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"Tektronix 11403A DIGITIZING OSCILLOSCOPE" の修理
オークションで入手したデジタルオシロスコープ。4半世紀前の測定器ですが、スペック的には現在のものと遜色はありません。
ただ、やはり年代物ですので、色々と不具合がありました。"POWER ON SELF CHECK" でいくつか "FAIL" 表示が。
今回、バッテリー交換して、一応動作するようになりましたので、その交換の様子を記しておきます。
"Tektronix 11403A DIGIIZING OSCILLOSCOPE"
オークションにて落札したときの写真を示しています。
そして、出品者からの【商品情報】ですが、
【商品説明】
写真にてご判断ください。
モジュールは下記のものが装着されています。
11a32
11a72
48時間以内に連絡、決済ができる方のみご入札ください。
というものでした。
商品をこのオークションで初めて見たのですが、ダイアグメッセージが "FAIL" であることには気が付きませんでした。
本来であれば、「ジャンク品」としてオークションにかけられるものでしょうが、出品者の説明にはありませんでした。でもまぁ、電源投入した写真のみで、波形測定画面になっていないのを見て、冷静に判断すべきだったのかもしれません。
オークションに応札したときは、発売当時のカタログでの価格が、$19,950(約2,500,000円)ということを知り、電源投入確認済みと考えて、随分と高くで落札してしまいました。
後に、同等品が約1/3で落札されたことを知ったときには、がっかりしましたが・・・。
状態確認
"POWER ON SELF CHECK" でエラーが発生し、エラーコードと "FAULTS" の回数が表示されて、動作停止しています。
SUBSYSTEM |
INDEX |
FAULTS |
a) Executive | E1412 |
2 |
b) Display | pass |
|
c) Digitizer | G3711 |
1 |
d) Left | L1641 |
1 |
e) Center | pass |
|
f) Right | ???? |
a) Executive - "E1412" は、コントロール基板のバッテリー電圧低下
c) Digitaizer - "G3711" は、ディジタイザー不良としか分かりませんでした
d) Left - 左側にあるプラグインユニット 11A32 の "L1641" エラーとしか分かりませんでした
まずは、一番わかり易い、バッテリーの交換を試みます。
バッテリー交換
本体のカバーを開けて、CRT カバーを外すと、後方にあるコントロール基板を取り出せるようになります。基板を固定している2本のプラスチックのバー(ステー)を外して、さらにフラットケーブルを引き抜いてから、バッテリーを搭載している基板を引き抜きます。2枚あります。
2枚の基板から取り外したバッテリーを左の写真で示します。
・ Panasonic Lithium Battery: BR-2/3A 3V 基板用端子付き(※)
が装着されていました。
取り外した後、開放電圧を調べると、それぞれ、+0.0398V、+3.3140V となっていました。
電気街に赴き、同様のバッテリーを探したのですが、見つけ出せず、やむを得ず同等品と思われるバッテリーを購入してきました。
"CR123A" 形のバッテリーです。カメラ用のようです。また、基板用端子がありませんでしたので、バッテリーホルダーを別途求めて、基板に両面テープにて貼り付けて、リード線を直接半田付けしておきました。
○ "2 x CR123A 3V Lithium Great Power Battery"
・ Chemistry: Lithium
・ Voltage: 3.0V
・ High Capacity
・ common in use for camera, flashlight, and many other electronic devieces.
・ Size: 3.2cm x 1.6cm x 1.6cm - 1.26inch x 0.63inch x 0.63inch
スペックは海外サイトからの引用でしたが、国内通販サイトにも同じ商品が挙がっていました。ただし、どのサイトでも在庫切れで、再入荷予定は立っていないようです。
※ 2019.11.5 何ということでしょうか。修理した当時は、該当バッテリーが見当たらずに探し回って、同等品を購入したのですが、ネット検索してみるとあっさりと見つかってしまいました。
「パナソニック リチウム電池 BR-2/3A 基板用端子付き BR-2/3AE2SP」
・ 電圧: 3V
・ 公称容量: 1200 mAh
・ 寸法: Φ17×33.5mm
・ 端子: 間隔、+--34mm、+-+8.2mm、幅、0.7mm、長さ、4mm
・ 製造国: 日本
えーと、また「バッテリー電圧低下エラー」が発生したときには、改めてこのバッテリーを購入して、交換することにします。
電源投入、確認
電源を投入すると、"POWER ON SELF CHECK" のあと、ダイアグメッセージが表示されること無く、測定画面に入ることができました。
次に、"MENUS" から "UTILITY" を選択して、"Extended Diagnostics" を走らせます。その結果、すべての項目が、"pass" となりました。バッテリーを交換しただけで、なぜ「ディジタイザー不良」「11A32 の不良」が解消されたのかは、不明です。
ウォーミングアップの後で、"ENHANCED ACCURACY" を走らせてみましたが、無事に完走できたようです。
また、実際に外部発振器("MULTIFUNCTION SYNTHESIZER")から波形入力し、観測してみましたが、そこそこの精度で問題なく測定することができました。
・ L1: CH1: 1,000.0Hz、0.4V、サイン波
・ L2: CH2: 1,000.0Hz、0.4V、矩形波
次にエラーが発生するまで、しばらくはこのままで使用する予定です。
波形観測しているときに気づいたのですが、本体電源ON時のパイロットランプが点灯していません。
また、キャリブレーション用の "CALIBRATOR" 端子から波形出力されていませんでした。
別途、本体カバーを開けて、パイロットランプへの出力電圧を調べたのですが、+5V は、出ているようでした。LED が切れてしまっているのかもしれません。
また、"CALIBRATOR" 出力については未調査ですが、いずれにしても前面パネルを外して確認する必要があり、分解手順が分からず、取り敢えずは放置のままです。
波形観測には問題なさそうなので、今後機会があれば確認する、ということにします。