2016
平積みになった本の中から最近読んだ小説の数々を、順不同にピックアップしていきます。それと感想をちょっぴり。
※ 簡単な感想を併記していますが、やっぱり表現が難しい。自分でも駄文だとは思いますが、仕方ないですよね。それにしても、ついさっき読み終わったばかりの本だというのに、内容の大半がはっきりと思い出せない・・・。どうしたものか・・・。
※ 一部ネタばれしていますので、未読の方は、ご注意ください。
※ 画像は全て所蔵する現物をスキャンして得ています(帯があるものはそのまま)。従いまして、このイメージの2次使用を禁止いたします。
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2016.12
"Clover's Regret" - 「ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット」
SAO のスピンオフというか、原作者とは別作家によるオマージュ作品というのでしょうか。SAO をベースに新たな別の仮想空間でのお話となります。その仮想空間世界の名は、《アスカ・エンパイア》。純和風の世界ですが、妖しい怪奇な、魑魅魍魎が跋扈する世界でもあります。
そこでゲームを楽しむ少女二人(1人は、社会人ですが)。彼女らがあるクエストに挑戦、クリアするまでが描かれています。
この二人のキャラクターが楽しい。特に社会人でありながら、女子高生とパーティを組んでいるコヨミの性格・行動が楽しい。
底抜けに明るく、物怖じしない性格、《アスカ・エンパイア》の世界観に恐怖しながらもゲームを楽しんでいる様子は最高ですね。
著者の渡瀬草一郎は本書が初見ですが、本書以外にも多くのファンタジー小説、ライトノベルを著しているようですね。
今後もちょっと留意しておきたい作家ですね。
"THE FORTUNE CAT SHRINE'S HECTIC DAYS" - 「招き猫神社のテンテコ舞いな日々 2」
本の山の中から探し出して読んでみました。
楽しく、一気に読んでしまいました。相変わらずの妖猫たちですが、岩倉和巳(主人公)との共同生活にも大分慣れてきたようです。
そして、参詣客のほとんどいない、なんちゃって神社ですが今回も色々な騒動が巻き起こります。
招き猫神社は、どうやら訳有の、そして寂しい人たちを引き寄せ、幸せにする神社のようですね。自由気ままで自分勝手な妖猫たちですが、ここぞというときに虎は活躍したりするのです。猫はもともと人に寄り添って慰める動物なのだからかもしれませんね。
主人公の和巳もまた、この招き猫神社に引き寄せられて、「人が変わった」ようです。
これからもこの「招き猫神社のテンテコ舞い」は続きそうです。次巻も読むのが楽しみですね。
"THE FORTUNE CAT SHRINE'S HECTIC DAYS" - 「招き猫神社のテンテコ舞いな日々」
有間カオルは、この本が初見となります。
読み始めてから、クスクスと笑いっぱなし。厳しい現実にもめげずに頑張っている主人公をよそに自由気ままな妖猫が楽しい。まぁ、主人公の性格もちょっと残念なところもあるのですが。
そして舞台の「招き猫神社」(実は、「あこ神社」)は、本当の神社でなく、個人が建てた別荘であったり、色々な因縁があって住み着いた3匹(?)の妖怪猫がいたりと中々楽しい設定です。
妖怪となった猫でも、やっぱり猫だけのことはあり、性格は自由きままでのんびりと暮らしていますね。そして、招き猫神社に招かれたようにやってくる人たち。特別な人たちではありませんが、それぞれに悩みを抱え、そして神社にお祈りをしています。主人公が小さな頃、この神社に通って、猫を抱いていたように。
ハートウォーミングなほっこりと幸せになるような、そんな読後感でした。続編もあるようですね。探し出して(汗)読んでみようかな。
"KNIGHTS OF SIDONIA" - 「シドニアの騎士 第15巻」
「シドニアの騎士」最終巻ですね。「あずかりやさん」が届けられ(読み終わ)るまで待とうかとも思ったのですが、我慢できずに読んでしまいました(笑)。
前巻からの戦闘が続きます。谷風は単騎で前線で戦闘している部隊に追いつこうと駆けつけます。
前線の部隊も死闘に次ぐ死闘の繰り返しです。幾度も壊滅の危機に瀕しています。その中で、つむぎも重傷を負い、瀕死の状態となります。
谷風は、つむぎの救助に間に合うのか。転換炉を無事に回収し、この戦争に終止符を打つことができるのか。シドニアもまた重篤な被害を受けます。
まるで地球人の種を賭けた闘いですね。
結末は突然、という形で終わります。あれっと思えば、もうエピローグと言ったように。その点がちょっと物足りなかったかな。敵の正体もまた不明のままだしね。でも、谷風と星白、そしてつむぎとも、あのような形で決着するのも良いのかな、とも思えます。
「一日百円で、どんなものでも預かります。」「猫弁シリーズで大人気の著者が紡ぐ、ほっこり温かな人情物語。」と裏表紙にありましたが、正に「ほっこりと温か」になりました。
主人公の店主は、目が見えません。預かる際には、名前を名乗ってもらって、預かり賃を頂くだけで、預かり物について一切詮索するようなことはありません。また、預ける人についても詮索はおろか、接する態度にも違いは一切ありません。
それでも店主の人柄によるものか、預ける人は事情を説明してしまうのです。
また、物語は第三者の目から語られています。
石鹸さんのエピソードが好きです。そして、社長の優しい語り口も。
なんだか、もう少し「あずかりやさん」について知りたくなってしまいました。続編はないのかな。
※ 2016.12.23 「あずかりやさん 桐島くんの青春」が続編として単行本で発刊されているようです(2016/9/12)。ネット通販へ注文してしまいました、中古ですけど(笑)。ちなみに購入価格は、356円(税込み、送料込み)で全額ポイントで支払うことにしました。
あさのあつこ原作の同小説のコミカライズです。原作小説と同じく、全9巻となっていますが、構成はかなり異なるようです。
ですので、コミックだけを読んでみると色々と謎が残ったままです。何故、紫苑だけが寄生昆虫(ハチ)から死を免れることができたのか、髪の毛の色が脱色したのか、皮膚表面上に蛇のような模様が残ったのか、などです。また、自分の目で寄生昆虫の存在を目にしておきながら、それに対する抗体ができて、血清(ワクチン)が生成することができると考えたのか不思議です。
また、"NO.6" と呼ばれる近代都市が、創設者の存命中にあそこまで発展・統制することができるとはどうも考えにくくて・・・。
SFジュブナイルというよりもファンタジー色が濃厚な話でしたね。
それでもストーリー展開が早くて、あっという間に全巻一気に読んでしまいました。主人公たちの感情表現がちょっとわかりにくいシーンもありましたが、ストーリーが面白くて、退屈することはありませんでした。原作も読んでみたくはなりましたが・・・。(今は本の山の中から発掘する時間が取れなくて、またの機会を見つけて読むということになりそうです。)
"FUN for ALL. ALL for FUN. A M A N C H U !" - 「あまんちゅ! 第8巻~第11巻」
第8巻から、「漆黒の人魚、じゅごんちゃん」が登場します。そして「じゅごんちゃん」は、ぴかりと真斗ちゃん先生とはなにやら深~い因縁があるようで・・・。また、様々な素敵な謎が明らかになっていきます。読者だけが知っているスレ違いの場面とかもあり、ちょっとわくわくするような・・・。
季節は、冬から夏までを描いています。それぞれの季節でのダイビングの醍醐味もまた、描かれていますね。ダイビングの魅力満載ですね。そして、春にダイビング部員が皆進級する中、新入部員も入部することになり。一人はぴかりの妹で、もう一人は彼女の友人であったりして、更に知らぬところで縁が繋がっていたりして。
わくわく、ほこほこしながら一気に第11巻まで読んでしまいました。
次巻の発刊が待ち遠しく思います。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア 7 (小冊子付き限定版)」
港街 <メレン> で手がかりを得た【ロキ・ファミリア】は、迷宮街『ダイダロス通り』の調査を開始する。
そしてそこで、『人造迷宮クノッソス』を発見した【ロキ・ファミリア】の冒険者たちは、迷宮に誘い込まれ、パーティを分断され、壊滅の危機に瀕することになります。
それぞれ分断されたパーティに襲いかかる絶体絶命の危機に際して、それを跳ね返すことができるのかどうか、はらはらする展開に引き込まれて一気に読んでしまいました。
1級冒険者の名に恥じぬ、というかさすが1級冒険者という死闘ぶりでしたね。また、幾人かの犠牲を出したのも、今回の冒険が初めてだったような・・・。
本編に繋がるエピソードもあり、とても楽しく読むことができました。次巻の発刊が楽しみですね。
"FUN for ALL. ALL for FUN. A M A N C H U !" - 「あまんちゅ! 第4巻~第7巻」
季節は移ろい、夏から秋へと。
ダイビング部の日常が、新鮮な驚きと発見を伴いながら、移ろう季節の中で描かれていきます。
夏の眩しい光の中でのダイビング、夏合宿、花火大会と夏の想い出もまた輝きながら、心に降り積もっていきます。
そして学園祭での不思議体験。こういうファンタジックな要素もまた、天野こずえらしい演出ですね。ほのぼのしたストーリーの中で散りばめられた生命の不思議と、命の連鎖とその輝きもまた、優しく語られ、描かれていきます。
次はどのような物語が語られ、描かれるのでしょうか。とても楽しみですね。
"TERRA FORMARS 11th MISSION - 14th MISSION" - 「テラフォーマーズ 第11巻~第14巻」
どうせ前巻のことは忘れているから、と第11巻から読み始めましたが、・・・やっぱり、忘れていました(汗)。第11巻の半ば過ぎるまでまるで思い出せず、初めて読むような感じさえしていました。
で、第14巻まで読んでみたのですが、話がやっぱりよく分かりませんねぇ。もう、何がしたいのかが目的がさっぱり理解できず。地球人同士の諍いを火星にまで持ち込んで、代理戦争(?)の様相を呈してきましたね。火星をテラフォーミングして、植民地にするのではなかったのか、テラフォーマーズの脅威を取り除くのが先決だと思うのですが。まるで、自滅を目指しているような不毛な死闘が続いていますね。
そうこうしている内にも、やっぱり地球がテラフォーマーズに侵略されていた、というお粗末さ。
戦闘シーンの連続で疲れますが、迫力があって、読んでいて飽きることはありませんでした。
"The Bride's Stories 9" - 「乙嫁語り 第9巻」
「乙嫁語り」も第9巻となりました。約1年ぶりの発刊ですね。
やっぱりパリヤの恋の行方が気になって、直ぐに読んでしまいました。
ほのぼのとした話ばかりでした。読後感もほっこり、という感じでした。
パリヤの初々しく健気な感じがよく表されていましたね。なんだか読んでいるこっちも気恥ずかしくなるくらいに(ちょっとだけですよ)。
パリヤたち女性陣の衣装もまた丁寧に書き込まれていて、リアルな日常感というか、生活感も伝わってきました。
それと、パリヤって眉毛が太くて濃い、そして釣り上がり気味で、活発な女性として描かれていますね。そのような彼女が恥じらう、悩む姿がとってもチャーミングでした。
"KNIGHTS OF SIDONIA" - 「シドニアの騎士 第1巻~第14巻」
この作品を知ったのは、TVアニメを通じてです。何気なく、深夜のアニメ放送を観ていて、その3DCGの物珍しさ、リアルな設定に興味が惹かれるようになりました。そして、原作コミックがあることを知り、気になりつつも中々購入の機会を得ることができず、今回ようやく読むことができました。
はっきり言って絵は、あまり上手いとは言えませんね。特に動きのあるシーンでは、その動きがあまり感じることができませんでした。
ただ、SFらしい独特の世界観でもって、そのストーリーには引き込まれました。
夜に読み始めて、途中で止めることができずに夜を徹して一気に読んでしまいました(アホです)。実は、よく分からないところもあったのですが、セリフも(比較的)少なく、主人公の動向に目が離せずに、次々と頁をめくってしまいました。
SFらしい、未来的な状況が、丁寧に描かれています。武装もそうですが、生活感がリアルであって様々な伏線も仕掛けられています。また、シドニアが日本を母体とする播種船らしく、日本の懐かしい風景もそこかしこにあり、読みながらも本当にシドニアに乗船しているような気にさえ、なってきます。
物語は佳境に入ったばかり(※)。次巻の発刊が楽しみですね。
※ 2016.12.16 ちょっと調べてみると、次巻(第15巻)で「シドニアの騎士」は完結していたようです。第15巻の発刊は、2015/11/20 で、(なんと)昨年で完結していたのですね。直ぐに注文しないと(笑)。
「忘却探偵」シリーズ7冊目です。
今回は、男性警部の語りで、4話短編集形式となっています。
「忘却探偵」であるがゆえの秘密厳守、そして「最速の探偵」としての推理力が当てにされて、警察からの推理依頼が絶えなくなっている掟上今日子の探偵日記が綴られていきます。
ここでも掟上今日子の特性が遺憾なく発揮されてます。また、彼女の個性も爆発(?)。お金に厳しいことや、最速の探偵の矜持などが強調されています。
必ず、「初めまして。」から始まる挨拶、そして待ち合わせの時間には必ず今日子さんの後から現れないといけない、という。
そしてまた、西尾維新もまた色々と趣向を凝らして、この本を作り上げているかのようですね。特に本書では、「叙述トリック」について、色々と研究した上、別の事件で実際にその手法を試しているという、念の入りよう。思わず、笑ってしまいました。
「忘却探偵」シリーズも6冊目ですね。けっこう面白くてさくさくと読めるようになりました。
さて本書ですが、当初手に取った時は、タイトルとその表紙絵(今日子さんのウェディング姿)からてっきり彼女の結婚に纏わる話で、読み始めからあの隠館厄介の語りの回だったので、「あぁ、彼と結婚するまでの話か」とも思っていたのですが、あに図らんや。なんと隠館厄介が、ある意味やっかいな女性からプロポーズされ、おまけに脅迫されるという災難の話だったとは・・・。帯を最初に見れば(誤解すること無く)よかったのですが、図書館から借りた本ですので、裏表紙裏に帯が貼り付けてあったりするので読んでいなかったりしたのでした。
さて、隠館厄介の恋愛物語(?)にどうして「最速の探偵」が必要となったかというと・・・、まぁ、それは置いておいて、このシリーズの著者である西尾維新は、とても頭の良い人だなぁ、と思ったりしています。また、言葉(文章)に敏感でかつ知識も豊富な方だとも思ったりしています。今日子さんが何気ない言葉の端々から事件の真相を、感情の機微を窺うあたりにそれが見られるようで、なるほどと感心したりもします。
さて、次巻はお金に厳しい今日子さんについて「掟上今日子の家計簿」ですね。読むのが楽しみです。
"accel world 21" - 「アクセル・ワールド 21 ─雪の妖精─」
ついにオシラトリ・ユニヴァースとの決戦の火蓋が切って落とされた(!)。
と、いきなり決戦の舞台が領土戦から無制限中立フィールドへ移行され、更に白の王の罠が一重二重にも発動し、新生ネガ・ネヴュラス主要メンバーたちが全損の窮地に陥ることになります。
もう後は総力戦ですが、ネガ・ネヴュラス劣勢は変わらず。シルバー・クローとライム・ベルだけが辛くも窮地を脱するのが精一杯な状況となります。それでも必死に希望を見出そうとするネガ・ネヴュラスのメンバーたち。
本当に息も継がせぬ展開の連続で、そして事態は思わぬ方向へ・・・、と相変わらずエンターテインメントしています。著者の川原礫のさすが、と言わせる展開ですね。一気に読んで楽しませてもらいました。
「忘却探偵」シリーズ初の短編集です。それぞれが独立した4編の短編から成っています。
しかもそれぞれの短編が女性警部からの視点から語られています。
そしてそれぞれの短編には死体が様々な様相であり、更に犯人の目星がつかない、難事件となっているのです。
しかしまぁ、辛酸な死体の状態 ─ バラバラ殺人、絞殺殺人、飛び降り、そして水死体 ─ がありますが、遺体は全て移動させてあり、直接死体を観ることはありません。
今日子さんはその事件現場を訪れるだけで、事件を解決に導くのです。そしてそれぞれの女性警部から見た今日子さんが、とても興味深く表現されていました。「最速の探偵」と言われるゆえんもまたそれぞれの違った視点から、そして今日子さんの「人となり」もまたそれぞれの印象が語られており、とても興味深く読むことができました。
隠館厄介が再度登場します。それは、例の冤罪体質である彼のこと、大怪我を負わされたにも関わらず参考人として疑われているような状況です。怪我の原因は、天から降ってきた少女に激突された、すなわちビルの屋上から飛び降りた少女が、たまたま通りかかった隠館厄介に激突したためという。
一方でその少女が残した遺言書に書かれた内容により、ある漫画家が筆を折る決意をし、そのため隠館厄介のかつてお世話になった先輩の編集長が苦境に立っていることから、隠館厄介は、忘却探偵である掟上今日子に、その遺言書に関わる真偽を調査して欲しいと先輩に紹介し、依頼することに。
表紙絵がセーラー服の今日子さんでしたので、何やら学生のときのエピソードかと思いましたが、あに図らんや、調査のための変装なのでした。
それにしても、今回の案件は、何やら無理筋だったような気がしますね。少女が意識不明の重体であるために事情聴取も、そして家庭環境もはっきりしない中で、彼女の性格などを推測するのは、ちょっと難しい、というか・・・、ちょっと強引なところもあったような気がします。いえ、ストーリーそのものは面白くて、退屈すること無く読み進めることができました。
「忘却探偵」シリーズ第3巻です。3編の短編から成っています。
3編はそれぞれ、「掟上今日子のアリバイ証言」「掟上今日子の密室講義」「掟上今日子の暗号表」となっており、今日子さん以外の登場キャラクターは全て初めてとなっています。
今日子さんが、「忘却探偵」であり、今日出会う人達は全て初対面であるように読者に対してもそのような印象を抱かせるように書かれているかのようですね。
それにしても、「忘却探偵」という設定は斬新ですね。守秘義務は完璧に実行されますし、記憶の途切れない1日で事件を解決に導かなくてはならないため、付いた通り名が「最速の探偵」。また、ほんの一時でも眠ると全てを忘れてしまうことを逆手に取って、事件の推理をリセットし、新たに予断無く推理し直すことができるというのも秀逸ですね。今日子さんのお金に厳しい、という性格もまたいいですね。親近感が湧きますね。
次の巻もどのような展開を見せるのか、読むのが楽しみです。
"FUN for ALL. ALL for FUN. A M A N C H U !" - 「あまんちゅ! 第2巻、第3巻」
てことぴかりが出会い、知り合って、ダイビング部に入部した日から、てこが、オープン・ウォーター・ダイバーの資格を得るまでが描かれています。
ダイビング部には双子の姉弟が先輩としており、彼らとともに過ごす部活動の日々。
天野こずえらしく、平凡な日々の中からも色々な発見、感動を見出していく過程が眩しく、少し気恥ずかしい・・・。
一人で読むコミックだから読めますが、恥ずかしいセリフ満載です。
あぁ、それから、ありあと姫に再会できたのもまた嬉しかったですね。
"DREAM ∞ CLOCKS" - 「からくり夢時計 上・下巻」
小学6年生の聖時は、商店街の時計屋の次男。母は生まれた頃に亡くなり、父と年の離れた兄と住んでいます。
聖時の視点から語られるタイムスリップの不思議体験。
そして知らなかった過去が次々と明らかになっていく過程で、自身をも見つめ直すことに。
小さな頃の兄(自分と同じ年齢ですが)との出会い、亡き母と祖父との出会い、賑やかだった商店街に影が差すようになった頃の状況、様々な懐かしい風景が現実となって聖時の周りに存在しています。そこで知った真実。
ほっこりと心が暖かくなる読後感でしたね。
"HEAVY OBJECT The Coming of Third Generation" ー 「ヘヴィーオブジェクト 第三世代への道」
「もうお前達庇いきれん。ちょっと頭を冷やして来い。」と言われ、左遷されたクウェンサーとヘイヴィアでしたが、トラブルは彼らを追ってやって来るのでした。
しかも最後には王位継承問題にまで巻き込まれ、第一世代オブジェクトと第三世代オブジェクトとの御前試合に干渉するまでになってしまい。
王統王国内の上の権力争いに巻き込まれる形で、今回はストーリーが展開します。そんな中、彼らもまたドラゴンキラーという名称を頂戴しており、軍内部でも持て余し気味なはみ出し者の扱い、が確定しているようです(笑)。
そして、今回も生き延びた二人でしたが、結局どの部隊でも彼らを持て余し、結局はフローレイティアの元に戻されることに。
もう、ハチャメチャな展開は従来通り。彼らの軽口も従来通り。楽しく一気に読んでしまいました。
"HEAVY OBJECT Purge of Technopics" - 「ヘヴィーオブジェクト 死の祭典」
シリーズ第5巻ですが、本書はいわゆる番外編(?)とでも言うのでしょうか。世界観は同じでもこれまでの登場キャラクターは全て出てきません。何の予備知識もなく本書を読み始めで、いつ本編(?)と繋がるのかと思っていたのですが、ついに最後まで繋がることはありませんでした。
さて、舞台は「テクノピック」と呼ばれる4年に一度開催されるアスリートの祭典なのですが、オリンピックとはまるで様相が違い、勝つためにはあらゆる手段が採られているような、そしてウェアもまた企業の宣伝活動となっているような、「死の祭典」となっています。
そこに『資本企業』航空PMC所属のエリートである12歳の少女が参加します。彼女が本書のヒロインですが、アスリートというより兵士であるマリーディは、「死の祭典」である競技をくぐり抜け、メダル獲得を目指す。
これもまた荒唐無稽な話なのですが、そこはライトノベルの世界ですから、美少女が活躍すれば OK みたいな(?)のりで物語は進行するのでした。今回、オブジェクトの戦闘はありませんが、彼女自身が兵士として目一杯の活躍となります。肉弾戦、地上戦、水中戦、そしてエリートパイロットとしての空中戦と次々に戦闘を行います。
そして、テクノピック会場そのものを壊滅させようとする陰謀に巻き込まれた彼女は、数百万人の民間人を救うべく、孤軍奮闘するわけですが、その行動力、展開に一種、爽快感さえ感じさせるくらいです。
いつか彼女とクウェンサーたちが交わることはあるのでしょうか。ちょっとだけ(?)興味があります。
"HEAVY OBJECT Theoretical Vein" - 「ヘヴィーオブジェクト 電子数学の財宝」
シリーズ第4巻です。副題の「電子数学の財宝」とは、初めて耳にする言葉ですね。
"Theoretical":「理論的な」、"vein":「静脈、血管、鉱脈」という意味らしいのですが、本書では人工的に他の原子から既存の原子を造り出す、というような意味で使用しているようです。
オブジェクトには何ら関係のない題のようですが、はて。
今回は、オブジェクトというよりも、この世界の資源にまつわる話がメインのようです。
それにしても、グロい悲惨な状況がさらりと表現されています。戦争状態を扱うのですがら当然といえば当然なのかもしれませんが。人死も沢山出てきます。オブジェクトが大量破壊兵器として最強ということが分かりますね。ただそれを操るのがエリートという少女だというのがライトノベルらしいところなのですが。
2016.11
"A girl sleeps in the ocean of magdala." - 「少女は書架の海で眠る」
「マグダラで眠れ」シリーズのスピンオフですね。「マグダラで眠れ」と同じ世界で、登場キャラクターたちは、異なりますが。ただ「マグダラで眠れ」では、名前だけでしか無かったあの人も登場しています。
また、日本語タイトルでは、「マグダラ」の文字は出てきていませんが、英語タイトルでは、"Magdala"と表記されていますね。主人公の「マグダラ」が「書架」であることを暗示しているかのようですね。
主人公の少年は、将来は書籍商になるのが夢です。そんな彼が、ある修道院にたった一人取り残された少女と出会うことからストーリーが始まります。帯の文にもありましたが、ビブリオ・ファンタジーですね。
書籍がとてつもなく高価で、貴族の趣味として取り扱われていた時代の話です。とてもエキサイティングでアクションシーン満載の対極にあるかのように、淡々と静かに物語は進行していきます。
更に何と言うか、いわゆる悪人というものは登場しません。悪意に満ちた世界であることは語られていますが。ちょっと不思議な感覚に捕らわれますが、ちゃんとエンターテイメントしているのは流石ですね。
"HEAVY OBJECT global shadow" - 「ヘヴィーオブジェクト 巨人達の影」
第3巻です。第2巻と同じような連作短編形式(中編かな)となっています。
昨日の味方は今日の敵(何か違うような)というべき、『情報同盟』軍のヘヴィーオブジェクトとの死闘があったりします。
「次にあったら敵同士。待っているのは殺し合い。」な世界がさらりと描かれています。また、オブジェクトの操縦席に乗り込んだクウェンサーの体験が新鮮でしたね。そして、エリートの人間離れした身体能力の高さにも。計算能力が向上しているのみならず身体能力もまた飛躍的に向上していたのですね。ガーリー・エアフォースのアニマを彷彿とさせますね。
"HEAVY OBJECT an audition war" - 「ヘヴィーオブジェクト 採用戦争」
連作短編形式で、マスドライバー財閥との戦争を描いています。
そして、主人公たちの裏事情というか、背景についても色々と言及されています。
ただ、第1巻にあった終章でのフライド評議員との戦闘の行方が、まるっきりスルーされているのはなぜ(?)。名前すら挙がってきませんね。どのように解決したのでしょうか。気になりますね。
さて、相変わらず生身の身体でオブジェクトに立ち向かう二人でしたが、(やっとと言いましょうか)ようやくこの小説の楽しみ方が分かってきた、と言った感じですね。
細かな設定の矛盾などは気にせずに、単純にこのオブジェクトというものが勝敗を決する世界観を楽しめ、ちゅうことですね。そのような世界の常識・定説を覆していく主人公たちの活躍を楽しめ、と。
ということで(おい)、第3巻でも主人公たちの活躍を楽しみにしたい、と思います(笑)。
鎌池和馬著による「とある魔術の禁書目録」シリーズに次ぐ新シリーズ第1巻です。私がこの著者の作品を読むのは、これが初めてだったりするのですが(汗)。
さて、物語の部隊は、世界各国の国そのものが姿を変えてしまって、いくつかの勢力がモザイク様に散らばり覇権を争っている近未来となります。
そしてそこには、戦争の有り様を根本的に変えてしまった超大型破壊兵器「ヘヴィーオブジェクト」がある世界です。
荒唐無稽な状況ですが、けっこう真面目に設定がなされていて、面白く読むことができました。
「ヘヴィーオブジェクト」の操縦者が美少女という設定はライトノベルとしての王道ですが、彼女と交流を深めていく主人公たちとの関わり方もまた王道ですね。ただ、主人公の性格とその天才的な発想と行動には、ちょっと違和感があって、なかなか感情移入することができませんでした。それでも、物語の進行は、テンポ良くスピード感ある展開で、退屈すること無く一気に読むことができました。
今巻は、終章にも関わらず、次巻への「引き」が思いっ切りあり(笑)、次巻がとっても楽しみな構成となっています。これは、続けて読まなくては!(笑)。
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ VI」
ニールベルクを出たクースラらは、密偵とともにアブレアの足跡をたどるように、天使が降臨し、金銀を生み出す灰を授けたという不思議な伝説の残る町ヤーゾンを訪れる。
そこで見たのは、市壁内の住人や職人たちと市壁外の広大な森に炉を構える硝子職人との、燃料を廻る確執であり、硝子職人たちを実力で排除しようと、一触即発の危機でもあった。
そのような状況の中、クースラたちは、かつての奇跡の灰を再び見出し、平和を見出すことができるのかどうか東奔西走することになります。
硝子職人の親の親の代を費やして灰を求めても見つけることができなかったのだが、確かに存在したという証拠を見つけ、再発見に努力する様が、職人でなく錬金術師の視点から描かれていくのが面白いですね。まさにものの見方を変えると見えないものが見えるという、その発想の逆転の過程が面白く感じました。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 11」
のっけからピンチです。しかもベル・クラネルは、オラリオの住民や冒険者たちからも白い眼で見られたりしているのです。
それでもベル・クラネル等《ヘスティア・ファミリア》は、ウィーネ等《異端児(ゼノス)》たちを救出しようと動き出します。
ゼノスたちの心情が健気ですね。そして、ベル・クラネルを取り巻く仲間たちもまた。彼を信じ、助けようと結集していきます。
そして息もつかせぬ脱出行、二転三転する展開に目を離せなくなり一気に読んでしまいました。
第9巻から続いた「異端児編」は、これで一旦は終結して、次巻からはまたダンジョンでの冒険に戻るようです。次巻も楽しみですね。来年春の発売が待ち遠しく思います。
「忘却探偵」シリーズの第2巻となりますが、掟上今日子以外のキャラクターは、全て初登場です。てっきり隠館厄介もまたワトスン役として、物語を綴るのかと思っていましたが、今巻では、親切守がその役を担うことになります。また前巻は、連作短編集の形式でしたが、本書では、長編形式となっています。
さて、親切守は、その名の示すとおりに警備員が天職と考えており、大手警備会社に勤めています。そんな彼が美術館の警備中に出会った3人により、人生の転機を迎えることになります。その3人の内の1人が掟上今日子なのですが。
そして、親切守が巻き込まれる殺人(未遂)事件。雇い主の刺された現場に居合わせた親切守と掟上今日子は、救命処置を施し救急車に被害者を乗せた後、事件の犯人を探すことになります。
「忘却探偵」シリーズは、トリックはありませんが、解決に至るまでのテンポの良さが身上でしょうか。そして掟上今日子の持って回った解説とワトソン役の親切守によるミスリードにより読者を煙に巻くような構成もまた。
次巻も読むのが楽しみです。
西尾維新作「忘却探偵」シリーズの第1巻です。西尾維新作品を読むのはこれが初めてとなります。
ライトノベル的なけっこう軽めの小説で、さくっと読めてしまいました。
探偵の設定がユニークですね。一度睡眠をとってしまうと、全てを忘れてしまうという。そのために事件の解決は1日で、そして翌日には依頼があったことさえ全て忘れてしまうため、クライアントに対する守秘義務は完璧。
そして名探偵の助手(というか依頼主)ワトソン役の隠館厄介もまた、尋常でない巻き込まれ体質であり、犯人と疑われること数知れず。ということで、事件の数々もまたユニークなものとなります。
そして物語は、隠館厄介が関わることになる事件を中心に展開することになります。
また、掟上今日子自身も謎を抱えていて、自身その謎を解くことを目的に探偵になったようなことが書かれていましたね。
次巻も読むのが楽しみですね。
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ V」
カザンの町に隠されていた伝説の技術を蘇らせ、カザンの町から脱出を試みる騎士団とクースラたち。しかもその脱出には、傭兵(兵士)の数が圧倒的に足りず、また燃料とも足りず、やむを得ずフェネシスを戦女神として押し立てて進軍することに。そして奇跡の技術と伝説の戦女神の効果により、奇跡の脱出を成し遂げてしまうのでした。
騎士団らと逃げ込んだ港街ニールベルクは、騎士団の一大拠点であったが、程なくして強大な敵に取り囲まれてしまい、しかも巨大な最新の投石機にて攻撃するように至り、またもやクースラたちは絶体絶命の窮地に陥ってしまう。果たしてクースラたちは、奇跡を起こしてこの窮地を脱することができるのか。
とまたもや窮地に立たされたクースラたちの活躍が見どころとなります。派手な戦闘シーンとかはありませんが、スピード感あるはらはらどきどきの展開となりました。
本巻で、クースラたちは騎士団の部隊と離れて、更に北のその先を目指すことになります。次巻も楽しみですね。
2016.10
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ IV」
カザンへの旅の途中に、ラトリアの女王が正教徒に改宗したとの報がもたらされる。異教徒の町カザンが正教徒の町になり、クラジウス騎士団は侵略者とみなされる恐れがでてきたが、何とかクースラたちは、町への入植を果たす。
ところが、強大に成り過ぎた騎士団を討ち滅ぼそうとの陰謀に嵌められ、カザンは軍勢に取り囲まれてしまい、脱出も困難な窮地に追い込まれてしまう。
戦場に活路を見出すべく奮闘するクースラたちであったが、偶然にも異教徒の町であったカザンにある伝説から隠された技術を発見することに。
クースラたちは、騎士団とともにカザンから脱出することができるのか。という緊迫した場面で本巻は終わっています。
いわゆる伝説であって存在しないと思われていたものが、何かその伝説の元になったものがあるのではないか、と探す過程が非常に興味深くもあり、ここに至ってフェネシスの出自が絡んでくるというのは、うまい構成ですね。
次巻で、カザンからの決死の脱出行が描かれると思いますが、読むのが楽しみですね。
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ III」
カザンの町への入植を許されたクースラたちでしたが、ウェランドが大貴族の娘に惚れられて、それが元で自身が錬金術師であることを証明しなければ、グルベッティを離れることができなくなってしまいます。
クースラは、当初放っておくつもりでしたが、フェネシスが仲間を放っておくことできないと懇願すること、叶えられないと知ると無茶な行動に出ようとしたことにより、クースラは止む無く一計を案じることになります。
本書では、クースラが自身のマグダラについて、そこに至る手段について見直す、また自分でも思っていなかった性質をフェネシスに指摘されたりします。自身が定まらず、純真でありながらも仲間を盲目的に求めるような儚い風情であったフェネシスもまた、クースラと共に居ることにより、たくましくなっていく様が描かれています。
今後の二人の動向に目が離せませんね。
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ II」
前巻より、フェネシスを聖歌隊より引き取ったクースラとウェランドでしたが、直ぐに戦争の最前線の町が、このグルベッティからカザンへと移ることが知らされます。
自身のマグダラを追うためには、カザンの入植に参加するのが最善なのですが、錬金術師として目立った業績もない今では、その願いも到底叶う訳もなく。
そのようなとき、伝説のダマスカス鋼の精錬方法がこのグルベッティに隠されているという情報を得たクースラとウェランドは、一発逆転を狙い、その精錬方法を探ることにするのですが。
本書では、鍛冶屋組合の若き組合長代理イリーネがキーパーソンとなります。前巻からの伏線でもあったようでね。そして、彼女に対するクースラの態度が、これまでのキャラクターに無く、利己的な目的に基づく強引なものであることも、(ちょっと)新鮮でした。まさに心理戦と言ったようでした。
それはまた、クースラの他者に対する処世術であったようなのですが、フェネシスと出会うことにより、微妙に変化しているように感じられました。
次巻がどのような展開になるのか、楽しみですね。
"MAY YOUR SOUL REST IN MAGDALA." - 「マグダラで眠れ」
中世ヨーロッパ風世界を舞台に活躍する錬金術師の物語です。
錬金術師と言ってもオカルティックなものでなく、冶金に対して真摯に向かう話でもあります。ただし、自分の目的のためには(少々)手段を選ばないという面もあり、今風で言えば、マッドサイエンティストといった趣もあります。そんなクースラは、教会に背く行為を行った罪にて、昔なじみのウェランドと共に、戦争の最前線の町グルベッティの工房に送られることになる。
そしてその工房には、聖歌隊から派遣されたフェネシスと名乗る修道女が彼らの監視のために待ち受けていたのだが・・・。
工房の前任者トーマスの謎の死にまつわるミステリと、フェネシスが監視として使わされた真の目的が明らかになるとき、クースラとウェランドにも魔の手が忍び寄る・・・。
「狼と香辛料」の世界観と同じテイストが味わえます。キャラクターの性格はかなり変わっていますが。
眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その「先」の世界を目指すファンタジーに期待、ですね。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース VII」
前巻からの続きかと思いきや、全くの別エピソード・・・(?)。
蛍橋三尉とグリペンの出会い、そしてイーグルとの出会いもまた。でも出会い当初からグリペン、イーグルとも複座機であり、また特別技術研究室の室長であるのが知寄蒔絵という女性であり、設定がこれまでと異なっていることで、なかなか感情移入できず、読むのに苦労しました。
ただ、そこにはグリペンにまつわる謎とザイとは何かの回答が提示され、グリペンに課せられた哀しく過酷な運命が明らかになったときには、様々な伏線があったことに気付くことになります。
「ストーリーはクライマックスへ!」とありますが、本当に次巻で完結しそうな勢いですね。次巻が楽しみです。
「灰と幻想のグリムガル Level. 8 ─ そして僕らは明日を待つ ─、 Level. 9 ─ ここにいる今、遥か遠くへ ─」
グリムガルへ帰還した早々、ハルヒロたちは、偵察に出たハルヒロとユメ、二人の帰りが遅く迎えに出たランタとメリイ、そして残ったクザクとシホル、と3組に分かれてしまうことに。
その後、様々な死闘を経て、彼らが再会するまでが描かれています。
途中、ランタは仲間を裏切りフォルガンに加わることになったり、メリイをフォルガンから救出にハルヒロが単独で向かったりします。その時々で、改めてパーティメンバー各人の想いが語られていくのが新鮮であり、ハルヒロ以外のメンバーからハルヒロに対する想いを窺い知れたのもまた新鮮でした。
特にメリイのハルヒロに対する想い、というか考えが初めて聞けて、なるほどと思ったりしました。
ランタを除くパーティメンバーがようやく揃ったところですが、彼らは無事にオルタナへ帰ることができるのでしょうか。今後の展開がとても気になります。次巻の発売はいつになるのかな(?)、待ち遠しく思います。
「灰と幻想のグリムガル Level. 7 ─ 彼方の虹 ─」
ララ&ノノに導かれ、「黄昏世界 <ダスクレルム>」から「陽の昇らない国」へ足を踏み入れたハルヒロたち。そこは前人未到の異世界であり、人間の住まない暗闇の世界でもあった。
幾度も生命の危機に瀕しながらも必死に生存の途を手繰るハルヒロたち。
本書は、言葉も種族も違う異世界に紛れ込んだハルヒロたちが、幾多の危機を乗り越えて生き抜き、そしてグリムガルへの帰還までを描いています。
内容が盛りだくさんで、光明神ルミアリスと暗黒神スカルヘルがかつてこの世界、ダルングガルで戦ったという伝説まで描写されています。
また、ハルヒロのメリイに対する恋心も募りますが、ハルヒロはリーダーとしての役割を優先させ、自身の想いには封印しようとしますが・・・。
早く、続きが読みたくなってきた・・・!。
「灰と幻想のグリムガル Level. 6 ─ とるにたらない栄光に向かって ─」
やっぱり読んでしまいました、「灰と幻想のグリムガル」。というか、途中で止めることができませんでした。(知っているのだけれど)次からの展開が気になって、本を置くことがきませんでした。
さて(笑)、トッキーズと「黄昏世界 <ダスクレルム>」へと通う日々を過ごすハルヒロたち。「黄昏世界 <ダスクレルム>」の存在は既に義勇兵の間に知れ渡り、その地に村(?)まで形成されつつあります。
ハルヒロたちは、その黄昏世界で荒稼ぎできるようにまで成長していますが、あるクラン(パーティ)の行動により、危険度が飛躍的に大きくなってしまいます。
そんなときに「暁連隊」や、伝説的な義勇兵アキラと出会ったハルヒロたちは、錚々たるクランたちと共に、大規模なミッションに参加することになります。またもや命がけの死闘へと向かうことになるのです。そしてハルヒロは、伝説のソーマを中心にして、言わば超人的な活躍を見て、圧倒されることになります。
また、ハルヒロは夜中にメリイとクザクが二人で出かけるのを見て、メリイに好意を寄せている自分に気付くことになります。ただし、恋愛経験皆無なハルヒロは、リーダーとしての立場もあり、そのような感情にも戸惑うことになりますが。
ハルヒロは、凡人、凡庸であることを自覚していますが、それでも凡庸なりに(生き抜くために)できることを精一杯努めます。それこそ真摯に、真面目に。そのような彼であるからこそ、パーティメンバーからも信頼され、彼に従うのです。
「黄昏世界 <ダスクレルム>」の死闘から、次の見知らぬ世界へと向かうハルヒロたちの軌跡を追うのが楽しみですね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 5 ─ 笑わないで聞いておくれよ ─」
ひょんなきっかけから読み直している「灰と幻想のグリムガル」シリーズですが、もういつの間にか第5巻(笑)。
ハルヒロたちは、ワンダーホールを狩場として攻略に勤しんでいます。
最初は、パーティ全滅の縁にまで追い込まれたハルヒロたちでしたが、4ヶ月も経つ頃には、何とか攻略方法も板についてきて、負傷すること無く切り抜けられるようになってきました。
そして、そのときに発見した新たな穴。探索するかどうか逡巡しているときに、トッキーズと遭遇。2パーティでその新たに発見された穴の奥を探索することになるが・・・。
全く新しい別の世界「黄昏世界 <ダスクレルム>」での死闘にはらはらさせられます。また、変わり者たちの集団トッキーズとハルヒロたちのパーティとの対比が興味深い。ハルヒロのリーダーシップが試されますが、地味で慎重な自身の性格との間で色々と葛藤することになります。
それにしても、ハルヒロたちとランタ、トッキーズとの面々との会話が楽しい。次巻も気になって仕方がなくなりますね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 4 ─ 導き導かれし者たち ─」
ちょっとだけ、さわりだけ、読み直そうかな、と思っているともう第4巻まで読破(笑)。それだけ面白くて止められない、ということでしょうか。
モグゾーを失って、パーティの戦力は半減。喪失感は元より、生きていくためにはモンスターたちを狩らなければならないハルヒロたちは、改めて彼の盾役としての存在の大きさを知ることになります。ランタでさえも、自分が盾役として十全に機能できないことに(ちょっとだけ?)苦悩していますね。はっきりと言葉にせず、憎まれ口ばかり叩いていますが。
まぁ、ハルヒロとメリイを除く他メンバーが、他のパーティからの誘いを断り、またクザクが新たにパーティに加わったりしながらも、ハルヒロたちもまた、新天地としてワンダーホールへ挑むことになります。
そこでも、実力最下辺のパーティらしく、死闘を繰り返すわけですが、何とか生き残り、明日を目指すことになります。
本当にもう死の危険と隣り合わせで、薄氷を踏むようなモンスターとの闘いの日々。ハルヒロたちは、才能の無さや実力最底辺などを実感しつつも、それでも経験を積み、一歩一歩前に進むことを選びます。本当に健気ですね。心の底から応援したくなります。
「灰と幻想のグリムガル Level. 3 ─ 思い通りに行かないのが世の中だと思い切るしかなくても ─」
デッドスポットを倒した後、サイリン鉱山で安定的に狩りができるようになってきたハルヒロたち。そんな時にもたらされた「兵団指令(オーダー)」は、デッドヘッド砦の攻略。いつかは倒さねばならないオークに対して、他の義勇兵と相まみえる利点を考慮して、ハルヒロたちはオーダーに応えることにしたのだが・・・。
一方、ハルヒロたちより後に義勇兵宿舎に新たな義勇兵のパーティが来て、そのパーティの中にチョコがいることにハルヒロは気付く。互いに記憶が無いためにもどかしい思いが募りますが、前の世界での因縁が明らかになったそのときチョコは・・・。更にパーティの頼れる存在となったモグゾーが・・・。
ハルヒロたちは、本当にいつもいっぱいいっぱいで、またいつも崖っぷちで、それでも必死に生き抜こうと努力しています。本当に健気で愛おしく思ってしまいます。
「灰と幻想のグリムガル Level. 2 ─ 大切じゃないものなんか、ない。 ─」
ゴブリン、ゴブリン、ゴブリンの毎日から、ある日ゴブリンの狩場がゴブリンの大群に占拠されているのを見て、ハルヒロたちは狩場を変えることを余儀なくされます。そして選んだのは、サイリン鉱山。そこは、かつてメリイの仲間3人が惨殺されて、パーティが壊滅した場所。
ハルヒロは慎重にも慎重を重ね、徐々に階層を深めていきます。そして、ようやく自信も付きかけた時、コボルトの群れに追い回される羽目に陥ることに。
そこからは、ランタの救出、メリイのかつての仲間だったアンデットとの対決、そしてデッドスポットとの死闘まで、一気にストーリーは進行します。
ハルヒロは、リーダーとして何とかしようともがいていますが、その葛藤がとてもよく伝わってきます。器でないこともとても良く理解していますが、それでも必死にそうあろうと努力しています。
デッドスポットを倒したことも、運が良かっただけと理解して、何とか運に頼らないで済む方法を考えています。
このシリーズは、ごく平凡で、非力な者たちが等身大に描かれていて、彼らが日々を生き抜く姿を記していきます。読んでいて飽きがこないばかりか、自身の姿を投影することができ、素直に感動することができました。
「灰と幻想のグリムガル Level. 1 ─ ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ ─」
第9巻(Level.9)で、メリイがハルヒロたちと出会ったときの回想シーンがあったことを、ふと思い出し、第1巻(Level.1)を手にとって見ると...。面白くなって、1冊一気に読み直してしまいました(笑)。
けっこう忘れているものですね。あれっ、このような描写あったっけ、と思うことしきり(汗)。何より、TVアニメのシーンとごっちゃになっていて、戸惑うことも。
更に、本書では、ストーリーの展開が早く感じられました。
本当にこの頃は「駆け出し」の「初心者」レベルでしたね。素人が才能とか適正とかもなく、ただ必死になって生き延びようとする、ただそれだけの毎日。装備もみすぼらしく、同期の中でもはずれ者の集まり、最底辺の見習い義勇兵たち。ちょっとした油断からマナトというリーダーを失ってしまうほどに。
キャラクターが等身大に描かれていて、すんなりと感情移入してしまいました。
高野苺原作コミック「orange 【オレンジ】」の映画版ノヴェエライズで蒔田陽平が著者となっています。残念ながら原作コミックも映画も未見です。そう言えば、つい最近までTVアニメ化されて放映していましたね(これも見ていませんが)。
タイムスリップもの、というより10年後の未来の私から手紙が届いて、過去を変えて欲しい、という。
原作が少女コミックらしく、恋愛小説風であり、スリル、サスペンスそして派手なアクションシーンはありませんが、高校生活での6人の友情を中心に甘酸っぱい青春時代の風景が切り取られていきます。
青春時代特有の揺れ動く心情から臆病であった自分に対して、そして様々な後悔をしないように。ただ、それは自分のためだけでなく、友人の、仲間の、想い人の幸せを願ってのことで。
映画も、原作も読みたくなってきました・・・(笑)。
"Shinkai Cafe 20000 Leagues Under the Sea" - 「深海カフェ 海底二万哩(マイル) 2」
「深海カフェ」のマスター深海と常連客となった来栖倫太郎(リンちゃん)は、今日も《心の海》に落とした《宝物》を求めて出掛けています。
最初の客は、いわゆるニートのオタク。フィギアと円盤を父親に捨てられ、心から何かを落とした様子。その大切な《宝物》とは。
次のお客は、婚期を焦り、婚活に精を出すも、今日もまた振られた様子。彼女が落とした《宝物》とは、一体何なのか。
そして、ついに深海の正体が明かされます。それは、リンちゃんが、彼の仇敵(?)とも言える「シータ」に関わることによって。深海の窮地を救うべく、リンちゃんがとった行動とは(?)、そして深海は無事に回復することができるのか、というスリリングな展開となります。
でも緊迫感はあまりなくて、まったりとした空気感が漂う、そのような雰囲気の中、物語が展開します。結果もまたほっこりとするようなものでした。
次巻もあるのかな(?)。何度も読み返すような読み物ではないとは思いますが、一度は読んでみたい本というところですね。
"OVERLORD 11 The craftsman of Dwarf" - 「オーバーロード 11 山小人の工匠」
夜に読み始めて、夜を徹して読んでしまいました。
とても面白かったです。読み終えても、しばらくは気になるところを何度か読み直したほどです。
前巻もそうであったように今巻もまたアインズが主となって未知の地を切り開く展開となっています。目的は、アゼルリシア山脈に住むというドワーフのルーン工匠を求めて、その起源とユグドラシルとの関連を調査し、プレイヤーが存在するかどうか確認すること。もちろん、ルーン工匠たちの技術の独占をも狙っています。
ストーリーは、まさにアインズにとって都合の良いタイミングで、都合よく展開します。
彼の言動が、階層守護者たちの尊崇を集めることになるのもまたいつも通りです。読み進めるのには何のストレスもなく、すいすいとストーリーは展開します。そして、ドワーフ、クアゴア、さらにフロスト・ドラゴンも魔導国に取り込んでしまうのです。
また、ほんの一言ですが、懐かしくもあり、これまで読んできた読者にはたまらない言及もあり。それは、フロスト・ドラゴンについてなのですが、(以下、引用)。
ふと少年・・・・・・いや、少女の顔が薄れつつある記憶から浮かんだ。
「確か、調べてくれるという話だったかな・・・・・・。残念だよ」
"Shinkai Cafe 20000 Leagues Under the Sea" - 「深海カフェ 海底二万哩(マイル)」
蒼月海里作品は本書が初めてになります。
とってもライトな小説でした。スイスイと途切れること無く一気に読んでしまいました。
「あなたの《心の海》に落とした《宝物》拾って差し上げます。」と帯の文にあるように、深海カフェのマスター深海 <ふかみ> は、心の海へ出かけていきます。
主人公である来栖倫太郎(リンちゃん)は、そんな深海カフェに訪れたお客の一人ですが、彼の《宝物》が何かは、本人には記憶も自覚もありません。そうこうしている間にも別のお客が次と次と深海カフェを訪れ・・・。
物語の発想がユニークですね。また、《心の海》の造形もまたユニークです。様々な深海生物に出会いますが、彼らの姿形が特異であり、また独自の生態系をなしていることから幻想的な風景が拡がります。それが厳しい生存競争の場であったとしても。
古本屋で購入したので、気が付きませんでしたが、本書は、平成28年1月25日 初版発行で、つい最近発刊されていたのですね。第2巻も同時に購入したので(できたので)、奥付を見るまで知りませんでした。
2016.9
目を離すことができずに一気に読んでしまいました。
タイトルと表紙絵からノラ猫との楽しい話かと思ったのですが、それが大きな間違いでした。裏表紙にあるあらすじもさらっと書かれていたので、そのように思っていたのですが。
あたしの名前は向井典子、あだ名は「ノラ」。彼女の一人称で語られていきます。それは、生まれてからの母親(一人親)からの虐待の話。そして、小学校からのいじめの話。本人は、物心ついたときからの虐待の精からなのか、壮絶ないじめに会っても哀しく思うだけです。
周囲はそのような彼女の生い立ちを知っても、仲間はずれにして、いじめをエスカレートさせます。
そしてある日、ノラはみんなへの復讐を決意します。
学校教師もまた苛める側であるのが救いようがありませんね。皆が彼女に暴力を振るいます。母親の元を飛び出して、父親のもとに逃げ込んでも、父親もまた彼女に暴力を振るうようになります。
もう彼女が哀しくって、切なくて、思わずぎゅっと抱きしめたくなりました。
色々と考えさせる物語でした。
「なぜ日本の『ご飯』は美味しいのか ~韓国人による日韓比較論~」
外食する日本のご飯は、あまり「美味しい」とかいうのは意識せず、「このようなものかなぁ」という漫然な感想しか抱いたことがありませんでした。まずくはない、とは思いますが。
で、本書を読んでみると、韓国の外食に提供される「ご飯」との比較だったのですね。私の「外食する」というイメージのひとつは、家庭では食べることができない「美味しいもの」を食べに行く、というものがありますが、「ご飯」は主食であまりにもメジャーなもので、そんなに「美味しい」かどうかは考えたことがあまりありませんでした。すなわち「不味くない」というのが当たり前だったのですが、韓国人の方から見ると、それが「日本のご飯は美味しい」ということになるのですね。
本書は、シンシアリーとその姉と姪の3人での日本旅行記(2泊3日)での出来事を綴ったものですが、日韓比較論として興味深いものがありました。あまりにも日本絶賛のように捉えられて、ちょっと気恥ずかしいところもありましたが、韓国人の考え方にも触れられて、そして考えるところも色々ありましたね。それで、本書の感想を総じて一言で言えば、「日本人に生まれてよかった」と言ったところでしょうか(笑)。
"FUN for ALL. ALL for FUN. A M A N C H U !" - 「あまんちゅ! 第1巻」
楽しくて、2回ほど読み直したりしました。
東京から来た「てこ」こと大木双葉と、地元伊豆の海大好き少女、「ぴかり」こと小日向光が、同じ高校(夢ヶ丘高校)の新入生、同級生として出会います。
何事にも積極的で明るい「ぴかり」とまるっきり反対で引っ込み思案な「てこ」は、「ぴかり」に引きずり回されるようにして「ダイバー部」への(仮)入部します。
天野こずえらしい漫画表現で、恥ずかしくなるようなセリフ満載(!)。日常のちょっとした出来事が、それこそ運命的なものであったかのように描かれていきます。女の子らしい「かわいい表現」と言えばいいのでしょうか(よく分かりませんが・・・)。
彼女らが送る高校生活に目が離せなくなりそうです。
それにしても、タイトルの「あまんちゅ」というのは、どこの言葉で、どういう意味なのでしょうか。ひょっとして、「海女の連中」の略、それとも・・・(?)。2巻以降のどこかで説明があるのかしらん(?)。
"IN HER NAME: FIRST CONTACT" - 「女帝の名のもとに ファースト・コンタクト 上・下巻」
本邦初訳、マイケル・R・ヒックスの「女帝の名のもとに」シリーズの開幕です。全9部作となるようです。本国アメリカでは、本書に続く3部作よりも次に続く3部作が先に発表されたようです。映画「スターウォーズ」のようですね。そして、この6冊が「クリーラ/人類大戦」を扱っています。
太陽系外に版図を広げた人類は、そのテラ航宙軍探査艦 <オーロラ> の唯一の生存者であるイチロー・サトウにより、ファースト・コンタクトの報がもたらされる。そして、その異星人、クリーラン帝国が侵略してくるという。
人類より遥かに進んだ科学技術を持つクリーラン帝国がユニークなメンタリティを持つ異星人として描かれています。まるで狂戦士の群れですね。しかもいくつかのカーストに分かれ、唯一絶対の女帝に絶対の忠誠を捧げるという。
人類側もまた主人公がイチロー・サトウという日系人の植民惑星出身という、日本人のメンタリティ(サムライですね)を色濃く反映した人物となっていること。
ストーリーは、<オーロラ> のファースト・コンタクトの様子に続き、地球側が侵略に備えるやいなや、もうすぐに一つの惑星をめぐる戦争に突入します。宇宙艦隊戦もあれば、地上戦もあり、本当に行き着く間もなく戦闘に次ぐ戦闘、死闘が続きます。
一気に読んでしまいました。
次巻の発刊が楽しみなシリーズですね。
"TERRA FORMARS 8th MISSION - 11th MISSION" - 「テラフォーマーズ 第8巻~第11巻」
前巻までの内容は全部忘れていましたが、読み返すこと無く第8巻から読み進めました。で、そのまま読み進めることができたというのが何とも・・・(笑)。
とにかく戦闘に次ぐ戦闘ということで、読んでいる間は退屈することはありませんでしたが、読み終わってからは、はてな(?)。ストーリーとしては遅々として進まず、フラストレーションが溜るような。もう、現場は無茶苦茶な修羅場。当初の目的は蚊帳の外として、各国家のエゴが丸出し。それに命を賭ける現場の身にもなって欲しい、というところでしょうか。
人類が自分勝手で救いようのない愚劣さを備えている、というメッセージは強烈に伝わってきますね。火星をテラフォーマーズに明け渡すことが前提のような雰囲気さえあります。
地球がパンデミックの危機に瀕し、絶滅しようかというときに、テラフォーマーズを火星に進化のままに放置すれば、早晩地球を侵略しに来る、ということが想像できないのでしょうか。現場の兵士が使い捨て、と考えているようですが、現実に直面している現場にとってはたまったものじゃないでしょうねぇ。
でもまぁ、読んでいる間は楽しいので、今後も機会を見つけては読んでみようかなと(笑)。
野笛藩で美女相撲が行われ、優勝者となった今井一期(イチゴ)は、なんと「大奥へ野笛藩出身の座敷童子を連れ戻してくること」という使命を言い渡される。座敷童子が戻らないと藩の財政が破綻してしまうという藩存亡の危機を迎え、14歳のイチゴに藩の運命が託されることとなります。
途中、暴漢に攫われそうになりながらも何とか大奥に潜入。果たして無事、座敷童子を発見、連れ戻すことができるのでしょうか。
まず、野笛藩がなんというか、おっとりしておおらかというか、人の良さそうな人たちばかりの藩ですね。そしてまた、イチゴもまたそのような藩を代表するかのような純粋無垢な少女です。
何故か大奥に飼われている小動物たちにことごとく懐かれてしまうとか、妖怪や幽霊が見えてしまうとか、特殊能力の持ち主でもあります。そんなイチゴですが、座敷童子を探している間に、徳川家のお家騒動に巻き込まれたり・・・。
とても楽しく、さくっと読めてしまいました。続編が出版されることを希望します。
※ 今回読んだのは単行本でしたが、文庫本も発売(2016/5/13)されているようですね。
えーと、第何巻目になるのかは分かりませんが(笑)、最新刊です。
「そらとぶえんばんこっかきみつなり」と帯の文にはありますが、「えっ、空飛ぶ円盤なんて出てましたっけ」という、短編集です。(自称)未来人は出てきます。その真偽の程は後に解明されるのですが、「人退」らしいといえばらしい、エンディングでしたね。ほっこりとしました。
相変わらずの主人公<わたし>、クスノキ村調停官と助手、その他取り囲む人々に久しぶりに会えました。
想像のななめ行く展開はもちろんのこと、さらりとエスプリの効いた会話が楽しい。もうほんとに一気に読んでしまいました。思わず、山の神さまにも読み聞かせしている、というようなちょっとしたエピソードも楽しい。
たまーにしても、「人退」を出版してくれれば、とてもうれしく思います。
"GOBLIN SLAYER !" - 「ゴブリンスレイヤー 3」
第3巻です。ドラマCD化され、コミカライズもされるようです。けっこう人気があるのかな(?)。
さて今更ながらなのですが、登場キャラクターには固有の名前がありません。職業名などで表されるようです。ゴブリンスレイヤー、女神官、妖精弓手(エルフ)、受付嬢と牛飼娘、等々。
そして、ゴブリンスレイヤーを取り巻く美少女たちの恋の駆け引き。例によってゴブリンスレイヤーは、朴念仁でそのような状況に気付くわけがありません。来る日も来る日もゴブリンを倒すのみに明け暮れています。例え、収穫祭になっても、ゴブリンの襲撃に備えるのです。ゴブリンスレイヤー自身はまた自分の力量を正確に見切っており、少しでも勝率を上げることに余念が、躊躇が無いのです。そこには、自惚れも傲慢もまた無いのです。
ところで、今回は神ともいうべき存在が示唆されていますね。今後、どのように物語に関わってくるのか興味があります。
次巻も楽しみですね。
連作短編集となっていますが、時系列は前作からそのままの続編となっています。「これぞ堀川ワールド!」と帯にあるように堀川アサコテイスト満載の本となっています。
巻末の書評にもありますように、ドロップの缶をゴロゴロとさせて、次はどんなドロップが出てくるのか、わくわくしながら読み進めることができました。
日常と非日常が混沌としながらも、のんきにおおらかに暮らしているこよみ村。舞台は、こよみ村から竜胆市にまで拡がりつつも、その雰囲気はそのままです。
また、主人公である奈央と麒麟の恋の行方も気になります。そしてこよみ村の個性的な人たちも。
これからも続いて欲しいシリーズですね。
「幻想」シリーズに通ずる堀川アサコテイストな作品です。
「ほんのり怖くて癒される家族冒険ファンタジー」というのは帯の文。まさにファンタジーでありながらミステリアスな、そしてちょっぴりなホラーがユーモアに包まれた主人公の一人称で語られていきます。
うだつの上がらない公務員であった父が突然、故郷のこよみ村の村長選挙に出馬すると言いだし、役所をやめてしまう。出馬の理由は、「決まっているから」。
そして紆余曲折を経ながらも、主人公である一人娘、奈央からも落選確実と思っていた選挙に当選し、奈央は止む無くこよみ村へ転校することに。
そして、こよみ村で起こる事件の数々。
犯人は誰か、そしてその目的は。明らかにされる、こよみ村の秘密。と、本当に一気に楽しく読んでしまいました。
続巻も楽しみですね。
"The irregular at magic high school" - 「魔法科高校の劣等生 20 南海騒擾編」
ついにこのシリーズも第20巻を迎えました。
表紙絵からすると3年生が卒業し、春休み中の一時を描いた幕間劇かな、とも思ったのですが、実は大亜連合軍と独立魔装大隊、大亜連合軍脱走兵とオーストラリア魔法師との暗闘が描かれていたのです。
今回達也の使命は、久米島沖の人工島「西果新島」で催されるパーティにおいて、テロを防ぐ、というものです。
しかしまぁ、達也にとっては何のことは無い使命、というかもうなんでもありの戦略級魔法師の達也ですから。どんな敵が来たって手玉に取ってしまうのですけれど。それよりも、世界が司波達也と深雪に注目しだしたようなのが気になりますね。
次巻もまた楽しみです。
"Wolf on the parchment." - 「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙」
「『狼と香辛料』待望の新シリーズが開幕!」とあるように聖職者を目指す青年コルとホロとロレンスの娘ミューリの旅の物語が始まります。
ニョッヒラの湯屋で働いていたコルとミューリは兄妹のように暮らしていたが、時の教皇の横暴な振る舞いに憤るウィンフィール王国の貴族ハイランドの要請により、ある計画への参加のため、ニョッヒラを旅立つことに。当初は、コル一人で旅だったと思われたのですが、何と荷物の中に紛れ、ミューリも付いて来てしまったのでした。
この時の旅に出る、ということは二度と故郷に戻れないかもしれない、旅先で亡くなってしまうかもしれない、ということなのです。またそれゆえにミューリは、コルと別れたくない、という想いが勝ったがゆえの行動だったのかもしれません。
さて、生まれて初めて故郷を離れたミューリは、物珍しさもありますが、これまでの常識が違う世界に戸惑ったりします。
それにしても、さすが賢狼ホロの娘というか、天真爛漫、自由奔放でありながらもとっても考え深いところがかいま見えます。それについては、コルがかなわない面も多々見受けられ、微笑ましいというか、思わずくすっとしてしまいました。「狼と香辛料」テイストが生きている!、と感じられる場面もあり、楽しく読んでしまいました。
シリーズ続編も楽しみですね。
短編集となります。ロレンスとホロが、ニョッヒラに湯屋を開いてから十数年後の話となります。
冒頭、コルと二人の娘ミューリが突然旅立ったことが明らかにされます。ロレンスは、ホロに「ミューリがコルと駆け落ちした。」とからかわれる始末。
そのロレンスもまた、十数年経ってやっと村の仲間として認めてもらえるようになって来ています。そのようなニョッヒラでの日常が描かれています。そして、人であるロレンスと人ならざる賢狼ホロゆえ、その寿命の違いからくる将来についても向き合うことになります。
派手な戦闘もアクションシーンもなく、また対立的な悪役もなく、それでいてエンタテイメントの要素たっぷりなストーリーに引き込まれます。
「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙」も楽しみですね。
足利幕府の時代、京の都が舞台となります。
けっこう読むのに苦労しました。古文、日本史は苦手なのです。でも読み進めるに連れどんどんとストーリーに引き込まれ、一気に読んでしまいました。
この世に恨みを抱いたままこの世を去った着草。実は彼女は毒殺されたことが判明しますが、犯人は杳と知れず、それから京の都では怪異が起こるようになり、次々と事件が発生します。
読み終わった後から思い起こせば、それぞれの事件が伏線となり、一つの解決へと収斂していくさまは、一種爽快感さえ伴うものでした。
そして検非違使、龍雪を取り巻く個性的な人物たち。それぞれが色々な過去を持ち、それが複雑に絡み合いながら物語が展開していきます。そして全ての人物、事実が出揃い、一つになった時、明らかになった下手人とは・・・。
"STRAYER'S CHRONICLE" - 「ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3」
「新感覚アクション巨編、最終章 ─。」らしいです(帯より)。また、改めて第1巻からの表紙絵を並べてみると1枚の絵になっていたことに気付きました。
さて、物語のあらすじはともかく、最後に渡瀬浩一郎の企みが表に出てきます。更にそのキーパーソンが学であり、彼の持つ感染率 80% の致死ウィルスであることがはっきりしてきます。アゲハたちのタイムリミットが近づく中、彼らと渡瀬浩一郎との対決がクライマックスとなります。昴たちは、亘を奪還すべくその対決の場に急行しますが、そこには皮肉にも完全洗脳された亘が立ちふさがります。
生き残るのは誰か、そして致死ウィルスの蔓延を防ぐことができるのか、というサスペンスフルな展開が続きます。
一気に読んでしまいました。また、ラストの展開も(まぁ)よかったかな、と(笑)。
「僕」というタイトルの言葉にちょっと違和感があったのですが、そういうことだったのですね。
さて、物語の舞台は「剣と魔法」のファンタジー世界(あっと、銃はあるようです)ですが、「灰と幻想のグリムガル」とは様相がまるで異なります。
そこは帝國が支配し、亜人と呼ばれる異業種が人間と普通に共存している世界です。いわゆるモンスターと呼ばれ、恒常的に人間と敵対しているわけではありません。そして、主人公のカルルは亜人だったりするのです。そして、エルシーは人間のようですが魔法使いであり、何か「謎」があって、時に変身(?)したりするのです。本人は知らないようですが。また、帝國内では魔法は禁止され、魔女狩りのようなことも行われているようです。
本書では、そのような二人が出会い、旅を共にして、名も無き村にて客として迎え入れられたり、都市で帝國と反乱軍との闘いに巻き込まれたりするうちに、切っても切れない絆(?)で結ばれるまでが描かれます。
続巻も楽しみですね。
あぁ、それから、絵のことはまるで分かりませんが、本シリーズのイラストを担当している細居美恵子(TVアニメ版「灰と幻想のグリムガル」)のイラストは「好き」です(笑)。
「これはこの世のことならず たましくる ─ イタコ千歳のあやかし事件帖 2 ─」
前作「たましくる」の続巻となります。
舞台は東北弘前。主人公のイタコ千歳と幸代と安子の非日常的な日常を描いています。
イタコである千歳は、亡くなった夫の声が聴きたくなったがゆえに、イタコになったというちょっと変わったイタコです。
それでもイタコであるがゆえに、幽霊絡みの事柄にしょっちゅう巻き込まれることになります。また、同居している幸代と安子も霊感が強いのか、しょっちゅうこの世ならざるものを目撃することになります。でも、幽霊たちは、故あってこの世に出てきているのです。
イタコの千歳は、論理的に冷静に人がなした過去の出来事を推測します。もちろん、幽霊の存在は当然としながら。むしろ、幽霊たちが指し示すメッセージを的確に読み解こうとするのです。
そこには、人の営みがあり、人知れない過去があるのです。
日本らしい、いや日本にしか存在しないファンタジーですね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 9 ─ ここにいる今、遥か遠くへ ─」
せっかく出会えたハルヒロたちであったが、メリイを救出するため、ハルヒロひとりで向かう。その先でランタの裏切りに会い、からくもメリイの救出に成功し、集合場所である洞窟に辿り着く。
一方、フォルガンとの闘いの場に残ったクザク、シホル、ユメはばらばらになって、追われることに。更に飛竜の襲撃もあり。とここでも生死を賭けた闘いがこれでもかと繰り広げられます。しかも今回は、チームで立ち向かうのではなく、一人一人で闘って生き残らなければなりません。
このような中、各個人の想いがそれぞれ一人称で語られていきます。一人一人が何を考え、感じ、想っているのかが。
夜を徹して一気に読んでしまいました。次巻の発刊が待ち遠しく思います。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース VI」
帯の文にあるように今巻では、ロシアのアニマ3人娘が登場します。
ただし、3人の内ひとりのドーターがあいまい(不明)であり、これが後の重要な伏線となっています。
また、今巻では初めてアニマ同士が敵対することになります。
一方、モンゴルの鉱山で F-15J が埋もれているのが発見されますが、それがなんと千年前の機体ということが判明します。
とても SF らしいシチュエーションですね。
その F-15J の謎を追ってモンゴルの鉱山に赴くドクヒの面々と慧とアニマたち。そこで、明らかになる真実・・・が判明する直前で、この巻は終わっています。これまでは、1巻1エピソードできたのにこの巻で初めて「つづく」となっているのです。
次巻が発刊されるのが待ち遠しいですね(著者と出版社の狙い通りかも(笑))。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース V」
今度のミッションは、アニマのいないフランスのドーターの回収。
ドーターのみを輸送していた空母とその護衛艦隊が消息不明に。その後、漂流位置が判明した空母にドーターを回収するべく、フランスと自衛隊との混成部隊で、南シナ海へと向かう。
そこで遭遇した驚愕の真実。フランス軍の中尉の正体は・・・?
ということなのですが、表紙イラストにあるような美少女はいつ現れるのか・・・、と思っていると実は、という展開です。
何となくは予想していたのですが、その背景設定が新鮮でした。また、空母とその護衛艦隊を襲ったザイの攻撃方法もまた。そして、今度のミッションで明らかになるファントムの秘密兵器。ちょっとリスキーだなと感じていますが、どうなのでしょう。
今巻も楽しく、一気に読んでしまいました。次巻が楽しみですね。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース IV」
ロシアよりベルクトが亡命を求めて小松基地にやってきます。ところがベルクトは記憶喪失状態で、何故亡命を求めてきたのか不明、ロシアはベルクトなるアニマは存在しない、との応答。しかし、ベルクトの記憶が戻った時に、その驚愕の真実が明らかになる。
というミステリアスで、サスペンスフルな状況からストーリーは始まります。気になる展開ですね。
そこでまたアニマとザイとの関係がクローズアップされることになります。また、ベルクトのキャラクターにも惹かれますね。その過酷な運命が哀しい・・・。
今巻も一気に読んでしまいました。毎巻、新しいアニマ(美少女)が出てきますが、それが戦闘機とペアとなっているのが新鮮ですね。各機のスペックと特長が生かされた展開がさすが、ですね。
次巻はどんなアニマ(美少女)が登場するのでしょうか。楽しみです。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース III」
突然、厚木基地に呼び出されたグリペンと鳴谷慧。そこで、米国唯一のアニマであるライノと出会う。それは、なんと米軍との共同作戦、上海上陸作戦のための会合であった。
それは成功の確率の低い、決死の作戦であったが、日本のドーター・アニマ3機と米国軍1機、無数の軍艦、空母、艦載機との共同作戦であった。
その戦闘の最中にグリペンと慧は異様な体験をすることに・・・!。
ドーター・アニマとザイとの関連、そしてその違いは何か。ザイの目的は、人類殲滅だけなのか。という疑問が提起されると同時に、グリペンと慧との不思議な共有意識(?)などが提示されます。
SF らしい状況ですね。特にライノのことを考えるとザイとは何か、非常に気になってしまいますね。
次巻も読むのが楽しみです。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース II」
本巻では、3人目の美少女、ファントムが登場します。以降、航空自衛隊小松基地にドーター、アニマによる独立部隊が結成されます。
さて、アニマたちにも色々ないきさつがあるようですが、それぞれ皆三者三様の(極め付きの)個性を持っています。と、気がつけば、主人公慧の周りには幼なじみも含め美少女たちのハーレム状態に(!)。うーん、これもまたライトノベルの王道ですね(笑)。
そうこうしている内にも、再びザイの襲撃が。今回は、無人島に中継基地を造り、それを多くのザイ飛行艇が警護している中、その中継基地の破壊に赴くという。
そして、慧はグリペンのパイロットとしてコクピットにアニマと正式に同乗し、戦闘に赴くことになります。
ザイとは一体なんなのか。そして、アニマたちもまた。色々な謎(伏線)が交錯する中、次巻へと。うーん、うまい!(笑)。
次巻も続けて読むつもりです。
"GIRLY AIR FORCE" - 「ガーリー・エアフォース」
昔むかしの "GALL FORCE" などを想い出しながら読み始めました。
でも当然ながら設定はもちろん、ストーリーもまるで違っていて・・・。とても面白かったです。
突然中国大陸にエイリアン戦闘機「ザイ」が攻めてきて、中国・台湾・韓国は壊滅の危機に陥るところから、物語はスタートします。
主人公は高校生の鳴谷慧。彼が幼なじみの少女と共に上海から脱出する際にザイに急襲され、殲滅されそうになったとき現れたのたのが、一機のスウェーデン戦闘機グリペン。実はその戦闘機は対ザイ用に開発された兵器であり、パイロットはなんと美少女であった。
という、ライトノベルの王道とも言うべき展開。ただ、その戦闘機グリペンのパイロットの「グリペン」は、非常に不安定であり慧といる時だけ正常であるという。
そして舞台は、石川県の航空自衛隊小松基地に移り、グリペンと慧との物語が始まります。
ライトノベルらしく、楽しい本でした。戦闘機のことについては良く分かりませんが、一気に読んでしまいました。
次巻も楽しみですね。
2016.8
"STRAYER'S CHRONICLE" - 「ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2」
シリーズ2作目になります。
本書では、アゲハとの正面対決が描かれています。
荏崎昴たちに下された命令は、アゲハ一味の一人を生きたまま捕らえること。しかも、アゲハの人員構成もその特殊能力の全貌も把握していない状況での命令。
そこで、アゲハが必ず襲撃する人物が、東京での国際会議に出席する人物をマークすることに。実は、その人物はアゲハを生み出した遺伝子工学者であり、必ずアゲハが彼を殺害にくることが予想されていたのであった。
その一方で、国際会議会場であるホテルのセキュリティを構築したIT企業の社長も不穏な動きを見せ、三つ巴の死闘が交錯することになります。
スピーディな展開と様々な思惑が交錯する中、ついに正面対決となるわけですが、ここまで一気に読んでしまいました。二転三転するストーリーの先の展開が不明で、また徐々に明らかになっていくアゲハたちの構成員たちの素顔とその特殊能力に目が離せられませんでした。
次巻も楽しみですね。
"STRAYER'S CHRONICLE" - 「ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1」
(多分)本多孝好作品は、本書が初めてになります。
本書は、映画化されて書店に並んでいた頃から気になっていたのですが、やっと手にとって読むことができました。読んでみるとけっこう面白い。いや、映画は見ていません。
ライトなアクションもの、SF風味あり、というところでしょうか。
正義の味方が悪を倒していく、という単純な構成でないのは今風ですね。ただ、本書はまだまだ登場人物の紹介程度であり、様々な謎(伏線)が提示されたままとなっています。
敵対勢力(別ラインのプロトタイプ?)も姿を表しただけです。
今後の展開が楽しみですね。
少し間を置くと、ちょっととっつきにくく感じてしまいました。
ジョーロのぞんざいなしゃべり口調に対して他の美少女たちの(通常会話では)あり得ない台詞に違和感を半端無く感じてしまい。
さて、本巻ではジョーロを取り巻く美少女にまた一人加わることになります。
もう、本当にハーレム状態。ジョーロは警戒しつつ彼女らに接しますが、何事にも自分に自信のないジョーロのこと。物事を悪い方へ、自分を卑下する方へ考えてしまいます。それが読んでいて歯がゆいのですが、まぁラブコメの王道かと。
それにしても、彼女たちはだれも健気で可愛いキャラクタですね。これもまた現実ではお目にかかることのできない人たちなのでしょうけれど。そしてこれがラブコメがファンタジーである証左なのかも、ですね。
堀川アサコテイストの作品です。
・・・ ・・・ ・・・ 以上、感想終わり。
なのですが(笑)、・・・ 改めて表紙絵を眺めているとそのプロダクションの様子を表現していることが分かりますね。お抱えタレントの9割が学芸会参加気分の素人で、残り1割がローカルでしか売れない芸人、という。
その代表とでも言うべき「シロクマ大福」と、女装の麗人「ソフィアちゃん」、そして副業に占い師をしているマジシャンの「クロエ」。
伏木プロダクション社長である美魔女で元女優の伏木貴子は、東京への進出を野望していますが、お抱えタレントをローカルなイベントに送り出す毎日。
そんなプロダクションの面々が遭遇する不思議な事件。「いとをかし、いとおそろし。ドキワクのエンタメミステリー。」とは帯の文。確かに幽霊が出たり見えたりするのですが、しっかりと(人間の)犯人がいたりするのです。
やっぱり、堀川アサコテイストの作品です(笑)。
「イタコ千歳のあやかし事件帖」シリーズ第1作となります。「美少女『巫女』探偵シリーズ 1」と帯にありましたが、本の内容、雰囲気をあまりうまく表現していませんね。残念です。
ところで、「たましくる」というのは「魂来る」ということで、イタコを示す(?)言葉だったのですね。それで、そのイタコ千歳は、19歳で後家さんという。青森弘前の名家の末娘。
物語の語り部は、千歳の兄が心中を図った相手の双子の妹、幸代。どちらかと言うと幸代の方が霊感が強く、イタコである千歳は論理的に物事を見ているようです。もちろん、降霊術などの儀式は全く行うことはありません。ただ、じっと依頼者の話を聴いている、という。
時代は、昭和初期の東北ですが、その時代の雰囲気がよく伝わってきます。また、方言がよく混じっているのですが、不思議と違和感なく読めてしまいました。「幻想」シリーズにあるようなユーモアは皆無で、ミステリ色の濃い本書ですが、けっこう面白くて一気に読んでしまいました。
今年最初に購入した本をやっと手に取ることができました。
読み始めると面白くて一気に読んでしまいました。
例によって、「幻想」シリーズ共通の人物(人?)の登場が楽しい。そして主人公たちのキャラクタもまた、ちょっとだけ普通でないところも。
物語は、中学2年生の野球部エースが、ちょっとだけグレかかっている時に、ひょんなきっかけからアルバイトすることになった探偵社が舞台となります。その探偵社の顧客が、実は幽霊だったところから、その彼の事件の解決を軸に、様々なことが判明、そして一見関係ないことも明らかになっていきます。
それが、終盤に向け、一気に収束していく様はさすが、と感じさせます。
そして読後感はやっぱり、ほっこりとするのです(とんでもない、殺人事件なのですが)。不思議な感覚に襲われます。
今後も続いて欲しいシリーズですね。
「幻想」シリーズ第3巻です。この本の主人公は、3郎して文学部に入学した大学生です。彼もまたひょんなきっかけから、日記店にアルバイトに入ることになります。
そこの不思議な謎の女主人と日記を買いに来る様々な人たち。
また、シリーズ共通の人たちも何人か顔を出します。
「ほのかな恋愛が混じった青春小説。ホラーに彩られたミステリー。あらゆる要素が、少し懐かしい匂いのする幻想に放り込まれ、とろ火でじっくり煮詰めた上で、読者を引き込んで離さない疾走感がエッセンスとして加味される。」
解説、西條奈加の文ですが、さすが的確な説明がされていますね。
もう面白くって、一気に読んでしまいました。次巻も楽しみです。
「ほんのり恐怖でほっこりとする『癒しファンタジー』に恋が加わった!!」というのは帯の文ですが、この本の内容を的確に表現していますね。「『幻想郵便局』で大ブレイク。」かどうかは、よく分かりませんが(笑)。
本書は「幻想郵便局」の続編に相当します。と言っても主人公は、楠本スミレという女子高生で、独立した話となっています。共通するのは真理子さんと大叔母(楠本観光グループ会長)で、外伝、姉妹編といったところでしょうか。
ただし、小説の雰囲気というか、テイストは「幻想郵便局」のままです。
スミレは学校では孤立していて、なおかつ幽霊が見えるという不思議ちゃん。彼女の一人称語りで物語は展開しますが、お嬢様育ちのおっとりとしたユーモア溢れる語り口が優しい。映画館にアルバイトすることになったスミレは、「幻想郵便局」と同じようにそこに集う人々に翻弄されることになりますが、意外な積極性を発揮して物事に当たります。また、ミステリな要素もあり、ホラーでもあり、でもやっぱりほっこりとするのです。
次作の「幻想日記店」も読むのが楽しみです。
著者の堀川アサコは、この作品が初めてとなります。
なんだか、奇妙な感覚に捕らわれた話でしたね。彼岸と此岸の境にある不思議な郵便局にアルバイトに通うことになった安倍アズサ。
そしてその登天郵便局を訪れる様々な不思議な人たち。実は彼らは普通の人間であったり、怨霊であったり、正体不明のものたちであったりしたのです。
そして、そこで安倍アズサが体験する非日常な物語。彼女は、普通の人間のはずですが、根はのんきで、特技が「探しもの」と履歴書に記入するお茶目な性格だったりするのですが、当初は恐怖を覚えていても、直ぐに順応する図太い神経を持ち合わせていたりもするのです。
この堀川アサコが描く世界は、人も亡霊も怨霊も、そして神さまも普通に隣に居合わせたりするのです。殺人事件なども絡んで、ホラー、サスペンス的な要素もあるのですが、そこはユーモアをも交えて、淡々と物語が語られます。
うーん、やっぱり不思議な小説。確かに「癒やし」小説でもあるのでしょうが・・・。心のなかが「ほっこり」するのは確かなのですがね。色々と不条理な状況もあるのですが、そこはもうどうでもいいや、と思わせるような。不思議な魅力を持った小説であることは間違いないようです。
"Aquarium Girl 3" - 「水族館ガール 3」
第3巻も前巻からそのままの続きとなっています。
一応(?)恋人同志の由香と梶なのですが、梶は関西への出向がそのまま延長され、由香はイルカ飼育員のはずが、「もう一歩プロジェクト」リーダーに抜擢され、ラッコの世話を、そして国際シンポジウムへの出席と同時に人脈を辿って、様々な体験を。極めつけは、捕獲されたマンボウの保護から飼育を、と様々な試練が降りかかります。
主人公たちの頑張りに応援しつつも、水族館とは、水族を魅せる場所なのか、水族のイメージを見せる場所なのか、とか根源的なテーマにも考えさせられました。
でも、とにかく面白い。由香と親友の久美子との掛け合い(電話越しだけど)がまた関西っぽくって楽しい。あっという間に読み終えてしまいました。ひょっとして、この続巻もあるのかな。楽しみに待つことにします。
前作「水族館ガール」の続編で、時系列もまたそのまま繋がっています。
ちなみに「7月の新刊」とありますが、昨年(2015年)7月の新刊ですので、念のため(笑)。
さて、久しぶりに読んだ本書ですが、前作の内容が朧気で・・・。でも、読んでいるうちに何となく思い出してきて、気がつけば物語に引き込まれ、あっという間に一気に読んでしまいました。
新米イルカ飼育員の由香の頑張りと、梶の真面目ぶりが素敵です。あまりにも都合よく物語が展開する様はフィクションですが、それにも増して「水族館」の仕事の裏側が覗けて楽しい。
前作と同様に2人を応援したくなりました。第3巻も続けて読む予定です。
"sword art online alicization lasting" - 「ソードアート・オンライン 18 アリシゼーション・ラスティング」
まさに大団円という感じでしたね。
キリトが復活してからの展開の早いこと、早いこと。
イマジネーションの力の解放も何の苦もなくこなし、アンダーワールド最強の戦士となってしまうところなどはさすが、というか何というか(笑)。
更にアンダーワールドの最後の死闘を決した後は、アスナを王妃として200年に渡り、アンダーワールドを導くなんて、あなたファンタジーの王道ですね。
また、完結編にふさわしくこれまで登場したキャラクタの総出演。懐かしい名前もちらほらと。
巻末にシリーズ続編の予告がありましたが、まだまだ楽しみが続きますね。
"TIN MEN" - 「遠隔機動歩兵 ─ ティン・メン ─」
著者の Christopher Golden は、これが初見となります。
現在も無人偵察機・無人爆撃機などが配備され、身を晒すこと無く攻撃を爆撃することが可能となっていますね。そして、近未来においてはそれがロボットに進化しているという。また、遠隔操作もスティックなどを用いるのではなく、操作者はキャニスターに身を横たえ、自分の意識が直接ロボットに宿り、自分の身体のように直接(?)動かすというようになっています。
そのロボット歩兵の名称が「ティン・メン」。
ダニー・ケルソは、そのティン・メンの一人であり、シリアの紛争地域に哨戒任務についたその日に、全世界規模のテロが発生し、ティン・メンたちは孤立してしまうことに。
そして「遠隔機動歩兵」とは、「遠隔操作」でないことが初めて明かされ・・・。
もうあとは、テロリストたちとの戦闘に次ぐ戦闘。無事に大統領を救出できるのか、ティン・メンの戒めから元に戻れるのか、という息もつかせぬ展開となります。
まぁ、実際問題として「遠隔機動歩兵」システムが実現するのかという基本的なことは置いといて(笑)、そのティン・メンとなった自我はどちらを自己と認識するのか、とか世界情勢がこのように混沌としているのか、またこのような全世界同時多発テロが成功するのか、つっこみどころは満載ですが、単純に楽しむことができました。
小難しく考える暇もなくストーリーに引き込まれ、いえ、引きずり回されていました。
続編のアナウンスはありませんが、その後の世界状況が気になりますね。ひょっとして、いわゆる世紀末世界になっている可能性だってあるのですから(いや、その可能性大です)。
"Inperial Radch" 3部作の第2部となります。
前作からその直後からストーリーは続きます。ブレクとセイヴァーデンは、新たに副官2名(エカルとティサルワット)を引き連れ、<カルルの慈> 艦長としてアソエク星系へと向かう。エカルは一般兵からの昇進、ティサルワットは弱冠17歳の新米将校。
「属躰 <アンシラリー>」であるブレクは、ティサルワットを将校として鍛えあげるとともに、アソエク星系、特に彼の大切に想う副官の妹が居るステーションでの「安全と安定を保つ」ために奮闘することになります。
前作で作風にも慣れてきたのでしょうか、割りと素直に読み進めることができました。登場人物の描写が殆ど無く(身長、体重、外見、特に顔の造作)、またジェンダーの区別が無いのも前作通りで、読み進めるに連れ混乱するのは相変わらずですが(笑)。
今回の舞台は、この星系から動きませんが、ゴーストゲートを通った先に何が待ち受けているのか等、幾つか謎が残されています。
次巻も楽しみですね。
著者の Ann Leckie は、これがデビュー長編作であり、ヒューゴー賞を始めとする史上初の「7冠受賞!」(帯より)らしいですね。実際、帯のこの文句に惹かれて購入したのですけどね(笑)。昨年(2015年)11月に新刊購入して、やっと読み終えることができました。いえ、他に読みたい本があって、今になって、やっと手に取った、ということなのですけれど(汗)。
けっこう読むのに苦労しました。いえ、文章が読みにくい、というのではなくて、ちょっと理解に迷うというか、認識にちょっと時間を要するというか、そのような感じで・・・。
というのも、時間経過が現在の状況描写から、回想として過去に遡るのはいいのですが、その回想している「わたし」の過去の視点が複数人で同時に存在しているのです。また、ジェンダーの区別が無く、三人称が全て「彼女」となっているため、その対象人物の認識が(私の場合)かなり曖昧なのです。宿敵(?)である皇帝も千人の同一人物でありながら、敵・味方(?)に分裂しており、それでも「わたし」から見ては、全て敵というちょっと錯綜した状況なのです。
その「わたし」にしても、元は艦の AI であり、自分の感情を理解できずに、また皇帝の命令には絶対服従という制約もあり、そして更にまた時代設定が遠き未来であり、宗教も慣習も大きく現在と異なっており、という・・・苦労しました(笑)。
それでも、ストーリーはけっこう面白くて、苦労しましたが(何とか途中で投げ出さずに)読み終えることができました。取っ付きにくいけれど、妙に味わいのある、こう SF ならではの印象深い作品でした。
次巻も続けて読むつもりです。
2016.7
"VETERAN" - 「帰還兵の戦場 1 コロニー星系の悪夢、2 軌道エレベーターの下で、3 アステロイドベルト急襲」
「帰還兵の戦場 1 コロニー星系の悪夢」を読んでみると、唐突に終わっており、なんじゃこりゃ、と思って、「帰還兵の戦場 2 軌道エレベーターの下で」を読み始めると、これも突然(前巻より)続いているようで、ここに至って初めて「3分冊」ということが理解できました(笑)。元は一冊の原著を訳出、そして刊行するときに「3分割して発刊」ということなのでした。上・下巻とか上・中・下巻とかいうのはよく手にする形式ですが、それを1ヶ月毎、3ヶ月にわたって刊行するなんて初めてでした。何故にこのような形式を採ったのかは分かりませんが、ひとつ言えるのは、3巻同時刊行とすると、880円(税抜き)×3冊 で、2,640円の出費となることです。私のような庶民(の底辺にいる者)にとっては、ちょっと購入をためらってしまうような価格設定となるのは確かですね(笑)。
ちなみに続巻は、4分冊(!)らしいです。
さて、本書の感想ですが、(海外SFらしく)読み取りにくい感情表現などはありましたが、それにも増してアクションシーンが派手で、退屈することはありませんでした。
主人公のジェイコブの一人称視点から物語が語られていきますが、彼の回想(悪夢)と前後して関連しながらストーリーが展開していく様は、うまい、という表現がぴったりです。
主人公は、ほとんど死の寸前の状態でありながら、僅かな仲間と共に戦場に身を投じる事になります。また、その仲間もジェイコブが立ち寄る先々の都市で再会し、出会った兵士たちであり、彼らもまたそれぞれ個性的で、魅力的な人物として描かれています。
続巻も楽しみですね。
"THE ATLANTIS PLAGUE" - 「アトランティス・ジーン 2 人類再生戦線 上・下巻」
アトランティス病が蔓延し(パンデミックですね)、人類の90% が死に絶える予想もある中、治療法を必死になって探すケイトたち。そしてアトランティス遺伝子に隠された秘密とは。
物語は、SF的謎解きを交えながら、スパイアクションもののノリで息付かせぬ展開で、怒涛のごとく進んでいきます。
また主人公は死んだとしても、その時までの記憶を保ったまま異星船のチューブの中で蘇るという、まるでゲームのような様相を呈してきます。
もう本当にアクションに次ぐアクションの連続で、読者は目が回りそう・・・。
まぁ、とにかく退屈せずに一気に読んでしまいました。とても面白かったけれども、なんだか疲れました・・・(汗)。
"THE ATLANTIS GENE" - 「アトランティス・ジーン 1 第二進化 上・下巻」
著者の A.G. Riddle は、これがメジャーレビュー作品のようです。デビュー作で、すでに3部作を書き上げ、本書は映画化されるとのことです。
というところで、本書の感想ですが、よく分かりません・・・(おい)。いえ、とても面白かったのですが、ストーリーの展開について行けずにあれよ、あれよという間に置いてきぼりにされてしまったようで(汗)。
まず、SF と言ってもまるでスパイアクション、スリラー、サスペンスもののそれです。いくつもの謎があり、対抗する世界的な秘密組織があり、片方は壊滅されようとしている・・・。その優勢な世界秘密組織は、世界人口の激減を狙い、アトランティスの技術を用いて疫病を蔓延させようと画策している・・・、という。
過去と現在が入り混じり、アトランティスの超技術と現代遺伝子工学などのギミックが飛び交い、人類(ホモ・サピエンス)誕生の謎まで巻き込んで、物語は進んでいきます。
登場人物も組織の闘争により、次々と死んでいきます。本書の主人公もまた様々な危機に出会い、無傷で済むわけもなく、幾度も生命の危機に瀕することになります。本当に物語の最初から、ジョットコースターに乗ったまま、最後まで突っ走ります。
で、何とか主人公たちは危機を脱するのですが、疫病は蔓延してしまい、この被害を如何に最小限に抑えることができるのか、というところで第2部へ続くことになります。
第2部への興味は尽きませんが、ちょっと一休みしてから、改めて第2部に突入したい、と思います。
"DOWL MASTERS 04" - 「ドウルマスターズ 4 ─天空の罠─」
シリーズ第4巻です。
けっこう読みにくかったですね。いえ、私の記憶力の無さが原因で、前巻までのストーリーを全く覚えていない、ということが・・・(笑)。
とにかく、前半は、龍一が中心でストーリーが展開します。あれあれっ、という感じですね。
元々がソフィアとゲノムスという軍事組織の衝突を中心にストーリーが展開していて、正義の味方はどちらか、と言うことのない世界の話ですので、さもありなんという感じでしょうけれども・・・。朱里と蒼生も傭兵上がりですものね。正義の闘い、というわけには行かないのでしょうけれども・・・。そういうところが感情移入しにくい理由なのかもしれません。相変わらず理屈っぽいし。
さて、単独で大気圏突入を余儀なくされたインドラとそのパイロット(ドウルマスター)の蒼生。先にゲノムスに回収され、捕虜となってしまいますが、その後は如何に、というところで本巻は終了。そこには裏切り者の龍一も居て、という今後の展開に含みをもたせる引きで次巻へと。・・・やっぱり、気になりますね(笑)。
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン V -サード・スクワッド・ジャム ビトレイヤーズ・チョイス <下>-」
ふと気がつけば、もう第5巻。
今巻も笑わせていただきました。とても楽しい小説でした。
読む側としては、ゲーム上のアバターとリアルを知っていて、しかもゲーム内の死闘ですので(どんな悲惨な状況であっても)余裕を持って読んでいられます。また、奇想天外な展開であっても、ゲームだからとこだわり無く読み進めることができます。何より著者が楽しんで書いていている、という雰囲気が伝わってきて、単純に楽しむことができました。
それにしても、レン、ピトフーイ、フカ次郎、エヴァとこのスクワッド・ジャムに参加する女性たちの漢らしいこと、ほれぼれとしますね。また男性プレイヤーたちの馬鹿さ加減には笑ってしまいますね。
今後もこのシリーズが続くことを祈っております。
著者の松村涼哉のデビュー作ですね。最初は結構取っ付きにくかったのですが、読み進めるうちにどんどんと引き込まれていき、一気に読んでしまいました。
推理ものでなく、ミステリーでもない。もちろん、殺人鬼が跋扈したりすることもなく(悪魔はいるようですが)、ちゃんと青春小説なのですが、様々な伏線が徐々に収束していくさまは、うまい!、と思わせるものがありました。
なんだか著者の思惑通りに読み進んでしまったかな、とも、著者の手のひらの上で転がされてしまったかな、とも。
ただ、帯にある「圧倒的感動で4,580作品の頂点に輝いた、空前の衝撃作!!」というのは大袈裟過ぎますね(笑)。いえ、面白かったけど。
"GOBLIN SLAYER !" - 「ゴブリンスレイヤー 2」
「決まっているだろう。ゴブリン退治だ」というのは帯の文。
ゴブリンスレイヤーを含む5人のパーティでの「ゴブリン退治」です。今回の舞台は、水の街の地下下水道。それはもう既に地下迷宮と言っても構わないほどの混沌とした世界。
そこでのゴブリンとの死闘。街の住人たちは、その地下がゴブリンの巣窟になっていることも知らず、平和に暮らす中、ゴブリンスレイヤーたちの死闘が繰り広げられます。そこで、パーティ壊滅寸前にまで追い込まれ、命からがら撤退を余儀なくされます。それでも、策を練り直し、再度地下に潜り続けるゴブリンスレイヤーたち。
いつしか、5人パーティでの仲間意識も強固なものとなっていきます。ゴブリンスレイヤーも仲間、ということを初めて意識するようになります。
ゴブリンスレイヤーは、超人的な英雄としては描かれていません。ゴブリン退治に固執する、ややタガの外れた人間であり、準備を十分に行ってから、知略を尽くし、死闘に挑みます。戦闘中でも、常に頭脳を働かせて最善策を模索します。飛び抜けた才能はなくとも、ゴブリン退治に特化し、愚直に実行していきます。それが他のパーティメンバーには、(万策尽きたと思われるときにおいても)常に対抗策を編み出す頼もしい仲間と写るようになって来ました。
次巻は、どのような冒険になるのでしょうか。楽しみです。
「発売直後から大反響!!『俺好き』2巻早くも登場!」(帯より)だそうです(笑)。
前巻で全校生徒からの(ただ一人を除いて)嫌われ者となったジョーロ。誤解は解けたものの、未だ、ひまわり、サン、コスモスと仲直りできずにいた。という状況から物語は始まります。
そして今巻から新たなヒロイン、あすなろが登場します。
まぁ、ライトノベルらしい軽い読みものでした。登場人物にとっては死活問題ですが、読者から見ればフィクション(あるいはファンタジー)であるし、主人公が窮地に追い込まれるのを眺めるのも楽し、キャラクター同士の会話もまた楽し。さらにパンジーがジョーロを困らせるのもまた楽し。
主人公の口が悪くて性格がひねくれてもいるが、優しさも人一倍、というのもさりげなく提示されていて、爽やかな気持ちにさせてくれますね。次巻もまた新たなヒロインが加わる予感。読むのが今から楽しみですね。
著者の駱駝は、これがレビュー作品のようです。
内容は、ラブコメです、はい。
ストーリーの多くは、(猫をかぶった)僕ジョーロのモノローグで語られます。ですので、心の声(本音)とともに自分目線で語られていきます。ちょっとふざけ過ぎかな、とも思えますが、なかなか素敵なセルフつっこみが展開されます。頭の回転も早そうですね。
さて、そこで描かれる恋愛模様ですが、ライトノベルの定番である美少女が登場します。コスモス先輩とひまわり。そして、美少女でもなく可愛くもない性格極悪の地味メガネであるパンジー。この3人とジョーロの親友であるサンを含めた5人の色んな行き違いのラブ・ストーリーが展開されます。
そこで、一番割りを食ったのが主人公であるジョーロ。誤解も多分にありながらも、何と全校生徒からも嫌われてしまうのです、ただ一人を除いて、ですが。
フィクション、ライトノベルと分かっていてもちょっとだけ哀しくなってしまいます。いえ、自業自得な面はあるにはあるのですが、何もそこまでひどくならなくても、という気がしてしまいます。ジョーロは本当にいいやつなのです。
でも大丈夫です、ライトノベルらしい(ちょっと斜め上ですが)爽やかな解決となります。ただ、恋愛模様はいよいよ複雑になりそうな予感が(笑)。次巻が楽しみですね。
"GOBLIN SLAYER !" - 「ゴブリンスレイヤー」
著者の蝸牛くもは、この作品がメジャーレビューのようです。もっとも帯にあるように Web 作品でもあったようですが。
さて本作は、数多あるファンタジー小説にあるように「剣と魔法の世界」ですが、主人公は英雄でも勇者でもありません。普通の人間が、持てる知力を尽くしてゴブリンを狩ることに特化した冒険者として描かれています。
ゴブリンは最弱のモンスターですが、数が多く、徒党を組んで襲ってくるために近隣の住民の被害は無視できないものとなっています。また、不潔で汚く、残虐であることから、囚われた人間には悲惨な結末が待っています。
本作では、淡々とその様子が語られていますが、そのシーンは辛酸を極めています。もう本当にそこら中、スプラッタ・シーンだらけ・・・。
そして、他の冒険者からは胡散臭い目で見られがちな「変な奴」な主人公。初心者冒険者対象のゴブリンのみを狩ることを生業とする主人公。なぜ、彼がゴブリンスレイヤーとなったのか。彼の周囲の冒険者、ギルド(の受付)の対応、そして彼がパーティを組み、ゴブリン討伐をすることになったいきさつ、等が描かれます。いわば、ゴブリンスレイヤーの紹介、導入編ですね。
もう本当に正視に耐えない悲惨な情景な中、彼らの生死を賭けた死闘が描かれていきます。ファンタジーながらなかなかリアリティ感のある描写に圧倒されました。今後の展開が楽しみですね。
著者の北川恵海は、これがレビュー作です。
帯の「働く人ならみんな共感! スカッとできて、最後は泣けます。」という文に惹かれての購入。ライトノベルなのに小説風、というか小説でした(笑)。
大卒でブラック企業を選んでしまった新米営業マンの苦悶の叫びを綴った内容でした。心身ともにボロボロになり、茫然自失となっている時に、主人公は小学校の同級生に偶然出会う。彼、ヤマモトは大阪弁をしゃべり、フリーターだというが、何故か意気投合し友情を育むようになります。
このヤマモトとの出会いが今後の主人公の人生に大きな影響を及ぼすことになるのですが、ヤマモト自身も大きな苦悩を抱えており、それがまた主人公との友情を強固なものとしていきます。
帯の文に間違いはありませんでした。いや実際に「泣けます。」ということはなくて、うるっときただけですけどね。
非常に短い小説(そういう意味ではライトノベルかな)ですので、何度でも読み返すことができそうです。読み返すたびに、あぁ、この時の行動はこういうことだったのか、と新たな発見があるかもしれませんね。
"ACK-ACK MACAQUE" - 「ガンメタル・ゴースト」
著者の Gareth L. Powell は、本書が初見となります。
「仮想空間に囚われていた不死身の戦闘機エース」"高射砲 <アクアク>" マカ-ク。当初彼はゲーム内の高度な AI と思われていたが、実際に助け出してみると彼は・・・。本書の表紙にはしっかりと描かれていたのですが、・・・帯をめくってみるとそこに描かれていたのは、なんと・・・!。
本書は、100年前にイギリスとフランスが合併したという、いわゆる歴史改変物であり、年代こそ 2057年と近未来でありながら、そこは SF のギミック満載の世界です。
脳に置き換えることのできる人工脳、ソウル・キャッチャーという人格バックアップシステム、仮想現実・拡張現実の技術が散りばめられていて、アンドロイドに人工脳を搭載し、ソウル・キャッチャーの情報をインストールすることにより、不死身の人間として蘇ることができるという、世界です。その技術を用いて、世界核戦争を引き起こし、人類にとって代わろうとする野望を抱く一味に対して立ち向かうは、"高射砲" マカーク、皇太子、天才ハッカー、そして不慮の事故から脳を改造されたヒロイン。
荒唐無稽、はちゃめちゃな展開ながらも、息も継がせぬアクションシーンの連続で、一気に読んでしまいました。
実は本国では、続編も刊行されているとのこと。ぜひ訳出してもらいたいですね。
"THE LOST STARSHIP" - 「喪われた巨大戦艦」
初めて見る著者ですが、物語の設定は(まぁ)ありきたり(?)なものではないかと。
異人(人間の亜種)との戦争に劣勢に立たされた人類は、その形勢を逆転すべく、特殊な技能を持つチームを、古代の異性種族が残した哨戒艇を奪取すべく外宇宙へと派遣する。
敵性勢力の追撃を受けながらもチームメンバーをリクルートし、万難を排してその古代哨戒艇へと辿り着く。
そこで彼らが見たものは、そしてその古代哨戒艇を地球まで持ち帰ることができるのか。
ストーリーは、アメコミのようにテンポよく進みます。戦闘に次ぐ戦闘。そして主人公たちは幾度も絶体絶命の危機に遭遇します。
知略の限りを尽くし、次々と困難を突破する主人公たち。
読んでいて退屈することはありませんでしたが、SF特有のギミックはあまりありませんでした。どちらかというと、SFの舞台を借りたミリタリーもの、という雰囲気ですね。よく出来た娯楽映画(ハリウッド映画)のようでした。
物語は様々な謎を孕んでこれからも展開しそうです。本国では、すでに続巻が3冊出ているようです。訳出されるのが楽しみですね。
"OVERLORD 9 The magic caster of Destroy" - 「オーバーロード 9 破軍の魔法詠唱者」
第8巻を飛ばして第9巻です。第7巻からの続きとなります。
帝国皇帝をナザリック地下大墳墓へと呼び出すことに成功し、アインズはその圧倒的な軍事力を見せつけて、帝国と同盟を結ぶ。アインズの国の建国を約して。
実は、アインズ自身は、何をやっているのか明確な目的もなく行き当たりばったりに役を演じているだけなのだが、階層守護者たちには知略の王と勘違いされ、帝国皇帝ジルクニフもまた稀代の謀略家と勘違いされるという、そのギャップが楽しい。
そして、アインズは、王国と帝国との戦争の現場へと就くことになり、・・・アインズの超位魔法が発動。王国軍兵士7万人が瞬時に死亡・・・、さらに召喚されたモンスターが王国軍を蹂躙する・・・!。
「ぱねぇっす、アインズ様」(笑)。
2016.6
"OVERLORD 7 The invaders of the Large tomb" - 「オーバーロード 7 大墳墓の侵入者」
モモンとナーベは、帝国に赴き、フールーダに会う。そこで、モモンの正体を明かしたアインズは、フールーダにナザリック地下大墳墓へのワーカーの派遣を唆す。
その派遣されたワーカーたちを中心にストーリーは進みますが、対するナザリック地下大墳墓の反撃が半端ないですね。戦闘メイド、階層守護者と領域守護者がそのワーカーたちと相対するわけですが、その実力差には圧倒的なものがあるわけで。まさしく、ワーカーは蹂躙されることになります。
ナザリック地下大墳墓に進入する前に、実はモモンは、その目的を問い質していたのですね。
ワーカーたち曰く、「金のため」と。そこで、アインズたちは慈悲を施すこと無く、容赦無くワーカーたちを迎え撃つことを決めたのですね。まぁ、慈悲といっても苦痛なく死を与える、ということでしたが。
そして、ワーカーたちを蹂躙した後、アウラとマーレを使いにドラゴンを伴って、帝国首都居城を急襲することになります。
「この国の皇帝がアインズ様のお住まいであるナザリック地下大墳墓に失礼な奴らを送ってきました! アインズ様は不機嫌です。ですので謝罪に来ないのであればこの国を滅ぼします!」というメッセージを伝えに。
計画的に帝国を嵌めた、ということですね。
これ以降の展開は、第9巻に続くのですが、いよいよアインズは、世界征服の第1段階としてアインズ・ウール・ゴウン国の建国に動くことになります。
それにしても、ナザリック地下大墳墓への侵略者に対しては、「ぱねぇっす、アインズ様」(笑)。
"OVERLORD 6 The men in the Kingdom" - 「オーバーロード 6 王国の漢たち 下」
「王国の漢たち 下巻」となります。
前巻で窮地に立たされたセバスの様子から始まります。そこでセバスの忠誠心が試されるのですが、元より揺るぎない忠誠心を抱くセバスですから、苦悩・葛藤はあったものの何とか苦境を免れることとなります。その時明かされるツアレの過去。うまく伏線が繋がりましたね。
またセバスとデミウルゴスとの仲があまり良くないことも明らかになります。まぁ、生理的に合わない、ということでしょう。これはまた、創造主の性格を反映しているようでもありますね。
そして、この後からが怒涛の展開。王国を舞台にした謀略が幕を開けます。デミウルゴスが画策したもので、王国は大混乱。人的被害もまた尋常ではありません。女・子供、容赦無しです。アインズもまたアンデッドになった精なのか、そこに躊躇はありませんでした。
この混乱の中でモモンは、その名を揺るぎないものとします。そして、そんな彼にイビルアイ(実は彼女は250年生きたアンデッド)は恋心を抱くようになるというおまけつき。
一度読んでいてストーリーは分かっているつもりでしたが、改めて読み直してみると色々な感情描写があって、初めて合点が入ったような場面がけっこうありました。記憶力がやっぱり大したことがなかった、という面も否定できませんが(笑)。
エグイ描写も多くありましたが、戦闘シーンの連続で楽しめました。騙されている王国の人たちが哀れでしたが、それもまた楽しや。今改めて読み直してみると、これからの展開に繋がる重要なシーンばかりだったのですね。
"OVERLORD 5 The men in the Kingdom" - 「オーバーロード 5 王国の漢たち 上」
第4巻をすっ飛ばして、第5巻に突入(笑)。読んでからですが、しまったー・・・!。これは、上下巻のうちの上巻だった・・・。
王国の2人の戦士、クライムとブレイン、そしてセバスとの出会いが描かれます。
それまでにも(出会う前にも)各人の背景説明があったのですが・・・。
さて、セバスはナザリックの NPC ですが、創造主のたっち・みーの影響をかなり受けているようです。すなわち、「困っている人を助けるのは当たり前」と。他の階層守護者、戦闘メイド・プレアデスと異なり人間に対し極端な嫌悪感は抱いていません。また、人一倍(?)な正義感もまた持っています。そのような彼がふと街で拾った虐待された少女を拾ってきたことから、ナザリック(アインズ)との忠誠心と葛藤することになります。セバスの種族は不明ですが、その心情は人間に相通ずるものがあるようです。クライムに稽古をつけたように。
そう、彼はとてもかっこいい紳士なんですね。
"OVERLORD 3 The bloody valkyrie" - 「オーバーロード 3 鮮血の戦乙女」
やっぱり続けて読んでしまいました(笑)。
確かTVアニメ放送分もこの巻の内容まででしたね。前巻最後にシャルティアの謀反の連絡を受けてから、今巻ではシャルティアが精神支配を受けるに至った経緯が描かれ、ワールド・アイテムの存在が明らかにされます。すなわち、アインズ・ウール・ゴウンに対抗し得る勢力の存在です。
そして、シャルティアの精神支配を解くべくアインズは、シャルティアの抹殺を決意する。ここで、シャルティアとの一騎打ちに至るわけですが、アインズがその圧倒的不利な状況を知略で持って逆転する様が爽快ですね。
そしてこの巻で、後の重要なキャラクタが幾人かが登場していました。ブレインは言うに及ばず。
また、階層守護者たちの性格がその創造者の性格を色濃く反映していることも、アインズが NPC たちを見て、かつての仲間たちの姿と重ねて見ていることも、描かれていました。
やっぱり、「オーバーロード」は面白い(!)。
"OVERLORD 1 The undead king" - 「オーバーロード 1 不死者の王」、"OVERLORD 2 The dark warrior" - 「オーバーロード 2 漆黒の戦士」
先日、第10巻を読み終えたところですが、またもや第1巻から読みなおしています。
この「オーバーロード」のことを知ったのは、TVアニメ放送を見たからですが、実は、放送第1話から見たのではなく、原作本第2巻からに相当する「漆黒の戦士」が登場する回からなのでした。ですから、TV放送を見た当初は、冒険者モモンの物語かな、と思っていたものでした。オープニング、エンディングのアニメには相当の違和感はありましたが(笑)。
それが、原作を読んでびっくり。なんと人間でないアンデッドによる世界征服の話であったのか、と。もちろん、元はゲームプレイヤーですので、何というか、「一般庶民」が科学技術の発達していない「剣と魔法の世界」で、ナザリックの絶対支配者となり、途方も無い力・軍事力を得て、王となり、そして世界征服をどのように為していくのか、というヒーローものでない世界征服の話であったのが新鮮でした。
改めて読み返してみると、色々と細かな設定、伏線があるようで読んでいても退屈することはありません。よく考えてあるなぁ、と感心しきりだったりして(笑)。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア 6」
深層域からの遠征帰還後のロキ・ファミリアのエピソードとなります。特に今回は、オラリオから外に出た港街メレンでの、ティオネとティオナの物語となります。
彼女らアマゾネスの故郷での様子や国を出てからオラリオに流れ着き、ロキ・ファミリアの一員になるまでのいきさつが語られます。
闘国 <テルスキュラ> でのそれこそ幼少期からの殺し合いに明け暮れた日々、死闘の毎日から、冒険者になってからの日々。それが、メレンで故郷のアマゾネスらとの邂逅に始まり、過去との因縁を断ち切ろうと立ち向かう、ティオネとティオナの二人。
アマゾネスたちの生い立ちにまつわる確執を描くとともに、そこに色々な思惑、陰謀がからみ、対するロキ・ファミリアの対決・戦闘が描かれ、まさに「ソード・オラトリア」らしい結末が爽快です。
次巻も楽しみですね。
「早くも第3弾登場!」です(笑)。
セジングが「カリブディス」に飲み込まれ、あっという間に海に沈んでしまい、パラスアテナ号もまた海に引き込まれつつある危機的状況から物語は始まります。
今回もまたアキはただ一人洋上で奮闘を続けることになりますが、これまでと違って、精神的に参ってしまい、極限のサバイバルとなります。
純粋無垢と言ってもいい性格のアキですが、幾多の試練をくぐり抜けるうちに次第に大人への階段を上がっていきます。それがサバイバルの様子と重なって見えてきます。
アキは、「孤独」というものを知るようになります。そして仲間を信じるとはどういうものであるかを。
また、アフターと言われるこの世界についてもその成り立ちから、あるいは地球的災害から逃れた人類の選択肢のひとつであったことも明らかにされます。
なんだか、ちょっと性急に話をまとめにいったような印象を受けます(笑)。これから、パラスアテナ号とアキたちの冒険が始まろうとしているのですが。続巻が出るのであれば楽しみなのですが、この第3巻が、2015年8月8日 初版発行となっていますからもう10ヶ月経っていますね。うーん、もう続巻は出ないのかな、ちょっと残念・・・。
「早くも第2弾!!」です(笑)。
タカと1年後の再会を約束し、別れたアキ。その1年後の再会場所へと急ぐアキが、セントゥリア海峡で海賊 <シーロバー> に捉えられ、止む無く見習い海賊として日々を過ごすはめに。そこで、知り合ったオルカとともに、ある日海賊たちに <モリ> に置き去りにされる。1ヶ月後に回収するとの約束を残して。果たしてまたもやアキのサバイバルが始まる。というように波乱万丈のストーリー展開が怒涛のごとく押し寄せてきます。もう、ストーリーを追うのに精一杯(笑)。
アキは陸では気弱で何も知らないイナカモノ、フロートの都会人にいいようにあしらわれるような少女ですが、「いっぱい生きる」ことにかけては、超人的な力を発揮します。塩一粒の希望であっても、それを信じ、なんと実現してしまうのです。
もうお人好し過ぎてイライラする場面もありましたが、次々と押し寄せる試練、生死を賭けた闘いに目が離せなくなりました。
次巻も読むのが楽しみです。
"accel world 20" - 「アクセル・ワールド 20 ─白と黒の相剋─」
プロミネンスと合併し、ついにオシラトリ・ユニバースへの領土戦に挑むネガ・ネビュラスの面々。そこにはレギオン・メンバーたちの様々な想いがあり、それが「加速研究会」への対決へと収斂していく様が描かれています。
密かにレオニーズの双子の姉妹がオブザーバーとしてその領土戦に立ち会う。その姉妹にも人に言われぬ葛藤があり。そこにはまた、新たにネガ・ネビュラスに参加するトリリードの姿もあり。
これまで引き継がれてきた謎の一端が徐々に明らかになる中、ついに決戦の火蓋は落とされた!。
と非常に盛り上がってきたところで、次巻へと続く・・・。
相変わらず、わくわくするような展開ですね。物語はやっとここまで来たのに、といったところです。白の王の考えもまた明確になっていませんね。次巻が発刊されるのが待ち遠しく思います。
「─ボクは、絶対に生きのびる。」
帯に書かれていた文ですが、冒頭、主人公アキは海を漂流、流れ着いた浮島に辿り着く。オウムガエルのキーちゃんと浮島に二人取り残され、決死のサバイバルが始まる。
時はアフター、全球が海に覆われた世界。
生きることの厳しさ、そして苛酷さが伝わります。浮島には水、食料が無く、また無風地帯のため脱出もできず、本当の絶体絶命状態でのサバイバルです。キーちゃんとのエピソードが哀しく、いきなり胸に迫る想いがします。
アキは、14歳。メッセンジャーを仕事として、海を渡り歩いて生活しています。ヒーロー的な要素はありません。その時代に生きる逞しい女の子ではありますが。特殊能力(?)とかもありません。そういう意味では、普通の女の子といえます。そんな彼女ですが、当初は、生きることのみを目的に、本能の命ずるままに生き抜いていこうとしています。それでも、少しづつですが、自分の見知らぬ世界を夢見て、冒険しようと考えるようになります。この過程が自然で、アキとともに読んでいて一緒に冒険しよう、などと感情移入してしまいました(笑)。
今後の彼女の活躍に目が離せなくなりそうです。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 第4巻、第5巻」
続けて読んでしまいました。
一応、第5巻までがアニメ放映分となります(確か)。
宿敵ミノタウロスを撃破して、史上最速兎 <レコードホルダー> となったベル。新たに仲間となった鍛冶士ヴェルフ・クロッゾとリリとでパーティを組み、ダンジョン中層階域を目指す。
そこでのアクシデントから、予定していた階層より更に下層を目指して強行突破したベルたちだが。
息もつかせぬ展開から、ベルのたちがその試練を乗り越える様に感動します。そして、ベルの祖父の正体もまた徐々に明らかになってきて・・・。と、今後の展開にも目が離せませんね。
今、読み返しても「外伝 ソード・オラトリア」ともうまく繋がっていることが改めて分かります。
特に第5巻ですが、リュウさん、かっこいい!、ですね(笑)。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 第1巻~第3巻」
ついこの間、第10巻を読んだばかりなのですが、また読み返してしまいました。
本棚にあった第1巻をふと手に取ったのが運の尽き。3日ほどかけて一気に第1部を読んでしまいました(笑)。
読み返してみると色々と細かなことを読み落としていた(忘れていた?)ことに改めて気付かされます。
Lv.1 で奮闘していた約1ヶ月間の出来事が綴られています。憧れの人との出会いから、また合わせてその時からのトラウマとなったモンスターを倒すまでの道程が。
改めて感動しました。また、折に触れては想い出して読みたくなる、そのような物語ですね。新作も待ち遠しく思います。
"OVERLORD 10 The ruler of Conspiracy" ー 「オーバーロード 10 謀略の統治者」
やっぱり、「オーバーロード」は面白い。
今巻は派手な戦闘シーンはなく、後半、闘技場での死闘があるのみです。エ・ランテルを魔導国として統治するアインズたちの様子が描かれています。
アインズは、しがないサラリーマン出身ですので、国を治めるなどという経験は全く無く(当たり前ですね)、統治者としての振る舞いに戸惑うばかりです。尤もナザリックを治めていたことが幾らかの参考にはなっているようですが。
ただ他国が予想していたような、完全な恐怖政治に陥ること無く、アンデットを使役しながらも平和裏に治めることに腐心しているようです。
アインズは、手探りで孤軍奮闘することになるのですが、周囲の者達は(ナザリックの階層守護者も含め)知略の王として彼を捉えていて、そのギャップがまた笑いを誘うシチュエーションとなっています。しかし、小さな会社のワンマンビジネスとして、一国の統治を捉えるのもまた楽し。アインズがまた守護者たちの失笑を買うのではないかと汲々としているのですが、その評価は反対の大絶賛。ますます尊敬を集めるようになります。
さて、次巻は3ヶ月後の発刊予定となっています。待ちきれなく思います。
2016.5
貴志祐介原作のコミカライズです。どの程度原作に忠実なのかは(原作を読んでいませんので)分かりませんが、同じテーマを持ち、同じテイストであろうと推測されます。
で、そのストーリーですが、「壮絶」と言ってもいいくらいの戦争の物語でした。
早希の住む世界は、平和でありながらも「呪力」が支配する世界。幼年期最期まで「呪力」に目覚めなかった早希ではあるが、徐々に世界の矛盾について知っていく。時に大切な友人が櫛の歯の抜けるように失いつつも大人への階段を登っていく。
そして、彼女も成人し職業に従事している頃、ついに人類の存亡を賭けた闘いが勃発してします。
次々と明らかになる真実。誰もが信用できない中、あるいは不信に陥る中、早希は次期指導者としての資質を開花させていく。それが血塗られた道であっても、次世代に希望を託しつつ。そして、彼女が辿りつた真実、希望とは。
やはり原作が小説であるせいでしょうか、コミック的には捉えきれない壮大なテーマがありながら、そのアクションシーンに頁の多くが割かれています。それゆえ、テンポよくストーリーが進み、あまり深く掘り下げることなく、一気に物語は終局へと向かいます。もう、読んでいるこっちは振り回されっぱなし(笑)。本当に目も離さず、一気に最終話まで読み進んでしまいました。
途中、本当に悲惨でグロい描写も有りましたが、そこは白黒での表現でなんとか読み飛ばすことができました。
原作も読んでみたくなってきました。
"BIRDY THE MIGHTY EVOLUTION" - 「鉄腕バーディー EVOLUTION 全13巻」
1日かかって全巻一気に読んでしまいました。いつものように怒涛の展開ながら、序盤バーディーの活躍があまりなくてちょっとフラストレーション(?)のところもありましたが。
途中から、突然「禁断の書」なるものが出てきた時は、あれっ、とも思いましたがその書の意外性に引きこまれ、退屈することはありませんでした。
「奥の院」については、大層な割には弱くてびっくり(!)。また、その理屈付けにはちょっと強引なところがあったかな、とも感じてしまいました。
ただ、ネーチュラーとカシューは哀しい最期でしたね。また、その後バーディーのスーツがさり気なくネーチュラー様のものに変わっていたのも、その心情を察して感慨深いものがありましたね。
楽しいコミックでした。また折りに触れ、読み返したくなるような、そんなコミックですね。
"BIRDY THE MIGHTY" - 「鉄腕バーディー 第14巻~第20巻」
ついに「獣人事件」の首謀者との血戦を征したバーディー。その後のクリステラ・レビの捜査の進展もないまま、千年前からの伝説の鬼と闘うはめに。その事件をきっかけにバーディーの正体が友人たちに発覚し、折しも地球の調査に来ていた連邦の宇宙船に友人らと共に拉致されてしまう。といういつもの怒涛の展開をみせますが、肝心のクリステラ・レビの捜査は遅々として進んでいません。また、地球人も呆れるくらい連邦もまた社会的な矛盾を孕んでおり、差別、横暴、暴力が絶えることなく。その中でもバーディーは、愚直に使命を全うしようとします。そもそも千川つとむが命を永らえたのもバーディーの捨て身とも言える対応があったからだったのですよね。
物語は、唐突にも「REVOLUTION」へと続くことになります。続きを読むのが楽しみですね。
"BIRDY THE MIGHTY" - 「鉄腕バーディー 第9巻~第13巻」
今日読むことができたのは、5冊だけでした。
いよいよゴメスが表に出てきました。バーディーも歯が立ちません。単なる悪役というわけではないようですね。それから、連邦からの応援が特異な姿なのは傑作でした。習性もまた地球のあの小動物と同じようで(笑)。また、なにやら連邦から調査船がやってきて、氷川ケミストリもまた不穏な動きを、といった話が怒涛のごとく進んでいきます。戦闘で傷ついたバーディーは、千川つとむの姿に戻ることができずに、記憶の融合もまた(少しだけですが)起こってきてしまいます。もう、そこらじゅうで問題発生だらけ(笑)。
そしてまた、新たな神祇官なるものも登場して。一方、バーディーは幼少の頃の記憶を辿るようにして、治療を受けています。幼少の頃のヴァイオリンの記憶を、追体験しながら。
連邦とクリステラ・レビとのテロの様子が明らかになります。アルタ人の不当な扱いについても。社会というものは、連邦であっても色々な矛盾を孕んでいるものですね。とてもリアルな社会として描かれています。また、バーディー自身も調整体であったことが明らかにされます。強靭な肉体と身体反応は、これがゆえのことだったのですね。
まだまだ先が見えない展開ですが、飽きること無く読み進めることができそうです。次巻以降も楽しみですね。
"BIRDY THE MIGHTY" - 「鉄腕バーディー 第1巻~第8巻」
連邦捜査官バーディ・シフォンが、テロリストのクリステラ・レビの消息を追って地球にやってきており、犯罪者ギーガーとの闘争の場にたまたま居合わせた千川つとむは、誤ってバーディの「クラッシュ」を受けてしまい瀕死の重傷を負ってしまう。
というショッキングな場面から始まります。本来ならば死亡すべきところ、バーディの採った延命処置の内容は・・・。というところで、千川つとむとバーディの「二心同体」という関係が始まるのですが。えと、設定は珍しくもないものですが(私の記憶でこのような設定で最も旧いのは、「ウルトラマン」ですね)、千川つとむのへたれっぷりが、普通の高校生していて楽しいですね。バーディもいわゆる「こぶし系」で、武器の類は使用せず、身体能力のみで危機を乗り越えていきます。また、いわゆる「変身もの」というパターンからは外れ、さりげなく自然に千川つとむからバーディへと変身します。また、ストーリー展開がスピーディでかつけっこうリアルな設定となっており、飽きることがなく読み進められました。
まだまだ謎がいっぱいですね。このまま一気に最終巻まで突入しそうです。が、本日は一応ここまでとして、残りは明日以降のお楽しみ、ということで(笑)。
「スクラップド・プリンセス サプリメント 5 語られざる譚詩曲」
ついに「スクラップド・プリンセス」最終巻です。
4つの短編から成っています。「スーピイくんの日」は、ラクウェルらしさが満載です。ラクウェル、シャノン、そしてパシフィカ姉弟妹のそれぞれの性格設定、個性が秀逸でしたね。特にこのラクウェルについては、危機感、緊迫感、緊張感を緩和するその性格が最高(!)でした。
そして、「見つめる者」ですが、この短編にのみ登場するリーテ・トリジコン。不思議な感覚に捕らわれた短編でした。ちょっと哀しい、というか。
そして、「少女は弱し。されど ─ 」と「剣の意味」は、クリスとシャノンの語られざるストーリー(短編)です。特にシャノンの帯刀していた剣とゼフィリスとの対比が面白い設定でした。平和な時代の武器はどうなるのか、どうあるべきかを(ちょっとだけですけれど)考えさせる内容でしたね。まぁ、シャノンのことですから、日がな一日、ぼーっとしていそうですけれど(笑)。
「スクラップド・プリンセス サプリメント 4 竜乙女の変奏曲」
外伝4巻目です。「竜乙女」テレジアとタクロウの物語。それは、パシフィカが生まれる5千年前の話となります。
<竜機神> の A.I. が暴走し、200機あった機体が25体までに減った後、残存する <竜機神> に大幅な改装が行われた。その改装とは、<竜騎士> との連携を前提として兵器の使用権限の大幅な規制を課すことが主となるものであった。
ところが、テレジアは、<竜騎士> との連携を拒み、自閉症のごとく自分の殻に閉じこもってしまう。人間を護れなかったことによる自身の存在理由への疑問があったためである。また、A.I. を憎む一人の兵士がタクロウであった。2人が、他の <竜機神> と <竜騎士> の推薦を受け、「見合い」をすることになるのだが・・・。
けっこうシリアスな展開であり、A.I. と人間との関わりについて考えさせるような、ある意味深遠なテーマを扱うものでもありました。「竜乙女」に魂はあるのかどうか、端的に言ってしまえばこの疑問に突き当たるような気がしますが、あるがままを受け入れるというのが妥当なところなのかも・・・。テレジアもまた健気ですね。また真面目で融通が利かないところもまた人間のよう・・・。
思わず、感情移入しちゃいました。
「スクラップド・プリンセス サプリメント 3 聖地に流れる円舞曲」
やっぱり魔法が使えるのには理由があったのですね。「封棄世界」が崩壊すると「魔法」も使えなくなり、ラクウェルは茫然自失状態となります。
また、「封棄世界」が崩壊したおかげで、他の生き残っていた「竜機神」も駆けつけることができたのですね。それにしても、「封棄世界」が「地球」では無かったのなんて思いもよりませんでしたし、地球に2万人もの生存者がいるというのも意外でしたね。
そして明らかになるスィンの誕生の秘密。なるほど、なるほど、彼女の出生について疑問に思ったのは私だけではなかったのですね(あとがきより)。
そして、ラクウェルの恋の行方はどうなるのでしょうか。とっても気になりますね。
「スクラップド・プリンセス サプリメント 2 恋人達の狂騒曲」
外伝・長編となります。
カスール姉弟妹とその父親ユーマがまだ平和に(?)過ごしていた頃、シャノンが恋文をキャラバン隊の一人に届けるように依頼されます。単に届けるはずが、何故かキャラバン隊が野盗に襲われ、拉致監禁されてしまっており、その救助を行うはめに。
恋文を受け取った青年は、その想いを受け止めることができるのか・・・。という展開になるのですが、序章の暗ーい話から一転、お気楽極楽なゆるーい話へと物語は続きます。
特に気負うことなく、軽く一気に読み飛ばすことができました。ベタな展開でお約束も多々あり、楽しく読み終えました。あー、平和、平和でしたねぇ。けっこう面白かったです。コミックでいうところの、40P読み切り、というような感じでしょうか(笑)。
「スクラップド・プリンセス サプリメント さまよう者達の組曲」
外伝・短編集の第1巻です。
4歳のパシフィカに会えました。シャノン、ラクウェルは10歳。ハリエット爺さんも好きになりました。ユーマは相変わらずの性格のようです(笑)。そういえば、カスールて母方の姓なんですね。
今巻では、パシフィカが「廃棄王女」として知られる前のいろんな関係者(?)の姿が描き出されています。懐かしくもあり、新鮮な感覚で楽しんで読み進めることができました。
某田舎男爵については、ちょっと気持ち悪くなる性癖がありましたが、例の吟遊詩人の登場により救われた気持ちになりました(あ、いえ、本当に助けちゃうのですけどね)。あとがきにもありましたが、彼ってけっこう人気があるのですね。職業的暗殺者になるには、ちょっと非情さが足りないところがありそうだし・・・、まぁ、そこが魅力的なのかもしれませんが(笑)。
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10」
昨年の10月に第9巻を読んでからになりますから、約半年ぶりの「ダンまち」となります。
前巻にてウィーネと別れたベル達でしたが、彼女が「狩猟者」にとらわれてしまう。それと「狩猟者」に蹂躙された『異端者』達は、復讐と仲間の救出のため、第18階層へと進出し、冒険者達の街を壊滅させてしまう。
『異端者』と「狩猟者」、「冒険者」の三つ巴の死闘にモンスターまで加わり、ついにオラリオのダイダロスの街が戦場と化す。
ベルの奮闘が描かれます。もう満身創痍になりながら。また、人とモンスターとの葛藤にも身を焦がします。壮絶で哀しい場面もありましたが、ベルは必死で困難を切り抜けようとします。ウィーネとの邂逅もまた哀しいものとなりましたが、必死に状況を打開しようとする姿に感動しました。そして、ベルが下した決断は、そしてその結果・・・。これまで以上の試練が続きそうな予感が!。
面白くて、一気に読んでしまいました。また、語られなかったリオンらのその後も気になります。次巻が待ち遠しいですね。
"The irregular at magic high school" - 「魔法科高校の劣等生 SS」
本編に対する外伝的な扱いの短編集です。意外と読むのに時間がかかってしまいました。読み進めるたびに、あれ、この人誰?、とかこんなシチュエーションあったかな?、などと確認していたので。ではなくて(笑)、思い出せず面倒くさくなって、ちょっと読むのを中断し、中断しつつ読んでいたからなのでした(汗)。
久しぶりに読む前回の「九校戦編」。司波達也の周りには、やはり優秀な人材が揃っているのですね。傑出した人物には天の配剤ともいうべき稀有な能力を持つ人材も顔を揃える、ということでしょうか。
読むのには苦労しましたが、けっこう楽しむことができました。
ついに本編最終巻です。
色々な伏線を回収しつつ、更にいくつかのサプライズを盛り込み、怒涛の如くの完結編でした。
それにしても、最終局面で、<竜機神> が4機突然現るというのも強引な(笑)。どこかで伏線があったのを見落としていたのでしょうか。
スィンの登場もびっくりですね。シャノン、ラクウェルのどちらの子供でしょうか。また、お相手の方はどちらに。姉弟とも本編では、そのような相手がいたようなことは、何も触れられていなかったはずですが・・・、気になりますね。
それから「封棄世界」のことですが、「魔法」はどうしてあったのでしょうか。5千年前の人類は魔法を実用化していた、との記述もなかったと思うのですが。まぁ、剣と魔法の世界の実現、という意味では正当性のある(?)話ではあるのですが。それにこちらの方(魔法の存在する方)が話として面白いし(笑)。
とても楽しい小説でした。外伝も注文しているのですが、届くのが楽しみです。でも届けられるまでの間、どうしようかな。
第12巻です。次巻でこのシリーズは、完結のはずなのですが、あとがきを見ると「番外編も含めれば後少なくとも四巻はでる予定ですが」と・・・?。ひょっとして、番外編が発刊されていたりするのでしょうか。要調査ですね(※)。
さて、物語もクライマックス。<竜機神> と <秩序守護者> との血戦に際し、3体の <竜巨人> も加わり最終決着がどのようになるのか、予想もつかないくらい混沌としてきています。
その中でも優位に闘いを進める <秩序守護者> に対し、シャノンらがとった決死の策とは。
「神の遣い」と「魔獣」との血戦の中、パシフィカはあるきっかけにより記憶を取り戻す。そして、ほんの偶然から、傍らには瀕死である実の母である王妃の姿が。
改めて、「廃棄王女」としての自分の存在に苦悩するパシフィカ。それを守護するシャノンと戦友たち。さて、最終決着がどのような形となるのか、読むのがとても楽しみです。
※ スクラップド・プリンセス サプリメント(短編集・番外編:全5巻)が発刊されていました。で、つい注文してしまいました(笑)。ネット通販で、古本ですけどね。ちなみに、108円(税込み)/1冊 でした。
1. さまよう者達の組曲(スイート)
2. 恋人達の狂騒曲(きょうそうきょく)
3. 聖地に流れる円舞曲(ポルカ)
4. 竜乙女の変奏曲(ヴァリエイション)
5. 語られざる譚詩曲(バラッド)
砦からの脱出の混乱から、一人記憶喪失のまま王都に投げ出されたパシフィカ。妹を探す、シャノン。そして、行方不明のラクウェルとセーネス。
今巻は、パシフィカとフューレが中心に描かれています。シャノンと面影が似て、元戦技特務兵であったフューレは、若いながらも下町の用心棒として生計を立てています。そこに転がり込んだパシフィカ。これまでの全ての記憶を失って。
自分が「廃棄王女」とは知らずに、その騒動に巻き込まれていくフューレ。かつての仲間とも闘う状況にも。
シャノンと同じく損な役回りなフューレ。若いのに戦技特務兵であったゆえに人生に達観しているようなところがあります。それがパシフィカを助け、護るようになって人生の目標みたいなものを見出すようになります。彼女が「廃棄王女」であるのを知ったあとでも。彼の出番は、今巻だけですが、人気投票でも上位になるのも頷けますね。もう少し活躍の場を残して欲しかった。
シリーズ第10巻です。
ついに5千年前の神々と魔獣との死闘の真相が明らかになる。それは、人類の存亡を賭けた異星人との戦争であり、<秩序守護者> もまた人類が創りだした兵器が、「敵」により洗脳されたものだったことが判明する。そして、ゼフィリスの辿った運命もまた。
パシフィカは改めて、ゼフィリスに問う。「・・・それって結局、私達にとっては何の意味があるの?」と。5千年前に遡る戦争を現在に持ち越す意味を見出せないまま、パシフィカはそれでも運命に逆らうように <秩序守護者> との闘いに身を投じる事になるのだが。
色々な設定、「廃棄王女」「守護者」とは、戦争に破れ去った人類の最後の希望であったことを知るわけですが、それがまた実際の今現在の人類にとっての希望かどうか、という。また、シャノンもまた自身の洗脳という体験を経て、<竜騎士> として改めて立つことを決心するわけですが、色々と気苦労の多い大変な役回りですね(笑)。彼が、一番の損な役目だったような・・・(笑)。
さて、終章において気になる人物も登場し、今後の展開も楽しみです。
海の真ん中に放り出されたパシフィカから、物語は始まります。双胴船に乗って海を渡っている最中に「職業的暗殺者」に襲われ、カスール姉弟の生死も分からず、行方不明となってしまう。
・・・とあらすじはいいとして(おい)、この巻から「獣姫」たるセーネスが登場します。以前よりその存在は示唆されていましたが、満を持しての登場です。しかも、かつての <竜機神> であるナタリィを引き連れて。と、そこに現れる <秩序守護者> との戦闘、と怒涛の展開をみせるのです。
大分と「廃棄王女」と <竜機神>、<秩序守護者> との関係が明らかになって来ましたね。そして、いわゆる「守護者 <ガーディアン>」なるものの存在についても。
<秩序守護者> との血戦も間近になって来た予感・・・!。この「怒涛の展開」に目が離せませんね(笑)。
それにしても、TVアニメも見たはずなのに、なかなか想い出せませんね。新鮮な気分で小説を読んでいます。なんだか、お得なような、記憶力というか老化が心配というか・・・(笑)。
シャノンが警戒の見回り中に強大な刺客に襲われ、意識不明のまま川に運ばれ、とある貴族の娘に助けられます。また、シャノンと逸れたラクウェルとパシフィカは、近くの街へ赴き、シャノンの消息を探ることに。
それからは、偶然(?)が重なり、カスール姉妹はその貴族の別荘(館)にて、その娘に看病されているシャノンに邂逅するのだが、その様子を見た姉妹とシャノンの間に血の雨が降ることに(笑)。
あとがきにもありましたが、これまでとは違って、残虐・非道で「邪悪」な「職業殺人者」が登場します。また、今巻では、そこらじゅうで血しぶきが飛ぶ、という状況が描写されています。
強大な刺客に立ち向かい、撃破することができるのか、まさに死闘が繰り広げられます。
ちょっと、どきどきしながら次の展開を楽しみにページを繰ることができました。
そして、終章にあるオチにやっぱり、(ちょっと)ほっとしました。次巻も楽しみです。
このシリーズも半ばを過ぎましたね。第7巻です。
旅の途中で、救出した母子。母親は間に合わずに残念でしたが、残されたのは生後1年にも満たない赤ちゃんで。カスール姉兄妹は、子守をしながら旅を続けることに。
実はその赤ちゃんは、さる公爵家のご落胤で、その赤ちゃんを巡る「お家騒動」に巻き込まれることになる、というのは定番ですね(笑)。
傭兵 vs カスール姉兄との対決もまた楽しい(?)- いや面白い、か(?)- 軽妙な会話が交されます。
やっぱり、ラクウェルの性格が一番可愛い(!)、ですね(私の意見です、はい)。シャノンとパシフィカとの会話もいつもの通りです。一気に読んでしまいました。
あと、終章でのオチがよかったですね。さて、次巻はどのような展開となるのでしょうか。
旅の途中で出会った歌劇団。ひょんなことから彼らと行動を共にすることに。シャノンとパシフィカは舞台での演技を求められ、ラクウェルは魔道士の魔法を使っての舞台装置の運用を任されることになり。
例によって、暗殺者が現れ、また元職業暗殺者も現れ、そこに魔物までが登場し、舞台は混乱の極みへ。果たして、この劇の行方は。
という風な、今巻はコメディタッチで物語が進行することになります。緊迫するような戦闘場面においても、登場人物たちの性格もあってか、どこか抜けたゆる~い雰囲気が漂います。気楽に楽しく読み進めることができました。結果も予定調和というか、ベタな展開で終わりますがそれもまた楽しからずや(笑)。
その中でも、シャノンは「守護者」を自認する肝心の実力が万全でないことに改めて認識することになります。自分一人で護り抜くことができない、という現実に対してシャノンは悩むことになります。その彼にアドバイスしたのは、元職業暗殺者だったりして(皮肉なものですね)。ちょっとしたスパイスのようにこのコメディタッチの物語に挿入されていたりするのです。
次巻もどのような展開になるのか、楽しみです。
2016.4
ひょんなことから、シャノンはスィンを街から拾ってきてしまいます(笑)。彼女はどうやら記憶喪失状態であるらしく、名前も怪しいのですが、身元不明で街にも彼女を知っている人がいないようなのです。やむを得ず、彼女と生活を共にすることになりますが、新たな妹ができたようで、パシフィカは嫉妬を覚えるようになります。ところが実は、スィンの正体は・・・ということになるのですが、なんとなくベタな展開でしたね。
ただ、本筋以外に様々な伏線があったような。スィンの正体もそうですが、アーフィと「秩序守護者」との関係、教会内の勢力関係、王派閥とか色々な状況が語られています。
物語も佳境に入ってきた、というところでしょうか。今後の動向にも目が離せませんね。次巻も楽しみです。
半熟騎士であるレオが登場します。純真無垢な貴族の長男です。でも意外と強い、というか武芸に秀でているようです。性格が災いして、一直線な技でひねりがなく、姑息な手段に躱されてしまいますが。その彼が、パシフィカに一目惚れ。
たしか、このエピソードはTVアニメにもあったように記憶しています。意外と強かった、という覚えはありませんが。
そんな彼が憧れる元<琥珀騎士団>副団長ドイルを訪ねて来た小さな村で、またもや暗殺者がパシフィカに襲いかかることに。
とっても楽しいエピソードばかりでした。そして、「秩序守護者」との死闘には、はらはらしましたね。
レオとは、ここで一旦分かれましたが、(TVアニメのように)また再会することはあるのでしょうか。次巻が楽しみです。
カスール兄姉妹の逃亡生活は続きます。今回の舞台は、大河の中にある異端者達の住む島となります。大河を渡る際に妨害工作に会い、その島 <ブラスフェマーズ・ガーデン> に異教検察官であるベルケンスとともに難破してしまう。そこは、「廃棄王女」の元に集まる邪教の者たちが集まり、生活する島であった。
魔法がある世界の、魔法のシステムが色々と語られています。まぁ、世界観の設定にも通じるのですが、そこには通常世界とは違った景色が広がります。魔法で、「何でもあり」という反面、その実現のための犠牲、というものが必ず存在し、それ相応の対価を要求するものとなっています。
時には、おぞましい、としか言いようのない情景が出来するのですが、それをまた防ぐのが魔法でもあるのです。
このシリーズは、カスール兄姉妹の性格により、シリアスな場面においても軽妙な雰囲気が崩れないのが秀逸ですね。特にラクウェルの性格が最高、ですね。今巻では、ベルケンスという、いわば敵方の異教検察官が登場するのですが、彼もまた例外的な好漢(?)として描かれており、この物語の世界観を拡げるようで、楽しく読み進めることができました。
次巻も楽しみですね。
流浪の旅に出てから1年。とある小さな街でのエピソードが綴られます。
季節外れの小さな宿屋に値切って宿泊したのはいいが、刺客に急襲され、その宿屋で大立ち回り。直ぐにその宿を後にするつもりが、その宿の修繕費を賄うために、その借金を完済するまで街に留まらざるを得なくなり。色々なアルバイトに精を出すことに。そのドタバタ劇も描かれます。
図らずも街の人々との交流もあり、馴染みつつあるカスール兄姉妹たち。そこへまた、「廃棄王女」の暗殺を狙う刺客たちの襲撃が。しかも、王、軍、教会側3者の思惑も絡み事態は急変することに。何やら「秩序守護者 <ピースメーカー>」とか、アーフィと名乗る謎の美少女とかが登場します。
後半はちょっとグロくて参ったけれど、それでも楽しいエピソードの数々でした。やっぱり、カスール兄妹の性格、というか設定が絶妙ですね。「廃棄王女」という過酷な運命を背負うパシフィカを守るというシリアスな状況でも、悲壮感があまりなく、会話のやりとりを楽しむことができました。次の展開も予想できず、とても楽しみです。
積んであった本を眺めていて、何気なく選んだ1冊。懐かしく(TVアニメを)思い出しながら読み始めたのが運の尽き。結構面白くて、一気に読んでしまいました。
イラストに違和感(なんだか造形の比率がおかしい?)を覚えながらも、このような雰囲気だったなぁ、と懐かしく思いました。奥付を見ると、平成11年3月25日 初版発行、とありましたから今から16年前の作品ということになりますね。
著者の榊一郎は、このタイトルが初見となります。
「廃棄王女」として抹殺されたはずの双子のうちの女児が、生き延びて後にその運命を知ることになる。16歳でこの世界を滅ぼすことになるという預言(託宣)を受け、とにかく16歳まで生き抜こうと、ほぼ地上最強と言える双子の兄・姉に守られながら放浪の旅にでる。その世界は、剣と魔法の世界であり、兄は剣士、姉は魔道士として類まれなる才能を持って、「守護者」と呼ばれるようになる。
設定としては斬新な、というほどではありませんが、その世界観が目新しかったかな、という印象です。魔法発動の類などは、後の「魔法科高校の劣等生」の「現代魔法」に通じるものあるような・・・、今読むとそのようにも感じました。
パシフィカ、ラクウェル、そしてシャノンの兄姉妹が旅に出るまでが、この巻では描かれています。今後の展開が楽しみですね。
帯に「地球軌道上での壮絶な攻防戦!」とありましたので、ハリウッド映画並の派手な宇宙戦かな、と想像していましたが、あにはからんや、もっと「地に足がついた」近未来のハードなSFでした。
「米国軌道軍」も「宇宙海賊」も実際には地上に居て、衛星を管制しています。
ただ、貨物船というのが、月よりのヘリウム3を満載した無人の輸送機であり、それを地球軌道上ラグランジュ・ポイントで待ち受ける軌道衛星がその輸送船の管制を乗っ取り、落下ポイントを変更させることで、ヘリウム3を強奪する、という。
設定が斬新ですね。輸送船に衛星が近づき、その管制を奪う場面、米国空軍の軍用衛星がそれを阻止しようと介入する場面などがとてもリアルで手に汗握る展開となっていました。
読み始めると止まらず、一気に読んでしまいました。著者の James L.Cambias は、この本が初見となりますが、このタイトルが長編第2作目にあたるそうです。第1作目も翻訳されれば、読んでみたい、ですね。
「六花の勇者 archive 1 Don't pray to the flower」
「六花の勇者」シリーズの外伝とでもいうのか、短編集です。六花の勇者として集まる前の物語が綴られています。
ハンスの暗殺者としての一面、モーラのお茶目な様子、チャモ、ロロニア、ゴルドフ、ナッシェタニア、フレミー、アドレッドそして一輪の勇者。意外な一面を見せてくれます。
帯には、「TVアニメしか見てない人も楽しめる!」とありましたが、本編は読んでおいた方が、より楽しめる内容であると感じました。本編の次回作が待ち遠しいですね。
"COPPELION 25, 26" - 「コッペリオン 第25巻、第26巻(完)」
ついに完結しました。第25巻を読み終えてみると奥付の告知に第26巻が同時発売、とのこと。そうか、そうだったのかぁ。店頭に第25巻だけがなかったのは、そういうことかぁ。と一人で納得していました。
で、間を置かずに、続けて第26巻まで一気に読み進めました。
台場の原子力発電所の再臨界を阻止すべく、石棺へ向かう荊たち。様々な障害を乗り越え、やっとたどり着いた原子炉で待ち受ける最後の難関を前に・・・。
コッペリオンの存在が公になり、更に石棺が崩壊するという世界規模の災厄の前に、荊たちはこれを防ぐことができるのか。
いやー、まさしく「大団円」でしたね。ちょっぴり(?)感動してしまいました。
"sword art online alicization awakening" - 「ソードアート・オンライン 17 アリシゼーション・アウェイクニング」
一気に読み進んでしまいました。
もう死闘に次ぐ死闘です。敵方のリアルワールドからの増援部隊(?)5万人によって、人界軍は壊滅の危機に晒されるが、アスナ、シノンそしてリーファの参戦により、辛くも危地を脱したかと思えたその瞬間、・・・!。
いやー、やっぱりストーリーテーラーですね、川原礫は。息も継がせぬ危機の連続、仲間が次々と斃れていく中、それでも希望を繋いでいく。そして、SAO からの因縁の対決へと。キリトの目覚めが待ち遠しいですね。
Brian Wilson Aldiss の幻の傑作SF、ということで読み始めたのですが、・・・いやー、苦労しました。読み進めるのが苦痛で。5日間くらいかかってやっと読み終えました。
まず、登場人物たちの性格が破綻しています。考えが理解できません。また、宗教的側面も理解できませんでした。更に、彼らの置かれた環境ですが、「船」ということは理解できるのですが、それを登場人物たちは認識できないのです。一言で言って、知識が失われて、と言っていますが本当にこの僅かな世代交代において、こうも退化するものでしょうか。
でも、設定は斬新です。予想もしない展開でした。意外と簡単に「前部」に到着してしまって、拍子抜けすることも有りましたが。
またけっこう救いのない話でしたね。悲壮感というのはあまりありませんでしたが、やるせない無常感、というのは感じられました。まぁ、登場人物が全て殺人を犯している時点でアウト、ですけど。
「灰と幻想のグリムガル Level. 8 ─ そして僕らは明日を待つ ─」
前巻に続いて一気に読んでしまいました。最新巻の第8巻となります。
なんとかグリムガルへと帰還したハルヒロたちですが、霧が濃いなかハルヒロとユメが偵察に出たところ、"颱風 <タイフーン>" ロックスのメンバーと出会う。一方、戻ってこないハルヒロたちを捜索にランタとメリイが出、クザク、シホルが残ることに。
以降ハルユキたちは3組に分かれて行動することになるのだが。
ハルユキたちの前に立ちふさがる障害。同じ義勇兵、同じクランに属していても信じられるのは仲間だけ、という厳しい状況の中で、ついにランタの裏切りに会い、刃を交えてしまうハルヒロ。今後の行方がとても気になります。次巻の発刊が待ち遠しいですね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 7 ─ 彼方の虹 ─」
「黄昏世界 <ダスクレルム>」から命からがら逃げ出したハルヒロたちは、ララ&ノノたちとともに「太陽の昇らない」異世界へと迷いこむ。
人間のいない異世界でのサバイバルが始まる。
生き延びるので必死なハルヒロたちですが、それでも一歩づつ生存の可能性を掴みとる。ハルヒロの必死さが伝わり、その動向に目を話すことができませんでした。
グリムガルに戻ることが絶望的である中、それでも帰還を希望にその途を探すハルヒロたち。ついに帰還の途に就くハルヒロたちには、まさに絶望的な障害が立ちはだかり。
ハルヒロは、ここでまさに生死の境を彷徨い、その果てに見た「彼方の虹」。絶望的な状況の中、凡庸と自覚しているハルヒロが、それでも仲間を求めて死に抗う姿に感動します。早く、続きが読みたい・・・!。
「灰と幻想のグリムガル Level. 6 ─ とるにたらない栄光に向かって ─」
夢中になって一気に読んでしまいました。
ソウマに呼び出されたハルヒロたちは、ひょんなきっかけから、「黄昏世界 <ダスクレルム>」への大規模な戦闘に参加することになります。伝説の元最強義勇兵と元最強義勇兵のチームとともに。
彼らの圧倒的な戦闘力に呆然となるハルヒロたち。
それでも圧倒的多数の相手と巨神に徐々に追い込まれる義勇兵たち。それでもハルヒロは、諦めることなく生存の道を模索し、奮闘します。
ハルヒロの恋心が切ないです。ようやく、メリイへの想いを自覚したのですが、ただ見守ることしかできずに、その想いを秘めたままです。
また平凡で凡庸な自分を自覚しており、積極的になれずにいます。今は、仲間とともに生き延びることに一杯一杯なのです。
ハルヒロを応援したくなりますね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 5 ─ 笑わないで聞いておくれよ ─」
ワンダーホールに来てから数ヶ月が経ち、ウストレルにも対処できるようになり、そんな時に「発見」してしまう。新たな「穴」を。そして、その「発見」を前に逡巡しているハルヒロたちの前に、トッキーズが現れれる。キッカワが所属するピーキーなチームである。
未発見のエリアを探索すべく、トッキーズと共闘を組むハルヒロたち。
ハルヒロは相変わらずヘタレで、慎重なリーダーですが、仲間もそんなハルヒロを信頼し、冒険に乗り出しています。今回は、トッキーズという変わり者の集団と共闘することになり、抜け駆けしようとして窮地に陥った彼らを救援に向かうことになります。
ただし、状況が許さなかったら、すぐに見捨てて逃げることを覚悟して、ですが。
ヘタレで、実力もアレですが、着実に力をつけていくハルヒロたち。なんとか今日も命を繋ぎ、明日へと続いていくのです。
彼らの動向に目が離せません。
「灰と幻想のグリムガル Level. 4 ─ 導き導かれし者たち ─」
デッドヘッド監視塔攻略戦で、かけがえのない仲間を失ったハルヒロたち。パーティの要であった盾役を失い、戦力が半減する中、他のチームから誘いを受けるメンバーもいて。
ハルヒロたちは、新たなスキルを習得してレベルアップを図るが、それでも抜けた仲間の穴を埋めることもできず。
なんとか盾役を補充し、新たな冒険の地にて心機一転チームを立てなおそうとするが、やっぱり実力が下の下のあたりであることを再認識するハルヒロたち。ワンダーホールでも三亜人に舐められて襲いかかられる中、それでも前向きに踏ん張ろうと苦悩する。
英雄譚のように飛び抜けた才能も実力もなく、必死にもがいている姿に共感してしまいます。恐怖と闘いながら、悲鳴を挙げながら、何度も死ぬ目にも会いながらも仲間を信じて闘い抜こうとします。感動してしまいます。応援したくなりますね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 3 ─ 思い通りに行かないのが世の中だと思い切るしかなくても ─」
デッドスポットを倒した後も「サイリン鉱山」に潜り続けるハルヒロたち。狩りが安定しつつも次のステップを模索し始める。その時に、デッドヘッド監視塔の攻略の募集が義勇兵たちに。
慎重に参加の決断を下すハルヒロ。
チョコとの邂逅が新鮮でした。一瞬その関係を思い出すが、直ぐに忘れてしまう状況がじれったい。しかも新兵でありながら、いきなり義勇軍の募集に応じるなんて、なんて無謀な。ハルヒロはチョコの動静が気になりつつもパーティリーダーとしてしっかりとその役目を果たそうとする。
それにしても壮絶な戦闘です。仲間が次々と倒れていきます。優勢かと思えば、直ぐに敵は勢力を盛り返します。目の前に蛮刀が迫り、いつ殺されてもおかしくない状況です。それでも必死に生き残ろうとするハルヒロたち。
そして、最後のその戦闘の行方は。とても気になります。もう続けて次巻を読むしかありませんね。
「灰と幻想のグリムガル Level. 2 ─ 大切じゃないものなんか、ない。 ─」
不覚にも(?)ちょっとだけ感動してしまいました。
ハルヒロの一人称で語られていきます。そのときの感情の、想いのそのままに口語で。とっても素直に読み進めることができます。ランタが取り残された時のランタの様子は、ランタの一人称語りでしたけれど。
一応(と言い訳しつつ)リーダーだから、パーティ全体のことを常に考えているハルヒロ。自分勝手なランタの言動にいつも振り回されます。
そして、メリイがかつてのパーティメンバー3人を失った「サイリン鉱山」での冒険にて、出会ったかつての仲間。やりきれない哀しさ、切なさが目に浮かびます。
そして、デッドスポットとの対決。ハルヒロは死を覚悟します。仲間のパーティメンバーを逃がすために。
ハルヒロの等身大の青年の姿、決して英雄とは言いがたい等身大の仲間たち。思わず感情移入しちゃいました。次巻以降も読むのが楽しみです。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 10 ノウアスフィアの開墾」
このシリーズも第10巻、最新巻まで読み進めることができました。
今回も(?)シロエは悩みます。えーっ、と悩みます。悩んでも仕方ないことながら悩みます。
エルダー・テイルというゲーム世界に似た異世界も、徐々に変遷を見せつつあります。また、新たに姿を見せ始めた「航界種 <トラベラー> 」や「典災 <ジーニアス> 」の存在。そして、「帰還」の可能性。
またこの異世界での「異物」であるかのような「冒険者」の存在。シロエは、悩みます。
それでも取り巻く状況が、シロエに立ち止まることを許さず、覚悟のないまま「大規模戦闘」に突入していきます。各人の想いは様々ながら、戦闘の間にも新たな認識(いや再認識)を得るシロエたち。シロエの「全力管制戦闘 <フルコントロールエンカウント>」による戦闘の果てに得た決意、結論、そしてその結果は。
といった色々と読みどころのある本巻でした。それにしても、カナミはさすがです。一番最後に登場し、一番おいしいところをかっさらっていきましたね。シロエも脱帽(脱力(?))です。
次巻は、また舞台が中国サーバーに移るようです。発刊されるのが今から待ち遠しいですね。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 9 カナミ、ゴー! イースト!」
舞台は、日本サーバーから一転、中国サーバーへ移り、カザフスタンが舞台となります。
あの「彼女」は、日本サーバーにログインしているのではなく、何とヨーロッパにてログインしていたのでした。そこで、彼女は遠く日本サーバーを目指して、ひたすら東へ移動している途中なのです。そこで、ここカザフスタンの地で北米サーバーから転移してきた「暗殺者 <ヒーロー> 」のレオナルドと出会う。
カナミと旅の仲間、という様子ですが、その仲間のキャラクターが面白いですね。いわゆる人間は、今回出会ったレオナルドだけで、後は・・・、という。
また色々な謎が、伏線がありストーリーに目が離せられませんでした。カナミの性格も思った通りでしたし(笑)。天然は最強、最凶なのです。日本サーバーに辿り着くにはまだまだ時間がかかりそうですが、今後の展開が楽しみですね。
早くこのカナミの旅の続編が読みたいものです。
"LOG HORIZON SPINOUT" - 「ログ・ホライズン 外伝 櫛八玉 <くしやたま> 、がんばる!」
本書は、舞台がエルダー・テイルですが、登場人物も背景も「ログ・ホライズン」とは関係ありません。Web で「辺境の街にて」という題で、発表されていた小説らしいです。その意味で、"SPINOUT" という意味でもないですね。まるで、別物語です(笑)。
さて、本書主人公の櫛八玉 <くしやたま> は、エルダー・テイルからの引退を決意した元D.D.D.幹部で、エルフの「神祇官 <かんなぎ> 」です。相当な実力者なのですが、本人はその自覚はないようです。
引退するその当日に「大災害」に巻き込まれ、辺境の街、テンプルサイド <吉祥寺> に飛ばされてしまいます。といっても、テンプルサイドがホームタウンなのですけど。
で、たまたまそこに集まった新人プレーヤーたちと、「大災害」後の混乱期をともに過ごすことになり。
親友であるヤエのキャラクターが秀逸ですね。まるで、ボケと突っ込みの漫才コンビ。クシは、このヤエに振り回されることになりますが、そのドタバタが楽しい。
本当に軽い(ライトな)話で、一気に読み進めることができました。もし、この続編があるのならば、是非とも読んでみたいものですね。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 8 雲雀 <ひばり> たちの羽ばたき」
「記録の地平線」のミノリ、トウヤ、ルンデルハウス、五十鈴と「三日月同盟」のセララが彼らのみで、西の「レッドストーン山脈」に「魔法の鞄」を作成する素材を入手するためアキバを旅立つ。
「吟遊詩人 <バード> 」である五十鈴のツアーを兼ねて、幌馬車は、西へ。
途中、新たな謎のキャラクター「ロエ2」をお供に。
そして今巻の主演は、なんといっても五十鈴になるのではないかと。
本人曰く、「普通の女子高生」で特質すべき才能もなく、音楽もただ好きというだけで、素質がないことを自覚しているという。そんな五十鈴であるが、音楽が好きな、その一点において誰にも負けぬ気概を持ち、終盤には音楽が四十二しかないエルダーテイルという世界を作ったカミサマに喧嘩を売るのである。
色々な現実に押しつぶされそうになりながらも懸命に生きようとする姿が爽やかで、凛々しく思えます。読後感も爽やかでした。
次巻は、ついにあの女性が登場のようです。早く読みたい、ですね。
2016.3
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 7 供贄 <くにえ> の黄金」
「ミナミ」に動向が知られないように密かにアキバを離れて行動するシロエと直継。彼の目的は、膨大な金貨を得ることにあったが・・・。
エルダー・テイルの銀行機能を握る供贄一族に融資を求めるが、これを「太祖から続く約定に違反するから」と一蹴されてしまう。しかしその返答を覆すべく、シロエは供贄一族の持つ資金源の秘密を立てに交渉を続ける。そこで得た情報を元に、シロエはパルムの地の底にあるダンジョン攻略に赴くことになる。ただし、そのダンジョン攻略とは複数の巨人のダンジョンボスを撃破するという「大規模戦闘 <レイド> 」 を意味していた。
というわけで、「大災厄」以来初めての、しかもレベル最強の「大規模戦闘」を繰り返すわけですが、そこがこれまでのゲームでなく、チュートリアルもネット情報も何もなく、ゲームバランスすら配慮されているのかどうかもわからない現実の戦闘行為であることを思い知らされることになります。シロエもこの世界での死亡を初めて体験します。それは、臨死体験にも似た辛い自分の過去との出会いを繰り返すことに他ならず、精神に消耗を強いる辛いものであった。勝利が見えない絶望的な戦闘を繰り返す中、それでも立ち上がる冒険者たちを仲間に、ついに単独でパルムの地の底に降り立ったシロエは、ついに供贄一族との再会を果たす。
そこでの交渉の行方は・・・。
本当に戦闘シーンの連続で、レイド全滅も何回か・・・。その中でもシロエは常に可能性を求め、奮闘します。ゲーム世界が現実になったら、このような設定が世界の物理法則として機能するのかなぁ、と思えるくらい現実感のある世界ですね。
新キャラクタの「てとら」も新鮮です。とても楽しく、一気に読んでしまいました。次巻以降の展開も楽しみですね。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 6 夜明けの迷い子」
シロエへの想いが募るアカツキ。また自身の力の無さも痛感するアカツキは、ひたすら強くなることを目指し、奮闘する。
一方、アキバの街には冒険者を屠る殺人鬼が出没するようになり、討伐隊が結成されるが、殺人鬼はこれもまた粉砕してしまう。殺人鬼の正体とは・・・。
といった中で、アカツキが冒険者の中で孤立する存在でなく、仲間を得て成長する姿が描かれています。アカツキのひたむきさ全開の本ですね。キャラクター人気投票第1位というのも頷けられますね。RPGでは、敵をやっつけられるレベルアップもそうですが、パーティーとして仲間を得る、というのも定番ですね。ベタな展開となりますが、本書はそのことを一心に描いた一編とも思えます。今巻ではシロエは登場しませんでしたが、次巻はまた彼が中心に描かれるようです。楽しみです。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 5 アキバの街の日曜日」
「大災害」から目覚ましい変革を行ったアキバの街の目まぐるしい日常。そんな日々にもあって、アキバで「天秤祭」が開催されることになり、その準備にも忙殺される日々が描かれる。
そして、アカツキ、ミノリの両名がシロエに対する気持ちに改めて気付く。
互いに懊悩する2人。
またその間にも、アキバに密やかに攻撃を加える者が暗躍し、シロエはその状況に違和感で持って気付く。その敵の意図は何か。「天秤祭」は無事に開催、運営することができるのか。
色々な人の思惑を飲み込み、ついに「天秤祭」が開幕。
という風なストーリーですが(笑)、「大地人」と「冒険者」との関係が面白いですね。また、アカツキ、ミノリの両名がまた健気で泣かせます(笑)。シロエがうらやましい。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 4 ゲームの終わり <下>」
夏期合宿中の新人プレーヤーたちは、引率の古参プレーヤーとともにチョウシの街を守るべく、戦闘に入る。一方、領主会議に参加していた円卓会議の代表者は、紛糾する会議を後にレイネシア姫の要請を受けてアキバの冒険者たちをゴブリン討伐に向かうことを決意する。
もう後は、戦闘に次ぐ戦闘・・・。
そして、その戦闘中に仲間を助けようとして捨て身の戦闘に出たルディは、ついに力尽きて死亡してしまう。冒険者ならば、その時点で、神殿での復活となるはずが、ルディには復活魔法も効かず・・・。
けっこうはらはらどきどきして一気に最後まで読んでしまいました。
ルディが健気です。また、クラスティはかっこいいですね。次巻も楽しみです。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 3 ゲームの終わり <上>」
第3巻は、上・下巻の上巻となります。
「円卓会議」成立から2ヶ月。アキバは変革の時を迎え、激しく動いている時、双子を含む新人プレーヤーの修練のため、夏季合宿が催される。一方、シロエたち「円卓会議」のメンバーは、<自由都市連盟イースタル> の領主連名の領主会議への招待状に応え、「エターナルアイスの古宮廷」へと赴く。物語はこの2つが並行して交互に語られていく。
夏季合宿では、新人プレーヤー(特に双子がいるパーティ)たちの対モンスターへの戦闘経験が綴られる。個々人のレベルという実力だけでなく、パーティとしての連携を如何にうまくとるかの重要さを身をもって体験することに。
一方、シロエたちは「大地人」と称するNPCへの認識を新たにすることになる。システムが定めた非生命でなく、現実として生きている人間としての認識を。そして、このエルダー・テイルの世界が異世界という現実に。
今回も派手な戦闘シーンはありませんが、RPGを「生身」で体験することの違いについて色々と考察でき、楽しく読み進められました。新人プレーヤーたちの成長過程にもまた興味が湧きました。今後の動向が楽しみです。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 2 キャメロットの騎士たち」
もう一気に読み進めることができました。
前巻からのまさに続きから物語は始まります。そして、アキバに帰還したシロエたちを待ち受けていたのは、曲がりなりにも落ち着きを取り戻しつつあった街の風景であったが・・・。
法無き街の治安は乱れ、強大なギルドの支配下に入りつつあったアキバに「気持ち悪さ」を感じ取ったシロエたちは、ついに自身のギルドを立ち上げる。
「腹ぐろ眼鏡」の異名を取るシロエは、街に変革をもたらすべく行動を開始する。
派手な立ち回りやアクションシーンはあまりありませんが、シロエの考える街の改革がどのようなもので、そしてどういう風に実行するのか、興味が尽きることがなく楽しく読み進めることができました。
それにしてもシロエはかっこいいですね。自身の戦闘能力はさほどでもないという設定ですが、まさに智謀の参謀役がぴったりです。そして実行力もあります。
「記録の地平線」というギルド名にもとっても興味が湧きますね。今後も目が離せなくなりそうです。
「灰と幻想のグリムガル Level. 1 ─ ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ ─」
剣と魔法の世界、グリムガルという異世界に飛ばされた少年、少女たちの物語です。
気が付くとそこは異世界という設定はよくある(?)のですが、さらに自分の名前以外の記憶が無いことに気がつく。案内人により連れられたところは、「オルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーン」の事務所であり、義勇兵団に加わらなければこのグリムガルでは生きていけない、と告げられる。
これまでの(?)異世界ものと違うのは、主人公ハルヒロが、剣と魔法が得意でもなく、また選んだギルドが「盗賊」というところ。また、パーティーを組む仲間たちは、いわゆる余りもののミソッカス同士だということ。
本書は、このハルヒロが語る形で進んでいきます。ハルヒロのそのとき思っていること、考えていること、感じていることなどを交えて語られているので、思わずハルヒロに感情移入してしまいました。
いわゆる「成長物語」だとは思うのですが、ゲームのようにストーリーが進むわけもなく、相手のゴブリンとの命のやり取りがリアルです。HP/MP という概念はなく、魔法力が尽きれば魔法は使えない、ギルドでスキルを習得しても実戦で鍛えなければ使いものにならない、という具合です。また、剣で傷つけられると血はでるし、殴られればあざができます。そして、死んでしまうと蘇られない、というか火葬にしないとゾンビになってしまうのです。
今年になって、TVアニメ化され、毎週の放送を見ています。けっこう丁寧に作られており、原作にけっこう忠実にストーリーが進みます。本書を知ったのも、このTV放送のおかげでもあるのですが(笑)。
次巻以降、読むのが楽しみです。
"LOG HORIZON" - 「ログ・ホライズン 1 異世界のはじまり」
夜を徹して読んでしまいました。退屈することなく一気に読み進めることができました。
剣と魔法の世界へは、様々な理由でもって転移するのが定番ですが、本書はいきなり主人公たちがゲーム世界に投げ込まれてしまうところから始まります。いや、ゲーム世界を忠実に再現した現実に生身のキャラクターが転移させられる、というか、そんな描写ですね。
さて、オンライン・ゲームにログインしていたはずが、気がつくとそのゲーム世界を忠実に再現した異世界に生身のまま転移していたという、主人公のシロエは、どうやら大学生のようです。少なくとも20歳は超えているようです。ただし、対人関係が苦手らしく、現実世界から逃避するようにゲームに入り浸っているようです。それにしてもゲーム世界にまでその心情を持ち込まなくても、とも思いますが(笑)。どのようなギルドにも属さず、異世界に転移した後でも、敢えてギルドには属さずに、直ぐに冒険を開始します。また、キャラクター設定が「「付与術士(エンチャンター)」というのも目新しいですね。いわゆる頭脳派で参謀タイプです。そして、ゲームの最古参者であり、レベルのほぼ最高。それでも、現実世界となった異世界でのキャラクター操作の違いを克服しようと訓練に励むのはさすがですね。妙にリアリティのある描写でしたね。
まだまだ冒険はこれからのようですね。次巻以降が楽しみになって来ました。
楽しく一気に読み進めることができました。
主人公の光二郎は75歳で、元中学理科教師。天才と謳われたのでもなく、立派な業績を残したのでもなく、今は「分解」修理が趣味のおじいちゃん。最近は短期記憶の衰えがちょっと心配・・・。
魅力的な主人公ですね。また、光二郎を取り巻く家族の目が優しい。特に自分では「アホ」と思っている孫の「かける」。彼もまた学業はできないのかもしれないが、根が優しく、決して知能が低いのではなく、とっても素直な性格。
正体がちょっと気になるのは頭野くらいですね。
シリーズの第1巻だそうですので、続巻が楽しみです。
このシリーズも5冊目となりました。シンシアリーによる「~韓論」シリーズです。
今回は、「愛国」と「反日」について深く掘り下げて論じています。
総じて、やっぱり韓国、朝鮮人のメンタリティは理解できません。ただこれまで受けた印象からは、あぁ、やっぱり、と納得はできるのですが。いわゆる「息をするように嘘をつく」というあれですね(笑)。嘘も百回つけば本当になる、とも言いますが、本人も嘘と思わず信じているのですね。でもそれは(日本人の感覚から言えば)いわゆる「病気」というものだと思われます。
特に韓国ですが、自国の建国について「嘘」から始まっているのですね。そこが理解できませんね。どうして建国の経緯について歴史を捏造するのか。自分に嘘をついても何らのメリットがあるとも思えないのですけど。
また、「愛国」という意味についても理解できなかったですね。日本では、愛国心ということが話題になったこともありましたが。それは強要されるものでなく、また顕示するものでもないと思うのですが。でもこの本の著者が述べているような心境についてはある程度の理解はできました。
やっぱり、かの国とは距離を置きたくなりますね。狂犬を相手にしているような気分になりました。
"The irregular at magic high school" - 「魔法科高校の劣等生 19 師族会議編 <下>」
シリーズ第19巻、氏族会議編 <下> となります。一応の完結編ですね。
司波達也の持つ魔法は、著しい偏りがあるといいますが、それは最強という意味で偏っている(?)ようです。いついかなる場面においても、最強の魔法師です。
<再成>、<分解>そして<目>を持つばかりか、遠方のものであっても視認さえできれば、分解しエネルギーに変えることもできるのです。まさしく、不死身のヒーロー、歩く究極兵器ですね。しかも感情の揺れが小さく、殺人に対しても忌避感が乏しく、愛情でさえただ一人に注ぐ、という。また四葉家の情報収集能力をも手中にあるわけですから、向かうところ敵なしですね。
今回の「箱根テロ」事件の主犯を追い詰めるにも絶大な力を発揮します。ただ、相手が単なるテロリストだけでなく、USNA軍という国家権力であるところで、色々と苦戦することになります。
今後の二人、達也と深雪、がどのようになっていくのか、次巻も楽しみです。
"The irregular at magic high school" - 「魔法科高校の劣等生 18 師族会議編 <中>」
前巻よりえらく間が空いてしまいました(笑)第18巻です。また今巻は、下巻かと思っていましたら、中巻となっています。
前巻までのストーリーのすっかり忘却の彼方となっていましたが、冒頭のあらすじを見て、なんとか本巻につなげることができました。
相変わらず(と言っていいのか)説明が多い文体となっています(笑)。戦闘場面においても、達也の行動に説明が入ります。記憶力の乏しい、いやひょっとして思考力も衰えた、我が身にとってはありがたいことですが(笑)。
さて、深雪への婚約に名乗りを挙げた一条将輝が、一高に1ヶ月の間お世話になることになります。そして、迎えた2月14日。学生ですので、ヴァレンタインは忘れることなく、チョコを渡すのでした(奇しくも今日は、3月14日、ホワイトデーですね。次巻では司波達也もホワイトデーに何かお返しでもするのかな)。
そうこうしているうちにも(?)爆破テロの首謀者を追い駆ける司波達也。これから、というところで物語は、本当に突然中断されます。なんということでしょう。次巻も続けて読まざるを得なくなりますね(笑)。
"DOWL MASTERS 03" - 「ドウルマスターズ 3 ─海抜四十メートルの呪詛─」
シリーズ第3巻です。
今回の闘いの舞台は地球上、海上のメガフロートとなります。具体的には、その近海、水中での死闘となります。ただし、訓練のために地上に降りてきており、ドウルも訓練機であり、専用機ではありません。
ゲノムスの一員となった龍一の搭乗機(ドウル)は最新鋭のマクリール。現時点での最高性能を有するドウルです。迎え撃つソフィア側もこのゲノムスの最新鋭機にはまるで歯が立たずに次々と撃破されていきます。そして、朱里、蒼生、澪音の大切な仲間の一人も犠牲になります。
というストーリーですが、・・・相変わらず説明が多いです。ややもするとしつこいくらいに(笑)。でもまぁこれがこの作品(著者)の持ち味というものかもしれません。それにしても、なかなかスカッと爽快、というわけにはいきませんね。ちょっとシリアスな感じが漂います。主人公の技量がいまいちで、専用機の出番がまるで無かったのが残念です。次巻に期待、ですね。
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン IV -サード・スクワッド・ジャム ビトレイヤーズ・チョイス <上>-」
やっぱり長いタイトル(笑)。
期待の続編。わくわくしながら読み進めることができました。
第3回スクワッド・ジャムの開催です。いやいやながらもレンは、ピトフーイにうまく載せられて参加することになります。そして、レン、ピトフーイ、フカ、エムの4人でチームを組むことに。最強のチームです。でも、スクワッド・ジャムですから、何があるのか分かりません。冒頭、レンが機銃の嵐の中を必死に逃げ惑うシーンから始まります。「死ぬ死ぬ死ぬ! これ死ぬ! 死ぬ! 死ぬ! ひー死ぬ!」と絶叫しながら(笑)。楽しくてわくわくどきどきするスクワッド・ジャムのスタートです。
日常ではあり得ない暴力的な会話が飛び交います。でも何故かそれが楽しい。ゲームとして割り切れるので、悲壮感などの負の感情はそこにはありません。そこには徹底的にゲームを楽しんでやろう、というお祭り的な様相でしか無いのです。読んでいても悲壮感は(全く)ありません。レンたちの活躍が楽しみで、一気に突っ走ってしまいます。
今回もまたいろいろなギミックを携えて、楽しませてくれました。下巻が出るのが待ち遠しいですね。
"DOWL MASTERS 02" - 「ドウルマスターズ 2 ─高度四十万キロの死闘─」
シリーズ第2巻です。何やら蒼生のドウル操縦(?)方法についての相性について、色々と話しがされていましたね。"NITU" とか "MITU" とか・・・。著者にとっては何故か拘るところなのでしょうが。それにしてもアクションシーンは、けっこう現実味があって迫力がありました。
偶然と必然が重なって結果が自然と行き着くところに行くという、さすがですね。これで、やっと敵・味方陣営に役者が揃ったというところでしょうか。
それにしても、龍一はどうして訓練校にまず潜入していたのでしたっけ(?)。などという基本的な設定も忘れている私・・・。ひょっとして(私は)著者の想定斜め上を行くあきれた読者なのかもしれませんね(笑)。
"DOWL MASTERS 01" - 「ドウルマスターズ 1 ─若き人形師の邂逅─」
2014年7月に発刊された新作(!)シリーズ「ドウルマスターズ」の第1巻です。著者は、あの「魔法科高校の劣等生」シリーズの佐島勤。ということで、やっと(今になって)読むことができました。実際に本書を手にとって購入したのは、昨年5月のことですが。
著者があの佐島勤ですから(?)、まぁ設定が緻密なこと。本編に入る前の設定資料を読むのに(ちょっと)苦労しました。それでもその世界観の構築には、あまり矛盾を感じることはありません。単なるロボットものというよりも、世界観の中に自然とあるロボットという雰囲気を構築しています。魔法を現在魔法として捉えているように、超能力をエクサとして捉え直しているように。実質、説明になっていないのはいつもの通りですが(笑)。しかし、SFらしいSFというか、ジュブナイルとしても楽しむことができました。今後の主人公たちの動向に目が離せなくなりそうです。
短編集です。一応、完結編(第9巻)からの続き、となります。
クスノキの里の若き調停官所長となってからの日常が描かれています。前半は、クスノキの里での様子、後半は、旅をして他の里を訪ね歩いての見聞録の形式となっています。
相変わらず、妖精さんとの関わりは途絶えることがありませんね。そして、その行き着き先も、「あ、いつものパターン」となります。
でも、毎回奇想天外な状況があって、「わたし」が介入(?)することになって展開する物語が楽しい。妖精さんたちもいつものようでいて、やっぱり楽しい。
人類衰退期は、ある意味ユートピアですね。
「楽しいことだけ考えておきらくごきらくに歩いて行きましょう。だからさあ、涙をふいて─」。
ついに完結編です。また前巻よりの続編となります。寝る前にちょっとだけ、と思って読み始めたのが運の尽き。夜を徹して読破してしまいました(あほです)。
そういえば、「わたし」も、月へと飛び立つときにYからも同じ言葉を投げかけられていましたっけ(ちょっと意味は違うけれども(笑))。
今巻は、「わたし」がおじいさんを救出に月へ、ということに全編費やされています。まず精神だけが月へと向かう途中、人類と妖精さんたちとの歴史を視ることにもなり。そこには、驚愕の事実が。また、実際に月に到着すると、そこにも新たな事実が判明します。無事、おじいさんを救出し、地球へ帰還することができるのでしょうか。
今までにない、シリアスな困難が待ち受けています。また、月には人間がいないため、妖精さんもいなくて、その加護を受けることもままならない、という窮地に立たされます。妖精さんは、持参した数人だけ、という。しかもお菓子は、月では調達できず、持参した金平糖も残り少なくなってくるという。
はらはらどきどき、途中、いろいろとくすっとさせられながら、ストーリーはクライマックスへ。はぁー、楽しかったぁ。
衰退期の人間にも明るい未来が待っていそうで、ほっとさせられました。もう少し、クスノキの里の様子を見ていたい、という気になりました。続けて、「平常運転」を読むつもりです。
いやー、楽しかったです。前巻で破壊されたクスノキの里での復興までの過程が描かれていますが、妖精さんが絡むと色々ととんでもないことが発生するようで・・・。
それにしても、人類も衰退期に入ると、平和になるものですね。居・食・住が満ち足りると、欲というものはもうそれで無くなってしまうのですね。なんだか羨ましい・・・のは何故?(笑)。
プチモニも大活躍です。Kさんの下で暮らしておると思いきや、しっかりと「わたし」の胸ぽけっとの中に。しかも妖精さんの充電機能付き。プチモニも満足そうです。
さて、クスノキの里の復興に腐心する孫娘をよそに月へと旅立ってしまったおじいさん。次巻は、どうやらおじいさんを助け出す(?)ミッションとなりそうですね。今から読むのが楽しみです。
著者の Jenifer Foehner Wells は、本書が初見となります。なにやらネット小説で評判になったとか。「火星の人」の Andy Weir と同じですね。ただし、Andy Weir は映画化されたのが違いますが。
さて、本書もまたシリーズ化されるのでしょうか。いわゆるファーストコンタクトものですが、スペースオペラ的な要素も多分にあります。
ヒロインのジェーンの活躍がまた見られるのでしょうか。
帯にありますように本書は「近未来ハード・サスペンスSF」ですね。異星人がどのようなメンタリティを持ち、なぜ遺棄船のごとく振舞っているのか。また、地球からの乗組員(科学者)たちが、異星船で遭遇した未知の生物との生存を賭けた戦闘は、などスリルとサスペンスに満ちた展開となります。そして様々なミステリが提示され、ヒロインがどのようにそれを解決していくのか、というのも見どころとなっています。
ハードSFとしては、色々突っ込みどころ満載ですが、アクションシーンの連続で気になることはありませんでした。
次回作があるのならば、それにもまた期待(!)ですね。
第6巻が出てからしばらくぶりの第7巻らしい(あとがきより)ですね。古本での購入でしたのでよく分かりませんが(笑)。
ということで、春期業務報告となりました。
前半は、「妖精さんたちの、ちいさながっこう」。「わたし」がなんと教師のまねごとをすることに。生徒は、クスノキの里の小さな3人の子どもたち。
ただし、両親が揃いも揃っての放任主義で、モンスターペアレント。「わたし」は諍いを避けるために妥協を繰り返すのだが、それも限界に。また敵(子どもたち)を知るために敵情視察を敢行。そこで見えてきた問題は。
解決手段もまた「わたし」らしい発想で、強硬なのに楽しいものでした。ただ、本当の問題が明らかになると、やっぱり妖精さんたちの出番なのです。それにしても、妖精さんとのお付き合いも慣れたものとなりましたねぇ。妖精さんほいほいでの捕獲、とは。
後半は、「人類流の、さえたやりかた」。
ヒト・モニュメントがついに稼働するようになります。という時期になって、「わたし」は一時記憶を失い荒野を彷徨うはめになります。やっと帰り着いたクスノキの里は、破壊された跡があり・・・。
ストーリーはサスペンス風、ミステリ風になりハードボイルドの様相も呈するようになりますが・・・、失った記憶を取り戻すことにより・・・。
やっぱり、童話的な話でしたね。ほのぼのとした結末でほっとしました。
2016.2
実はこの第6巻は、前巻より1年+αぶりくらいに刊行されたようです(あとがきより)。それででしょうか、本巻では冬期業務報告となりました。
「妖精さんたち、すかいはい」は、TVアニメでは見たことがありません。おそらくアニメ化されていなかったのではと思います。内容は、いつものとおり、妖精さんたちによる事象がとてもユニークでかつ、(なんと)「わたし」が妖精さんたちを使いこなす(?)ことができるようになっています。
しかも、妖精さんたちを携帯しているのです(!)。
「妖精さんたちの、さぶかる」は、TVアニメで見た記憶がありました。おぼろげですけれど(笑)。
親友Yにより、クスノキの里を発信源に、「同類誌」が次々と発刊されるように、一大ブームを巻き起こすことになります。妖精さんたちも、当然(?)このブームに乗り遅れることなく、わたしたちを巻き込んで、妖精事象が発生します。
結末がアレでしたけれど、妖精さんたちの巻き起こす事象がいつものごとく想像の斜め上を行っていて、けっこう楽しんで読むことができました。
次巻が手持ち分の最後の巻なんですよねぇ。第8巻、第9巻(完)も欲しくなって来ました(笑)。
第5巻は八月期報告となります。
前半は、特記事項無し、となっていますが、「わたし」の学舎時代の様子が描かれています。
端緒は僅かな耳鳴りから、そして最後は RYOBO230r の処遇までとなります。すべてに妖精さんが関わっていることが最後に明らかになります。
時にはなかなかきつい真実に向き合うこともありましたが、ほのぼのとした読後感の爽やかな一編でした。伝承と記憶の狭間に妖精さんは存在していたのですねぇ、納得しました。引っ込み思案で孤立してしまいがちな、そして知性あふれる少女の傍らには、妖精さんの加護があるのです。うん。
一転、後半はシュールでかつコミカルな展開となります。もう、懐かしいゲームのオンパレード。
もうしばらくゲームと名のつくものにはご無沙汰していますが、当時のビデオゲームのあの躍動感を覚えている身にとっては、とてもノスタルジックな感慨で一杯になりました。そうですね、いわゆるビデオゲームなるものの誕生からその発展過程をリアルタイムで見てきた者にとっては、単なる記憶というだけでない、甘酸っぱい感傷というものがあるのかもしれません。久々にそのようなことを想い出させてくれる話でした。
うーーん、久しぶりにゲームでも覗いてみるかなぁ。もちろん、レトロなゲームですよ(笑)。
第4巻です。第1巻が四月期報告とあり、本巻は七月期報告となります。
前半が、「妖精さんの、ひみつのこうじょう」、後半が、「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」となります。
「ひみつのこうじょう」は、妖精社への視察レポートとなります。そこには人間社会の食糧事情も反映された食料生産工場のはずなのですが、こと妖精さんがからんでくることになると・・・。
「ひょうりゅうせいかつ」は、いきなり無人島でのサバイバルとなります。ただし、妖精さん付きですので、その展開は推して知るべし。
「わたし」は、妖精さんの餌付けには完全に成功したようです。ただしその結果、クスノキの里での妖精さん密度がえらいことになっているようです。
それにしても妖精さんの行動は予測不能ですね。つねに予想の斜め上を行くようです。興味が付きません。主人公の性格設定も相まって、本当に楽しく読むことができます。妖精さんとの会話が最高!、ですね。「わたし」のツッコミがとても面白く思います。
次巻はどのような話でしょうか。とても楽しみです。
「妖精さんの、おさとがえり」が収録されています。TVアニメでもこのエピソードが描かれていました。ちなみにうちの山の神さまのお気に入りのエピソードです。
都市遺跡の調査中に「わたし」と「じょしゅさん」は、間違って都市遺跡の最奥へと迷いこんでしまう。そこで出会った「ぴおん」と名乗るネコ型の自称「人間」と都市脱出を試みる。折しも妖精さんはお里帰りの最中で、その加護もなく、生命の危険に晒される。
都市遺跡調査が探検になり、その最奥からの脱出劇になり、悲壮感漂う中、話がシリアスになり切らないのは、このライトノベルのいいところですね。「ぴおん」と「おやじ」もその正体がやっぱり、と思いながらも、そーかと納得させられる設定でした。ちょっとだけ、無理があるのはご愛嬌(?)。
問題解決のために「わたし」が採った行動も意外なものでした。すっとぼけることができずに、すぐにバレてしまったのもまたご愛嬌、ということで(笑)。
第1巻に続いて第2巻を読んでいて、(小粋にも)寝落ちしてしまい、気がつけばお昼になっていました。さすがに、二度寝にはなりませんでしたが、読書再開に手間取り、ようやく今読み終わりました(笑)。
巻末にある「五月期報告書」によると、2件の出来事がありましたね。最初の「計量スプーン」については、初耳でした。TVアニメ化されていないようです(多分)。弱肉強食の世界であり、映像化しにくい場面があったせいなのかもしれません。面白かったけど(笑)。それにしても、「わたし」は「322」なのに、「お祖父さん」は「1275」もあるのですよねぇ。何気に凄い、お祖父さんなのです。
さて、この巻で「わたし」の髪の毛が長い、面倒なので伸ばしっぱなしになっている、という描写が初めてありました。イラストの通りですね。著者からイラストレイターには事前に説明があったのかもしれませんね。
それから、「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、TVアニメで見たことのあるエピソードでした。読んでいてもややこしい話でした。いくつか意味不明、理解の及ばぬことがありました。犬は何を表しているのか、「じょしゅさん」は何を探していたのか、そして見つけたことになっているようですが、「わたし」はどうしてそれを知っていたのか・・・、などですね。まぁ、そんなことは些末事でしょうが、ちょっと気になりますね。
田中ロミオの作家デビュー作です。
ライトノベルらしい(?)軽くて毒にも薬にもならない楽しい読み物でした。また、イラストも多くあり、見ていても楽しくなりました。
主人公の「わたし」は、その性格については詳しく描写されていますが、容姿については、背が高い、くらいでそれ以外一切が描かれていません。イラストにあるのがそうかな、とは思いますが。
文体のまた優しく、時にえげつないこともさらっと書かれていますが、ちっとも嫌味ではありません。「わたし」の性格も大概ですが、妖精さんとはうまくやっていけそうです。
とにかく、本書は「わたし」と妖精さんたちとの交流の様子についてのみ書かれており、村人など祖父以外は登場しません。それで、これだけ描けるのですから、妖精さんは偉大です。
いろいろと面白い妖精さんですが、ちっとも科学的ではなく、寓話的ですが、何ら教育的なことはありません。想像の斜め行く妖精さんの行動がとても楽しく、一気に読み進めることができました。
次巻も続けて読もうと思います。
"THE ISOLATOR realization of absolute solitude" - 「絶対ナル孤独者《アイソレータ》 3 凝結者 The Trancer」
「アイソレータ」シリーズ第3巻となります。全巻から約1年経ってからの発刊ですね。前巻の内容、・・・ほとんど覚えていません(汗)。
川原礫作品の特徴は、世界設定の巧みさとアクションシーンの描写がうまい、ことでしょうか。
このアイソレータの持つ能力についても、結局は自身の心情、トラウマに如何に対峙し認識するか、ということになります。ギミック、理論に囚われず人間の感情に対するあり方にストーリーが収斂されていきます。
また、各人が持つ能力についてもそれぞれが個性的でユニークですね。必然、バトルの結果が読めず、ハラハラ・ドキドキしながらページを繰る手が止まることはありませんでした。
早く次巻も読みたくなりました。でもまた、来年になるのかな(?)。
ついに最新巻まで読み終えました。2015年6月23日 初版第1刷発行らしいのですが(笑)。でも、ということは、半年もまだ第12巻が発売されていないのですね。またまた締め切りを破りまくっているのかしらん。
ネットで調べていると、BD/DVD発売も延期になっているよう・・・。多分、特典の小説が書き上がらないのが原因かどうかとか・・・?。
それとも、第11.5巻("another"とのうわさも)が先になるのかも、とかも考えられますね。
いずれにしても物語はいよいよラストに近づいているような気配。
このラブコメが本当にまちがっているのかどうか、興味が尽きませんね。比企谷を巡る少女たちの動向も気になります。
比企谷もここにきて、けっこう、モテキの予感が。
当初読み始めた頃は、ライトノベルの文字通り軽いラブコメだと思っていましたが、あにはからんや、比企谷のぼっちという純粋な心根に惹かれ、周辺の不器用な少女たちの言動に触れ、大人のこすからい打算的な、それでも優しげなまなざしに触れ、ここまで読み進めることができました。
次巻が発売されるのを楽しみに待つことにします。
表紙絵が一色いろはで、本巻でも一色いろはが出ずっぱりです。
いまいち何を考えているのか分からない、可愛い後輩ですね。なぜだか、奉仕部に入り浸り、次々と難題を持ち込むようになって来ました。比企谷との関係も(ちょっとだけ)微妙に・・・?。
いろはにとって比企谷とは、自分の性格などが知られているため、気軽に素を出せる相手なのかもしれません。少なくとも「キモい」と言って忌避されるような存在ではないようです。
比企谷もまた彼女の魅力は認めつつも、その真意が垣間見えるため、なんとか普通に接することができるようですね。
今後どのように彼女が比企谷に関わってくるのか少し興味があります。次巻も読むのが楽しみです。でも私のお気に入りは、実は川なんとかさんだったりするのですが・・・。
第9巻に続いて一気に読んでしまいました第10巻。
高校2年生の3学期。学校行事の大半が終了し、マラソン大会を残すのみとなったこの時期に3年生への文理選択希望の提出が実施される。
自分の進路希望も、他人の進路希望も気になるクラスメイトたち。比企谷のクラスも例外ではなく、特に葉山隼人が自分の進路希望を明らかにしなかったことで、(彼の頑なまでに明らかにしないその態度により)奉仕部にその意図を探って欲しい、という依頼メールが届く。彼の真意を確かめるべく動き出した比企谷たちであったが・・・。
比企谷が最後にとった手段は、「ふたりの距離の概算」を思い起こさせるものでしたね。ただ、あまりにも体力のない比企谷ですので、ゴールするのがやっとの状況のようでしたが。
しばらく遠ざかっていましたが、第9巻を読み終えました。
奉仕部の中では、今不穏な空気が流れています。大切なものがあるのにそれを大事にするあまり、誰もそれに触れようとしない、互いの距離感を見失っている、そのような雰囲気です。当人たちの自覚はしているようですが、得も言われぬ実体を掴めず、悶々としているようです。
そこで依頼があった奉仕部。1年生生徒会長、一色いろはが持ってきた依頼とは、他校とのクリスマス合同イベントへのヘルプです。
そして、やむを得ず参加することになった比企谷でしたが、そのイベントのための会議に参加した途端・・・。うーん、会議は踊る、でしょうか(ちょっと違うか)。会議のための会議、何も決まらず、課題だけが積み上がって、失敗が視えている会議の行方・・・。
比企谷の自虐ネタは鳴りを潜め、ひたすら内省に努めます。うーん、その集中力がすごい。また、表紙絵にもなった平塚先生がかっこいい!。由比ヶ浜も相変わらずかわいい!。川なんとかさんもチョイ役で出ています。何となく微笑ましい。
総じて難解な巻でしたが、読み終えるとやっぱり面白かった、という感想です。次巻も楽しみです。
"Dusk maiden of Amnesia" - 「黄昏乙女×アムネジア 全10巻」
新谷貞一は、幽霊の「夕子」さんが見える。と、何の説明もなく、貞一が登場し、夕子が登場します。
学園内に流布する七不思議。全てが夕子にまつわる怪談で、その怪談を追ううちに学園と夕子の謎が徐々に明らかになっていく。
旧校舎のとある部屋から地下へと続く階段を降りると、そこには祠が祀られてあり、更には足を骨折した白骨死体が放置されており、それが夕子の遺骸だと判明し・・・。
とってもオカルティックな話ですが、夕子さんが底抜けに明るく、おちゃめなこともあってコメディタッチでストーリーは展開します。また、怪談に翻弄される学園生徒も描かれ、様々な心象風景もまた展開されます。どうして、夕子が幽霊になり、そして記憶を失ってしまったのか。それを明らかにすることは、夕子自身が自分に向き合うことと、この世からの未練を断ち切り、成仏することと同義だった。ただ、夕子には貞一という想い人があり、貞一もまた夕子に好意を寄せていたが・・・。
夕子さんが健気です。そして、夕子さんが居なくなってから貞一の採った行動もまた予想外でした。ちょっと安易な気もしましたが。まぁ、ファンタジーとして見れば、これはこれでいいのかな、と(笑)。できればもう少しこの後の展開も見てみたい気がしますね。
"AO ─ HARU ─ RIDE 9 - 13" - 「アオハライド 第9巻~第13巻」
やっと読破しました。ただ、第13巻の「ストロボ・エッジ 特別篇」を除いて。せめて、「実写映画版 ストロボ・エッジ」を観てから読もうかな、と。
さて、双葉も恋人を乗り換えて(え)、修学旅行へと。
ところが行き先の長崎でも一波乱、二波乱ありまして、自分の気持ちに正直になるべく洸は、周回遅れにもかかわらず、(双葉の未練につけ入り)猛烈に追い上げようとします。双葉は、この猛追に逃げ切ることができるでしょうか・・・。
と書いてみると、双葉や洸が如何に迷惑な奴らなのかが、分かりますね(笑)。周囲の人間を盛大に巻き込みながら、最後には自分たちの我を通すという。周囲の人達が純粋なだけにとても可哀そう(?)。
でも・・・、読後感は「爽やか」でした。少女恋愛ものの王道でした。「ストロボ・エッジ」も読みたくなってきました。
※ 2016.2.9 「映画版 ストロボ・エッジ」を観ましたので、第13巻付録の「ストロボ・エッジ 特別篇」を読みました。ヒロインを有村架純が演じていて、コミックで受ける印象ととても良く似ていてびっくりしました。それにしても「団長」って誰?(笑)。映画では出てこなかったのですけれども(笑)。
"AO ─ HARU ─ RIDE 1 - 8" - 「アオハライド 第1巻~第8巻」
やっと第8巻まで読み終わりました。久しぶりの恋愛ものですね。とっても疲れました。
とにかく、揺れる、揺れる、感情の起伏が激しいし。とっても純粋というか、純粋でない自分の気持ちに正直だし(笑)。
またこのようなストーリーには、いわゆる敵役というか、悪人はでないのね。また、とっても「いじわるな人」もいないし、意固地な教師、その他諸々、みーんな「いい人」なんですねぇ。
クサいセリフもまた、クサいと知りつつ言えるのもこの年代の特権かなぁ、なんて思わせてくれます。でも実際の自分は、このように積極的でも真剣でもなかったような気もしますが・・・(笑)。
ストーリー的には、なんだかあまり進んでいませんねぇ。同じ所をループしているような・・・ちょっと、疲れました。
でも、やっぱり面白い。彼らの恋愛模様にわくわくしたりするのです。
あーっ、「正統派少女マンガ」かなぁ、と思ったりします。
ちょっと休憩を挟んで(笑)、次巻を読もうかと思っています。
「まかなかったジュン」の世界から「まいたジュン」の世界へと復帰したジュンとドールたちの日常が戻ってきます。しかしそれもつかの間、雪華綺晶の暗躍が徐々に明らかになり、ドールたちのアリスゲームもまた実体を持って迫ってきます。
最終巻まで一気に読んでしまいました。途中で、状況がよく分からなくなりましたけど(笑)。いや、それくらい状況が複雑化して、複数の場所で、複数のエピソードが複雑に絡み合っていくのです。
もうどこで誰が何をそうしているやら・・・?
その錯綜した出来事がひとつの局面へと収斂していくのは、なかなか見事というか、読んでいて楽しいものがありました。
そして、アリスゲームがひとつの決着をみます。そして、アリスゲームの意味についても。
いきなりジュンがナニ(笑)になってしまうのは、ちょっと安易な気もしましたが・・・。また多分に哲学的な内容を含んでいるようで、重いテーマに陥りがちなところがドールたちのお気楽な性格に随分助けられたように思います。
また思い出しては読み返したくなるような、そのようなコミックでした。
「ローゼンメイデン(ヤングジャンプコミックス版) 第1巻~第4巻」
結局、第1巻から改めて読みなおしました。
「まかなかったジュン」の世界にローゼンメイデンたちが次々と押しかけ、雪華綺晶からの束縛から脱出し、「まかなかったジュン」もまた自分の世界での居場所を見つけ、未来に向かって歩き出すまでが描かれます。
ローゼンメイデンたちのアリスゲーム、またローゼンメイデン自身が存在できるための要素について改めて確認し、それぞれの有り様にも思いを新たにしていきます。特に水銀灯には、アリスゲームについて見なおすことがありそうな雰囲気でしたね。
しかし、雪華綺晶についての謎はそのままですね。ドールとして存在せず、アストラルだけの存在で物質世界に鑑賞できるなんて不思議ですね。また、彼女の目的が今いちよく分かりません(理解できません)。そして、そもそものローゼンの目的もまた分かりませんね。
次巻以降でそれが明らかになるのでしょうか。舞台は多分、もとの「まいたジュン」の世界へ戻ると思うのですが。読むのが楽しみです。
"GARGANTIA ON THE VERDUROUS PLANET" - 「翠星のガルガンティア 3」
「翠星のガルガンティア」シリーズもこれで完結。
人類の仇敵ヒディアーズの殲滅に向かうレドは、一人霧の海にあるクジライカの巣を襲撃し、壊滅させてしまう。その過程でその巣がかつては、研究施設であり、かつてリボルバーと呼ばれる人類の自らを改造し環境適応したヒディアーズの誕生の地であったことを知る。
全球凍結という災厄に瀕した人類が採った生存手段はふたつ。科学技術の粋を集め、宇宙へと故郷を移すことと、一方は宇宙環境に適して体を自らを遺伝子改造し生活の場と移すこと。一方は文明を人類存続のために最大限機能させるため人類を効率よく統制、支配することを要求し、また一方は文明を放棄し人類そのものを宇宙に適応させることにより生存を優先させる。両者は、リボルバーが生まれた当初から地球上にあった争いを宇宙の彼方でも継続し、互いに種の存亡を賭けて闘争を繰り返す。
この真実を知ったレドは、自分の存在意義そのものを見失い、茫然自失となる。このような時、新たな変化のうねりが、海の彼方より来し、そしてそれもまた人類銀河同盟の亡霊を伴ったものであった・・・。
物語の展開がスピーディで、またレドの心情の揺れから、ひとつの決意を見出すまでが一気に描かれています。チェインバーもまた「パイロット支援啓発インターフェイスシステム」から大きく逸脱してまで、自らの意志でレドをコックピットから退出させ、ストライカーと対峙する。
とても楽しめました。「翠星のガルガンティア」は、TVアニメオリジナル作品で、原作というものがなく、何の予備知識もなく観たTV放送でしたが、その世界観が、レドの目を通して描かれていてとても面白かったのを覚えています。また、レド自身の存在意義を自身で疑問に思い、再構築していくさまは、とても興味深く思いました。この小説でも充分、また小説らしく緻密に描写され、その(レドの成長の)過程がよく分かりました。もう一度、このアニメを見直したくなってきました。
2016.1
"GARGANTIA ON THE VERDUROUS PLANET" - 「翠星のガルガンティア 2」
地球に漂流したレドは、現地の人々との軋轢を何度も経て、次第に溶け込んでいく。ところが、その日常を乱すように、突然ヒディアーズの反応が。人類銀河同盟の兵士として植えこまれた使命がレドを突き動かし、ヒディアーズと認定された「クジライカ」を殲滅してしまう。
現人類が共存共栄を図る「クジライカ」を殺してしまったレドを忌避するガルガンティアの人々。また、敵を殲滅することがアイデンティティであるレドとしてはガルガンティアの人々とはどうしようもなく対立してしまい、それはエイミーも例外ではなかった。その中で、「クジライカ」を兄の仇として憎悪するピニオンとの利害の一致を見出し、ピニオンと主張を同じくする大船主フランジらとともにガルガンティアと袂を分かつ事になってしまう。
と、あらすじを解説してしまいました(汗)。TVアニメでは分かりにくかったレドの心情が詳しく描かれていて、その葛藤の様がよりリアリティを伴って、感じることができました。たった一人で、「クジライカ」という種の絶滅を図るレド。なんと無謀な、途方も無いことをなそうとしているのか、本人も何となく自覚はしているのでしょうが、兵士としての使命が絶対であると、いわば洗脳されてきた兵器としての自分は、それを抑えることができない、という様が伝わってきました。
次巻の展開が楽しみです。
"GARGANTIA ON THE VERDUROUS PLANET" - 「翠星のガルガンティア 1」
TVアニメ「翠星のガルガンティア」のノヴェライズ版です。
脚本からそのままノヴェライズしたような、まるでアニメを見ているような感覚でそのまますんなりと読み進めることができました。
人類銀河同盟のレド少尉が、ヒディアーズとの戦闘後、撤退の途中で帰還船への着艦に失敗し、どこともしれない未知の領域へ飛ばされてしまう。
その漂着したところが、当然、宇宙空間だと思っていたところ、惑星、しかも地球とは思いもよらず。かつて、地球が全球凍結した頃に宇宙へ逃れたものと、地球で生き残ったものがあり、遥かな時を経て両者が邂逅することなる。レド少尉が軍人、兵器として育った環境から、いきなり異境へと飛ばされ、そこで色々なことを学び成長する過程が描かれていきます。価値観の違いはあれど、メンタリティは同じであるところ、互いに理解し共感し合えるようになるまで、それほど時間はかかりません。本書は、まだ出会いの最初を描いただけですが、TVアニメと同様、とても面白く構成されています。次巻も楽しみです。
奈良の女子大に実家の大阪から通う「私」が、奈良の節分の豆撒きで「狐の面をかぶった」変人と出会う。その「狐さん」との淡い恋のお話。
女子大生にもなってなんてメルヘンチックな。といっても当の「狐さん」は、冬に着流しで過ごし、無職で毒舌家、ひねくれものの変人。傍らには、年上の美人が寄り添っている、という。
えーと、著者が大阪在住ということで、奈良についての知識が豊富であって、神社仏閣、行事についての描写が丁寧ですね。猿沢の池についてもえらくくわしくて(笑)。
「私」と「狐さん」との出会いは突然で、何故か以降も度々出くわすようになり。でも、最初は「胡散臭さ」が先に立ち、煩わしくも思っていたのに、何故か突然、恋心に変わります。それもまた唐突で、理解できませんでした。
そして、「狐さん」の過去が明らかになって、これからの恋の行方は、というところでのエピローグ。うーん、これもまた唐突。揚羽さんの行動もまた不可解。ちょっと消化不良なところが残念でした。
細田監督作品「バケモノの子」の書き下ろし原作小説ですね。細田守書き下ろしは「おおかみこどもの雨と雪」に次ぐ第2作目ということになるようです。
残念ながら、映画は見ていません。昨年の夏に、これでもか、というほど宣伝していましたので、つい天邪鬼の気がもたげて・・・。そういえば、「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」も結局全て映画館では見ていませんね。Blu-ray でホームシアターでの鑑賞です。
「おおかみこどもの雨と雪」は、小説でも読んでいます。
その「おおかみこども」といい、「バケモノ」といい、細田監督はどうもファンタジー系が好きなのかもしれませんね。そして、真っ当すぎるくらい真っ当な感動作が。また、この「バケモノ」はカタカナな「バケモノ」であり漢字な「化物」でないのですね。人間みたいに胸に「闇」を抱えていなくて、神様に転生できるくらいの純粋な存在なのです。
もう一気に読んでしまいました。Blu-ray でも見てみたいですね。
"Rozen Maiden 5 - 8" - 「ローゼン メイデン 第5巻~第8巻」、「ローゼンメイデン 第1巻」
桜田家に集まるローゼンメイデンたち。金糸雀が家に侵入しようと画策し始めます(笑)。ここまでは、けっこうコメディ色が強く出ていたのですが、第7ドールの雪華綺晶が姿を現し始めた頃から、徐々にシリアスに、それからちょっと哲学的にストーリーは進みます。アリスゲームの残酷さ、そして誰も姿を知らなかった第7ドール、そして雪華綺晶が求めるものについての謎。次々と囚われていく各ドールのマスターたち。主人公の桜田ジュンのあり方について色々と考えさせられます。いわゆる「ひきこもり」の彼ですが、複雑でかつ純粋な心情が隠されており、あまりに繊細であるがゆえに、世間から孤立してしまっているのです。これまで以上に彼に感情移入させられてしまいました。
さて第8巻では物語の終わりでなく、真紅までもが囚われてしまう場面で終わってしまいます。ジュンの想いとかが描かれて、前向きに取り組もうとしている時に。そして、桜田ジュンが最後に決断した行動は・・・。うーん、これから、というところで終わってしまいました。
と思ったら、出版社を変えて、「ローゼンメイデン」が帰ってきました。本当の続編です。しかも舞台は桜田ジュンが大学生になっている「まかなかった世界」です。真紅の登場の仕方にも面白いものがありましたし、今後の展開がとても気になります。全10巻あるらしいのですが、うーん、早く続きが読みたい(ような・・・?)。
「GOSICK」シリーズ最新刊ですね。ストーリーは、アメリカに到着してから、「GOSICK BLUE」の続編となります。
無事、アメリカに到着したものの無一文な状態で、姉瑠璃の元へ居候ということに。一弥は、じょぶ&ほーむを得るべく奔走するのだが・・・。ニューヨークの街へヴィクトリカと出掛けた一弥は、ヴィクトリカがマンホールに落ちたことに気づかずにはぐれたと思い、街の中を探しまわることに。一方、ヴィクトリカは、ひょんなことから警察へ連行され、そこで思わぬ人物に出会う。
そしてまた紆余曲折の果てに戦時中に起きた「クリスマス休暇殺人事件」の真相を解明すべく、グレイウルフ探偵社の最初の依頼を受けることに。
様々な伏線があり、それがヴィクトリカの元へ運命的とも言えるように収斂していくさまは、読んでいて楽しいものがありました。
ただ、何だか今回の「GOSICK」は、妙に文章が読みにくく感じました。「~である。」という文章が多くて、どうも違和感があるのです。ヴィクトリカの口調が変わったような印象が拭いきれませんでした。それから、ヴィクトリカが幻聴・幻覚に苦しんでいること、頭痛に苛まれていることから、オカルトチックに過去を幻視し、死者の言葉を聴いてくることなどが、ちょっと今までと異なっているような印象を受けました。何だか、これまでの「桜庭一樹」節とは違っている風に感じました。ストーリー自体は面白かったのですけどね。
"Rozen Maiden 1 - 4" - 「ローゼン メイデン 第1巻~第4巻」
TVアニメ化もされた「ローゼン メイデン」ですね。TVアニメはDVDにて見た覚えがあります。ストーリーはほとんど覚えていませんでしたが、今回このコミックを読み返すことで、何となく思い出しました(笑)。
主人公の「ジュン」は、「ひきこもり」の中学2年生。そこへ、ダイレクトメールで奇妙な質問が、「まきますか、まきませんか」。何気なく「まきます」に丸印を。すると後日、トランクに入った人形が送られてきて、その人形のぜんまいを巻くと・・・。
これが、「薔薇乙女(ローゼン メイデン)第5ドール<真紅(しんく)>」との出会いであった。真紅はジュンを「下僕」と呼び、契約を交わす。それからジュンは、次々と「薔薇乙女」がジュンの元を訪れ(襲い)、ローザミスティカを巡る「アリスゲーム」に巻き込まれることになる・・・。
という展開でしたね。今でも「ローゼン メイデン」の独特な世界観に引き込まれます。人形たちにとっては、その生死を賭けた闘いであるはずが、少しユーモアを持って語られていきます。また、いくつもの謎がさり気なく提示され、伏線となって物語に織り込まれていきます。
アニメを見た時は、「?」であったこともコミックスを読むことにより理解できたこともありました。次巻以降が楽しみです。
"Chobits 5 - 8" - 「ちょびっツ 第5巻~第8巻」
「ちょびっツ」全巻を読み終えました。懐かしく思いながらも、ストーリーはほとんど思い出すことができず、返って新鮮に楽しく読むことができました。設定がおかしいとか、都合良すぎにストーリーが進む、とかはどうでもいいですね。本書の中でも言っていたように「おとぎ話」なのですから。
「ソードアート・オンライン プログレッシブ 004 冥き夕闇のスケルツォ」
このシリーズも4巻目でやっと第5層攻略となります。
これまでになく親密の度合いを増すキリトとアスナの二人。互いの心情がそれぞれの目を通して互いに語られています。そこにアルゴが加わり、各人の階層攻略への想いを新たにもするのですが、この巻から、ついに "PKer" たちがその姿を現し始めます。そして今回の彼らの陰謀は、そしてそれを打破しようとキリトらがとった行動とは。
今巻はまるまる第5層の攻略に、ラスボスとの対戦も詳細に描かれています。ゲームの世界のことですので、物理法則は無視ですが、ゲーム上のルールには則って、その中での戦闘が描かれており、SAOの世界観がよく分かります。今後の展開が楽しみです。
"Chobits 1 - 4" - 「ちょびっツ 第1巻~第4巻」
年末大掃除の時に発掘(再発掘?)しておいた「ちょびっツ」の前半4巻を読みました。
いやー、まぁ、懐かしい!!、ですね。このコミックもDVD(いや、ひょっとしてVHSかも)でアニメを見てから購入したはずです。そのアニメ(コミック)で、初めてCLAMPという作家を知りました。
ストーリーは、世間ではPC(パーソナルコンピュータ、パソコン)という言葉がようやく認知され始めた頃かな(?)、「パソコン」である「ちぃ」が浪人生である主人公に出会ったところから始まります。
「パソコン」と言ってもどちらかというとアンドロイドと言ったところですね。そこを敢えて「パソコン」と称するのは、一般的な馴染みを意識してのことでしょうか。
その「ちぃ」の人間的な成長の物語のように思えました。それにしても、けっこう下ネタ満載でしたね。決していやらしくはないのですが、思わず笑ってしまうような。
物語は佳境に入り、謎が徐々に明らかになっていくような、そのようなところです。続けて読んでしまおうかなぁ。でも、やること、やりたいことが目白押しなのだが。とにかく、次巻以降、読むのが楽しみです。
昨年末に本屋でふと手に取った本です。パラパラと立ち読みしただけで面白くなり、直ぐに購入。暇を見つけては、読み進めておりました。
小説ではありませんので、項目を一つ一つ読んで考えたり、あるいは読み飛ばしたり、前に戻って読みなおしてみたり、とけっこう時間がかかってしまいました。
内容は、エンジニアが書いたものらしく、データに基づいた知見が多く、納得させられるものばかりでした。特に都市伝説的な(帯にもあるような)「電力会社で音は変わる」という話を検証すると根拠があるような(無いような)、楽しい内容でした。まさに表紙絵のような猫がじゃれているような、軽くて楽しい話ばかりでした。小説ではありませんが、読み物としても楽しく退屈せずに読み進めることができました。
「セキレイ」シリーズも第18巻が最終巻です。「鶺鴒計画」第参段階、神座島での最終回戦、そして蒿天へ昇る一人の葦牙とセキレイは誰に。という怒涛の展開でしたね。途中、磐船の破壊・故障による神座島侵攻を許してしまうというアクシデントもありましたが、なんとか最終話まで、ストーリーがブレずに進んでいきました。
やっぱり、結の天然さが秀逸です。シリアスな闘いが余裕を持って眺めることができました。まだまだ、葦牙、セキレイについて謎は残されたままですが、うまくまとめられてよかったです。
第12巻あたりからもう一気に読んでしまいました。楽しかったです。
年末大掃除のどさくさに発見した「セキレイ」シリーズ。文庫本は例の取り出しが困難な(難しい)本棚に入ってしまい、取り出すのを躊躇っている状況で、ついこのシリーズを手にとって読み始めてしまいました。
著者の極楽院櫻子は、このシリーズがデビュー作になるようです。女性作家でありながら、けっこう大雑把な(?)、男性作家のようなタッチを感じます。アクションはよく描けていて、よく動いているように感じます。また何と言ってもキャラクターがいい、ですね。主人公の優柔不断さは自然ですし、またヒロインの結の天然加減は絶妙です。
ストーリーもテンポ良く進み、「鶺鴒計画」第参段階、第壱回戦が始まろうしているところです。セキレイたちは最後の一羽になるまで戦って生き延びなければならない、というルールでありながら、出雲荘のセイレイは一人の葦牙を中心に仲間としての絆を深めていきます。過酷な運命を予感しながらも、天然な(?)結たちは、前向きに闘いに参加していきます。というか、悲壮感無く、振りかかる火の粉を払う、といった様相でしたが。第参段階以降は、葦牙としての自覚を元に立ち向かおうとするのです。
うーん、次巻以降が楽しみ。